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第10章 後宮
第394話 黄毒の裏側
緋堯との戦が始まっても、王都は平穏そのものだった。
戦の気配を感じるのは、3日に一度の戦況報告を聞く時くらいなものだった。
宮に身を寄せる泉妃と子供達は、芙艶を信頼しきっていた。自分に懐いてくれる子ども達はとても可愛くて、これならば母代わりになっても慈しんで育てられるだろうと、意志も固まった。
そんな頃、東左から次の計画を打ち明けられた。
今度は翠玉が戻る直前に清劉由来の毒を仕込んで第3皇子を害すという計画だった。
このまま計画が上手くいけば、泉妃の子供達と劉妃の子を手元で育てる事になる。そうなれば廟妃と第3皇子が邪魔になる。
芙艶が第1皇子と第2皇子を育てる上で下手に世継ぎ争いの種になっても困る。今のうちにその芽を摘みたいと考えていた。
そして、間違いなく劉妃に罪を着せれば、針の件も併せて、確実に彼女は死罪になる。
芙艶と東左の計画が実現へと向かっている。
そしてそんな時、折りよく泉妃が懐妊した。
これも実のところ芙艶の狙い通りだった。
皇后宮に泉妃が身を寄せてから、皇帝が彼女の元に通う足が遠のいた。
明らかに芙艶に遠慮しての事だったが、芙艶は逆に皇帝と泉妃を焚きつけた。
安定した御代のためには子供は多い方がいい。泉妃の産む子であれば世継ぎ争いも起こらない上、皇帝にとっての冬隼と同様、爛皇子にとって心強い味方になるに違いない。
それに納得した皇帝は、泉妃のもとに通い出した。
同じくして芙艶は祖国から送られてきた薬草から妊娠しやすくするための物を泉妃の食事に盛るようになった。
いくら使っても芙艶には効果のなかった薬草は、泉妃にはよく効いた。
そして狙い通り、泉妃は懐妊した。
黄毒の調薬は東左が取り掛かった。
調薬に関わる行程なども全て劉妃の持ち物から盗み出したらしい。
第3皇子だけを狙うのも不可解だと言うことで、第1皇子の妹である皇女も標的にした。
これで、第2皇子の母である劉妃がさらに怪しくなる。
しかしここで誤算が起こる。
二人を診察した医師団が、流行病と勘違いしたのだ。
思いがけない事だったが、それも結局翠玉が戻るまでだった。
翠玉によって黄毒だと暴かれたそれは、結局劉妃の宮にある薬実を利用して解毒薬が作られた。
もちろん劉妃に疑いは向いたが、彼女が快く薬実を差し出した事で、追求を逃れてしまった。
というのも、ここで初めて東左が失態を犯した。
予め劉妃の元に戻しておくべきであった、黄毒の調薬方法を記した物を、劉妃の宮へ返却していなかったのだ。
それが劉妃の宮から発見されていれば、確実に劉妃を犯人にできたのに。
その辺りから、なんとなく東左が何を考えているのか芙艶には分からなくなった。
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