139 / 189
第10章 後宮
第400話 末路
しおりを挟む
泉妃が出産の日を迎えたのはそれからひと月が経った頃だった。
懸命な治療の甲斐があり、その頃には泉妃の状態は随分とよくなっていた。
しかしやはり毒素が全て抜けるには時間がわずかに足りないようで、とにかく多くの優秀な医師と産婆、中には皇后の行いに責任を感じた響透国の皇帝が派遣してくれた産医達も見守り、厳重な中での出産となった、
そうして一晩が経ち生まれた子供は元気によく泣く男の子だった。
毒素の影響を心配したものの、響透の産医達による入念な検査の結果、産まれてきた第4皇子には異常はないと言う判断が下った。
とにかく赤子の健康状況が良いことに安堵したものの、胎児に影響しない薬をしっかり選んで盛っていた皇后のやり方に背筋が寒くなった。
きっとこの皇子こそ、彼女は泉妃に成り代わり、一から育てるつもりだったのだ。
そして心配した泉妃だが、やはり通常のお産よりも出血は多かったようだが、それでも命に関わることは無かったらしい。
華奢な泉妃から出てきたのが信じられないくらいふっくらとした赤子を抱いて、翠玉はそう遠くない未来に、自分のもとにもこの愛しい存在がやってくるのだと実感した。
それより少し前、皇后はひっそりと馬車に載せられ湖紅国を後にした。
調査の結果、様々な事件の実行犯が東左であった事が明らかになったものの、それを主導的に指示していたのが皇后だったのか皇太后だったのか、といった部分で秋官も皇帝も判断に窮した。結局のところ泉妃の殺害未遂と姦通の罪のみで裁かれ、廃妃の上流刑を下すところで落ち着いたのだ。
そうして、国内に皇后を残す事を懸念した皇帝の要請で彼女の兄である響透国の皇帝が彼女の身請けを申し出てくれたのだった。
皇后は静かに国を去り祖国へ戻った。
一連の取り調べで話をした以外は、誰とも一切口を聞かなかったという。
そんな彼女が祖国に戻り、毒杯を干したとの報告があったのはしばらく後の事である。
それが他国で罪を犯した皇女に対する響透国皇族の方針なのか、はたまた本人の独断であるのか、それは不明なままであった。
湖紅にその報がもたらされた頃、翠玉は産み月を迎えていた。
懸命な治療の甲斐があり、その頃には泉妃の状態は随分とよくなっていた。
しかしやはり毒素が全て抜けるには時間がわずかに足りないようで、とにかく多くの優秀な医師と産婆、中には皇后の行いに責任を感じた響透国の皇帝が派遣してくれた産医達も見守り、厳重な中での出産となった、
そうして一晩が経ち生まれた子供は元気によく泣く男の子だった。
毒素の影響を心配したものの、響透の産医達による入念な検査の結果、産まれてきた第4皇子には異常はないと言う判断が下った。
とにかく赤子の健康状況が良いことに安堵したものの、胎児に影響しない薬をしっかり選んで盛っていた皇后のやり方に背筋が寒くなった。
きっとこの皇子こそ、彼女は泉妃に成り代わり、一から育てるつもりだったのだ。
そして心配した泉妃だが、やはり通常のお産よりも出血は多かったようだが、それでも命に関わることは無かったらしい。
華奢な泉妃から出てきたのが信じられないくらいふっくらとした赤子を抱いて、翠玉はそう遠くない未来に、自分のもとにもこの愛しい存在がやってくるのだと実感した。
それより少し前、皇后はひっそりと馬車に載せられ湖紅国を後にした。
調査の結果、様々な事件の実行犯が東左であった事が明らかになったものの、それを主導的に指示していたのが皇后だったのか皇太后だったのか、といった部分で秋官も皇帝も判断に窮した。結局のところ泉妃の殺害未遂と姦通の罪のみで裁かれ、廃妃の上流刑を下すところで落ち着いたのだ。
そうして、国内に皇后を残す事を懸念した皇帝の要請で彼女の兄である響透国の皇帝が彼女の身請けを申し出てくれたのだった。
皇后は静かに国を去り祖国へ戻った。
一連の取り調べで話をした以外は、誰とも一切口を聞かなかったという。
そんな彼女が祖国に戻り、毒杯を干したとの報告があったのはしばらく後の事である。
それが他国で罪を犯した皇女に対する響透国皇族の方針なのか、はたまた本人の独断であるのか、それは不明なままであった。
湖紅にその報がもたらされた頃、翠玉は産み月を迎えていた。
62
あなたにおすすめの小説
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。