『あなたの幸せを願っています』と言った妹と夫が愛し合っていたとは知らなくて

[ディエム家の双子姉妹]


ディエム侯爵家には双子の姉妹がいた。

一人が私のことで、もう一人は私と全く似ていない妹のことだ。

両親は私が良いところを全部持って生まれて来たと言って妹を笑っていたから、そんな事はないと、私が妹をいつも庇ってあげていた。

だからあの時も、私が代わりに伯爵家に嫁いで、妹がやりたいことを応援したつもりでいた。

それが間違いだったと気付いたのは、夫に全く相手にされずに白い結婚のまま二年が過ぎた頃、戦場で妹が戦死したとの知らせを聞いた時だった。

妹の遺体に縋って泣く夫の姿を見て、それから騎士から教えられたことで、自分が今まで何をやってきたのか、どんな存在だったのか、どれだけ妹を見下していたのか思い知った。



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