ヤンデレでも好きだよ!

ささみ

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9、隼人視点 後編

 玲を家から追い出した。どうせ、すぐ戻ってくると思っていたが帰ってこない。
 そのまま、その日は帰ってくることはなかった。

「なんだよ…僕のこと好きなら帰ってこいよ」

 なんて、我ながら理不尽な事を考えていた。しかし、玲はそのまま1週間帰ってくることはなかった。

 流石に心配になって連絡してみるがつながらない。
 大学にも来ていないみたいだし、あの日なにかあったんだろうか?

 不安になってきて、色んな人に玲の居場所を聞いたが誰も答えない。
 大学にも聞いてみると、玲はもう大学を辞めたという。

「なんで?どういうことだよ…意味がわからない」
「ハハ、可哀想。玲を捨てたと思ったら捨てられちゃったんだね」
「…誰」
「まぁ、それはおいといて少し時間ある?」
「…」

 僕はそいつの話を聞くことにした。玲がどこにいるか知ってるぽい。

(玲に会って、抱きしめたい…)

 そんな風に考えながらそいつについて行った。
 カフェに、入ってコーヒーを頼む。

「さてと、じゃあ本題といこうかな?」

 そいつは携帯を取り出した。そして、写真を見せてきた。
 そこには、玲が犯されている写真や料理している姿、寝顔や笑顔、とにかく玲の写真で埋め尽くされていた。

「玲は…いまどこにいるんだよ」
「俺の家」
「…玲とどういう関係だ?」
「恋人だよ、恋人」
「嘘つくな、玲が僕以外を見るわけないだろ」
「嘘なんかついてないよ?フフ、玲はね幸せだって言ってるよ、隼人くん。君のこと忘れちゃうくらいにね」

 ニヤリと笑うそいつにはらわたが煮えくり返る。
 しかし、そいつは笑いながら僕を煽ってくる。

「残念だったね、玲はもう俺にしか興味がないみたいだからね」
「嘘だ…」
「嘘じゃないよ、君さぁ玲になんて言ったか覚えてる?『玲なんか好きにならなければ良かった』って言ったみたいだね」
「なんで、知ってるんだよ」

 やっぱりそいうはニヤリと笑うだけだった。

「玲はさぁ、君が愛してくれるって馬鹿みたいに信じてたんだよ?それなのに、あんな酷いこと言われたらそりゃ百年の恋も冷めちゃうよな?」
「…」
「まぁ、玲は今幸せですよってことだけ言いにきたんだよ。だから、安心してね」

 僕は不覚にも言い返せなかった。玲に酷い事を言って傷つけていたのは本当だ。

「クソ…」

 あいつの写真には料理の写真もあった。きっと、玲がつくったものだろう…あの手料理は僕だけが食べれるはずだったのに。 

 玲は感情が顔に表れやすい。それも、僕だけにしか見せないはずだった。
 少し照れたように笑う顔がなんとも可愛くて、僕が少し冷たいことを言うと、シュンとなって、でも少し褒めると一気に明るくなって…僕にしか、心を開いてないと思っていたのに。

 できることならば、最初からやり直したい。玲と付き合うところから。
 僕は汚くなった家に帰って、ベットにダイブする。

 なんだかんだ言って、玲のことが好きだったんだ。冷たく突き放しても、僕のことを愛してくれた。
 見返りなく愛してくれる。

「玲に会いたい…」

 玲は僕に会いたいだろうか?会いたく、ないかもしれない。
 
「……」

 その日から、僕は見る見るうちに元気がなくなっていった。それを心配してくれる女の子たちがいたがそいつらのことなんかどうでもいい。

 ある日、玲によく似た後ろ姿を見つけた。

「っ、玲!!」
「え?」
「…あっ」

 そこには玲じゃない似ても似つかない奴がいた。

「すみません、人違いでした」






 もう、玲を忘れるしかないのかもしれない。そう思い目を瞑った時だった。

「…はぁ」

 すると、インターホンが鳴った。ヨロヨロと出るとそこには、玲が…いた

「は?」
「お届け物です、なんちゃって」
「な、なんで…」
「あー、また部屋散らかってるじゃん。まったくもう」

 玲は汚くなった僕の部屋にズカズカと入り込み、せっせと掃除をしてくれる。
 僕は何が何だか分からなかったがとりあえず、玲を抱きしめる。すると、びっくりしたように振り返って嬉しそうに笑った。

「寂しかった?」
「うん…なんで帰って来ないんだよ」
「ごめんね、お詫びにいっぱいぎゅーしよ」
「うん…」

 そこで、目が覚めた。

「….…なんだよ、夢か」

 いつから寝ていたのだろうか。妙にリアルな夢だった。
 それから、毎日僕は玲の夢を見るようになった。ちゃんとリアルで時系列もちゃんとしている。

「隼人…大好き」
「僕も」
「本当?フフ、やった」

 はにかみながら笑う玲。それに釣られて僕も笑ってしまう。すっかり眠ることが楽しみになってしまった。

「あー、玲が可愛い」

 まるで二次元の女の子を推している時の気持ちだ。現実では会えないけど、夢の中やインターネットの中なら会える。

「…」

 虚しいような悲しいような…そんな気持ちもあるにはあったが僕は今日も夢をみる。





「隼人…」
「は?」

 一方、玲の方もまったく同じ夢を見ていた。

「玲?起きてよ玲!」
「え?…どうか、したの?」
 
 眠たそうに起き上がった玲に祐希はキスをした。濃厚なキスだ。

「んっ…ちょ、なに?」
「今日、寝言であいつの名前呼んでた。なんで?!」
「最近、隼人の夢を見るからかも。ごめんね、不安にさせちゃった」

 祐希を抱きしめて頭を撫でてあげる。すると、幾分かマシになった。

「おやすみ…玲」
「おやすみ祐希、愛してるよ」

玲の心はそれでも隼人には向かなかったのだった。




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