恋を諦めた私の前に突然痛いイケメン王子様が現れましたっ!!

杏仁豆腐

文字の大きさ
33 / 100
平穏と実家とエトセトラ

33

しおりを挟む
昨日一日閉じこもって……と言ってもお風呂とトイレと歯磨きはしっかりしたけど、彼とは話をすることはなかった。
気付いてしまったから。

彼は私に好きとか愛してるとか言っていなかったことに。
その夜は一日中ネットでBL本の通販で10冊程爆買いした。
知らない間に愛に飢えていたのだと自分で勝手に思っていた。
何でもいい、とにかく何でもいいから愛が欲しい。
背徳感のある愛が……欲しい……。


その結果、私の目の前にどっさり置かれたBL本の数々。
注文してから3日後に届いたブツを部屋にいそいそと運び、彼の居ない平日の真昼間から読み更けていた。
腐女子たるものの常識だ。


『はぁ……いぃ……武志、僕の事……好き……?』
『ああ、好きに決まってんだろ……学』
『武志……僕、嬉しいよ……ちゅっ……』


「はぁ……これが愛、なのよねぇ~。私とあの人にはこういう展開は全くない。何を考えているのかしら、私も、あの人も。あ、そろそろ昼ご飯食べなきゃ」

BL本をクローゼットの奥に格納した後、私は昨日の残り物を温めて昼食をとることにした。
1人でテレビを観ながら食事をする。

「あとは、洗濯物を取り込んで……お買い物行って……夕食作らなきゃ……」


予定を口にしながら行動チェックをする。
一応、彼には働いてもらって食べさせてもらっているんだからこれくらいはやらないと。
ああ、でも結婚したら毎日家事をしないといけないんだよなぁ。
まぁ私が彼と結婚することなんてあり得ないっしょっ!


だって好きでも何でもなんだからもん。
私は最後の一口を口に運んで食器を台所へ置いて水の入ったコップを手にして一口飲む。
さぁ、頭の切り替えしよ、私。
さっさと用事済ませてさっきの続き読まなきゃねっ!!


そう、私には今BLで愛を補充しないとこの生活、やっていけない。
だから私にはホモが必要なの、そしてそれを愛でながらドキドキすることが必要なのっ!!

「私にはBLの世界がお似合いなのよ。それが分かったからなんだかすっきりしたわ」

自分で自分にそう言い聞かせながら食器を洗いベランダから乾いた洗濯物を取り込んだ。
時刻は15時過ぎ。
案外遅い昼食だったんだ……なんだか時間間隔がなくなって来たぞ!?
大丈夫??

「あ、そう言えば……実家に電話しないといけないんだった……どうしよ……」

そう思った時いきなり携帯が鳴りだした。
ポケットに入れっぱなしの携帯を取り出して表示画面を見る。

「げ……お母さん……」

そう、実家の母からの着信だったのだ。
どうしよう。
これって報告フラグってやつっ!?
マジで、マジで、マジでぇぇぇぇぇ!!




しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない

あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。 タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。 図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。 実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。 同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです

珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。 その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。 それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

処理中です...