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二章 旅立ちの日
46.神の欠片
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「闇の神? 化身? 欠片? それが猫?」
『たかが猫と侮るとはの、まぁよい、詳しい話をするつもりもニャいのでニャ。とりあえず、ワシを助けてくれた事に礼を言いたくての。助かった、感謝するぞ』
「あ、はい。一つ聞きたいんだけど」
『ニャンじゃ』
「暗黒神の欠片な猫がどうしてあそこで死にかけてたんだ?」
『ンニャ……(それは……』
「それは……?」
『失敗したんじゃよ。闇の信徒の奴らがニャ、暗黒神テネブラシュヴェルの力の一部を召喚しようとして失敗、結果、ワシが生まれたんじゃ』
「すまん、全くもって意味が分からないんだけれど」
『簡単に言えばワシは失敗作のカスにゃんじゃよ。テネブラシュヴェルの小指の爪ほどの力しかニャい。信徒の奴ら、ワシを召喚し、失敗したと見るや河にポイ捨てしおってなぁ。それが昨日の事じゃ』
「ポイ捨て……失敗したとはいえ、信仰している神の一部をポイ捨てとは……」
『本当じゃよまったく。まぁ闇の信徒共はどいつもこいつも利己的で自己中心的で、横着者の自分都合だけで物を考えて独り善がりな行動をする身勝手極まりない俗物共じゃからニャ。神の怒りに触れるなど思考にニャいのじゃろ。自分がやる行いは全て神の為、神の為ならば許される、自分は正しい。そんな愚か者ばかりじゃよ』
「おうおう……随分とめちゃくちゃ言うじゃないか。仮にも信徒だろ……」
『ふん! ワシは怒っておるのじゃ! 百万歩譲ってポイ捨てはいいとしても! よりによって地の神の領域である土砂の中に埋め込み、尚且つその土砂ごと水の神の領域である河にドボンじゃぞ! クソが! あー思い出したらムカついてきたニャ! コニャクソ!』
「あの土砂の中にいたのか……」
チャロと一緒にポイ捨てされた土砂が、僕の見ていたものと同じかは定かでは無いけれど、他にも土砂に紛れさせて何かを捨てているという事もあり得そうだな。
なんて事を考えていると、モーニングを手にしたマスターが近寄ってきた。
僕は慌ててテーブルの上の手紙を隠すように、バッグへとしまい込んだ。
アリエスの名前がしっかり書き込んであるのだ、元王宮の人間のマスターに見られて良い事はないだろう。
「お待ちどうさまです。考え事ですか?」
「え?」
テーブルに置かれた料理からは、どれからも何ともいい匂いが漂ってきて、匂いを嗅いだ途端、腹の虫が盛大に鳴いた。
「真面目な顔でずっとぶつぶつ呟いてたので、考え事かなと」
「あぁ、そんな感じです」
チャロと話してました、なんて言えるわけがない。
「ンニャアアアオ(肉肉肉! これはとても良い物じゃぞ! 昨日初めて食べた時は天に登るかと思ったほどじゃ!)」
「いただきます(うるさいな! 静かに食べなよ!)」
興奮してケージをガタガタと揺らすチャロに肉を与え、僕は優雅な朝食をいただくべくナイフとフォークに手を伸ばした。
「ナァオ(おいお主、もうニャいぞ、足らん! ワシは再度肉を要求するニャ!)」
肉を速攻で食い尽くしたチャロが騒ぐが、僕は知らん顔をして食事を進めた。
『たかが猫と侮るとはの、まぁよい、詳しい話をするつもりもニャいのでニャ。とりあえず、ワシを助けてくれた事に礼を言いたくての。助かった、感謝するぞ』
「あ、はい。一つ聞きたいんだけど」
『ニャンじゃ』
「暗黒神の欠片な猫がどうしてあそこで死にかけてたんだ?」
『ンニャ……(それは……』
「それは……?」
『失敗したんじゃよ。闇の信徒の奴らがニャ、暗黒神テネブラシュヴェルの力の一部を召喚しようとして失敗、結果、ワシが生まれたんじゃ』
「すまん、全くもって意味が分からないんだけれど」
『簡単に言えばワシは失敗作のカスにゃんじゃよ。テネブラシュヴェルの小指の爪ほどの力しかニャい。信徒の奴ら、ワシを召喚し、失敗したと見るや河にポイ捨てしおってなぁ。それが昨日の事じゃ』
「ポイ捨て……失敗したとはいえ、信仰している神の一部をポイ捨てとは……」
『本当じゃよまったく。まぁ闇の信徒共はどいつもこいつも利己的で自己中心的で、横着者の自分都合だけで物を考えて独り善がりな行動をする身勝手極まりない俗物共じゃからニャ。神の怒りに触れるなど思考にニャいのじゃろ。自分がやる行いは全て神の為、神の為ならば許される、自分は正しい。そんな愚か者ばかりじゃよ』
「おうおう……随分とめちゃくちゃ言うじゃないか。仮にも信徒だろ……」
『ふん! ワシは怒っておるのじゃ! 百万歩譲ってポイ捨てはいいとしても! よりによって地の神の領域である土砂の中に埋め込み、尚且つその土砂ごと水の神の領域である河にドボンじゃぞ! クソが! あー思い出したらムカついてきたニャ! コニャクソ!』
「あの土砂の中にいたのか……」
チャロと一緒にポイ捨てされた土砂が、僕の見ていたものと同じかは定かでは無いけれど、他にも土砂に紛れさせて何かを捨てているという事もあり得そうだな。
なんて事を考えていると、モーニングを手にしたマスターが近寄ってきた。
僕は慌ててテーブルの上の手紙を隠すように、バッグへとしまい込んだ。
アリエスの名前がしっかり書き込んであるのだ、元王宮の人間のマスターに見られて良い事はないだろう。
「お待ちどうさまです。考え事ですか?」
「え?」
テーブルに置かれた料理からは、どれからも何ともいい匂いが漂ってきて、匂いを嗅いだ途端、腹の虫が盛大に鳴いた。
「真面目な顔でずっとぶつぶつ呟いてたので、考え事かなと」
「あぁ、そんな感じです」
チャロと話してました、なんて言えるわけがない。
「ンニャアアアオ(肉肉肉! これはとても良い物じゃぞ! 昨日初めて食べた時は天に登るかと思ったほどじゃ!)」
「いただきます(うるさいな! 静かに食べなよ!)」
興奮してケージをガタガタと揺らすチャロに肉を与え、僕は優雅な朝食をいただくべくナイフとフォークに手を伸ばした。
「ナァオ(おいお主、もうニャいぞ、足らん! ワシは再度肉を要求するニャ!)」
肉を速攻で食い尽くしたチャロが騒ぐが、僕は知らん顔をして食事を進めた。
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