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1章
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しおりを挟む「それにしても気づくだろう?皇帝の名前も知らなかったのか?」
腕の中に閉じ込められたまま、蓮に呆れたように溜息を吐かれて、紅凛は顔を両手で覆った。
考えてみれば、彼が皇帝だと気づく切っ掛けは、いくつもあったのだ。
蓮詠帝、姜愁蓮この国の皇帝で齢28歳
それくらいは一般常識として知っていた。
しかし正直な話し興味がなくて、しかも嫁ぐと決まった時はショックで皇帝の事など考えたくなくて、学ぶ気にもならなかった。
「俺は結構ヒントを出していたぞ、妻に先立たれて男の子どもが2人いて、お前の兄が敬語を使うような立場の人間」
少し用心深く考えれば、繋がる……そう今になって思えばなぜ気づかなかったのだろうかと少し前の自分の頭を殴りつけて目を覚させたい。
確かに兄がつけてくれた教師の授業で一般的な知識として学んだ記憶はある。しかしそんな物はすぐに忘れていた。
「まぁいいさ、逃げずに来てくれてよかった。」
そう言った彼は、深く息を吐いて、腕の中に紅凛がいる事を噛み締めるように、ぎゅうっと抱きしめた。
「しかし、順には少し言ってやらねばな、あいつは恐らく面白がっていたな」
確信したようにボソリと呟いた蓮の言葉に慌てて顔を上げる。
「兄様に?」
その額に、チュッと口付けられて。
「文句をつけるだけだ。叱りはしないよ」
安心させるように微笑まれて、今度は唇に口付けが降りてくる。
唇を啄まれながら、それってどんな違いがあるのだろうか?と疑問に思ったものの、そこから先は彼の手が秘所を這い出して、何も考える事が出来なくなった。
そうして幾度も求めて縺れあって、幸福な夜を終えた。
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