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第2章 魔法学園

第33話 三賢人

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「ほんとに的を倒しちゃいましたけど……。大丈夫ですか?」

 全力で良いって言われて、一応手加減もしたんだ。それでも的が壊れちゃった。怒られないか心配している。

「うん。倒れちゃったモノは仕方ないね」

「それより君の魔法をはっきりと目に焼き付けることができました」

「うん、ありがとう。あれが真の龍で間違いない」

「いやー、素晴らしい魔法だった」

 意外にも的を壊してしまったことにはほとんど触れられなかった。

「この調子ならユーマが回答した他の魔法も期待ができるな」

「三賢人を探すために冒険者を雇ったが、不要だったか」

「三賢人?」

 大賢者オーガスをはじめとする賢者たちのことだろうか?

 なんかそーゆーの、かっこいいよね!!

 オーガス学園長以外に、どんな賢者がいるのかな。

「三賢人というのはつい先日この魔法学園を訪れ、膨大な異世界の知識や魔法発展の礎となり得る情報を残してくださった偉大な3名の敬称」

 ん? それって、まさか……。

「我々は田中様、ダッサン様、キム様を三賢人と呼ぶことにした」

 三賢人って、お前らかよ!!

 なんで俺が知らないうちにそこまで出世してんだよ!

「もしユーマが残りの魔法についても真の姿を解明すれば、三賢人に加わり四賢人となることも可能だ。だから引き続き、我々に協力を頼みたい」

「わ、わかりました」

 このまま協力すれば、俺も賢人扱いしてもらえるらしい。

 でも四賢人って、なんか嫌だな。
 四人なら四天王だろ。

 魔導四天王とか、かっこいいんじゃない?

『祐真様は個にして最強。唯一絶対の存在です。私としましては、祐真様に並ぶものなど存在しないと理解しています』

 アイリス的には四天王もダメらしい。

 まぁ、肩書はそのうちつけてもらえればいいや。

 できればかっこいいのをお願いしたいな。


 その後、俺は教員たちとしばらく新魔法について色々と情報交換した。

 俺が魔法を創ったってことは言っていない。
 その方がいずれ面白くなりそうだから。


「ところで俺たちって、編入試験は合格でいいんですか?」

 実技試験があるって聞いていたが、教員たちにずっと拘束されていて何もできていない。リエルは退屈だったのか、途中から椅子に座って寝てしまった。

「おお、忘れておった。ふたりとも合格で良いだろう」

「「「異議なし」」」

「ありがとうございます。ちなみにファリル先生が俺の推薦状を書いてくれるってお話しでしたが、入学金とか免除していただけます?」

「それは彼から提出されている。安心なさい」

「奨学金も出るが、毎日こうして教員が集まって実施している新魔法研究会にユーマも参加してくれるなら、私の研究費から追加で報酬を出そう」

「儂も支払う。ユーマとの会話は、新魔法の解明を飛躍的に加速させてくれる」

「もし新魔法の検証で必要な物資があれば私に言いなさい。今期の予算は全て君のために使っても良い」

 何人もの教員が俺に奨学金をくれると言ってくれた。

 これで学園での生活は何とかなりそうだ。

 ずっとリエルにご飯を奢ってもらわなくて良くなる。

 実はお金の面が不安だったのだけど、俺の知識をお金に変える方法を見つけてしまった。これは一気に情報を全部出すより、小出しにして長ーく活動資金を確保できるようにすることも検討してみるべきだろう。

 長期的に金を得つつ、いずれは賢人の仲間入り。

 計画としては悪くない。

 異世界に来たらやりたいことリストNo.59 “スキルや知識で安定収入を得て、盤石な活動基盤を構築する”が間もなく達成できそうだ。
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