1 / 7
幼馴染みと再会する
しおりを挟む
『無心新太は目が死んでいて何を考えているかわからない』
それが自室でボーッとしている無心新太に持っているクラスメイトの印象だ。
一年前の新太が中学三年生の時に両親が事故で亡くなってしまい、それから完全に心を閉ざしてしまった。
親子で仲が良かったから、新太の心のダメージは計りしれない。
死にたいとすら思ったが、そんなことをしても天国に行った両親は喜ばないだろう。
いつまでも子の幸せを望むのが親なのだから。
だから死ぬということはないが、目が虚ろ気味で無感情だから学校の人たちからの印象は良くない。
もちろん友達なんておらず、学校でもいつも一人だ。
両親が亡くなってからは持ち家を売り払って祖父が経営している1LDKのマンションで一人暮らしをするから遠くへ引っ越したため、中学の頃の友達もいない。
「ご飯買ってこないと……」
両親が望む子の幸せのために死ぬわけにもいかないので、新太はご飯を買いに外に出ることにした。
心を閉ざしてから食欲があまりないが、生きるために毎日何かしら食べるようにしている。
ただ、男子高校生が必要とする量には圧倒的に足りないため、運動をやっていた中学時代の面影がないくらい今は細い体格だ。
部屋着のジャージから着替えて外に出ると、強い日差しが新太を襲う。
八月も終わりの今日も暑く、猛暑日の予報になっている。
天気予報は良く当たるようで、外にいるだけでも汗をかいてしまうほどだ。
この暑さでご飯を食べる気が無くなり、コンビニで飲み物と栄養ドリンクだけ買うことにした。
☆ ☆ ☆
「……新太くん?」
コンビニから戻って来て家に入ろうとした新太であるが、一人の白いワンピースを着た少女が話しかけてきた。
新太のことを知っているということは知り合いなのだろう。
ただ、新太は何も反応しない。
「新太くんですよね? 私、佐伯亜里菜です」
「亜里菜か」
彼女──佐伯亜里菜は新太と同じ年の幼馴染みであり、両親が亡くなるまでは家族ぐるみの付き合いをしていた。
引っ越してから会っていなかったが、何でここにいるのだろうか?
夏休みだから旅行という可能性も否定できないが、ここはマンションの中なのでそれはないだろう。
なのでこのマンションにいる理由は二つで、新太に会いに来たか、亜里菜も引っ越して来たかのどちらかになる。
だけどせっかく幼馴染みと再会したというのに、新太の表情は一切変わらない。
中学の頃の亜里菜はとてもモテ、幼馴染みである新太は学校の男子からとても羨ましがられていた。
腰ほどまであるサラサラとした銀色ストレートヘアーはとても綺麗だし、右が金で左が青のオッドアイ、シミ一つない雪のように白い肌はまるで作り物を見ているかのような錯覚を覚えてしまうほど。
白い髪は母親からの遺伝で、宝石を思わせる美しいオッドアイは虹彩異色症という先天的なものだ。
まるで人形のような容姿の亜里菜であるが、告白が絶えなかったために新太の助言で誰に対しても丁寧な言葉を遣うようになった。
そんな絶世の美少女である亜里菜が目の前にいても、新太は心を閉ざしたままだ。
「新太くん……まだ心の傷が癒えてないんですね」
亜里菜は心配そうに左右で色が違う瞳で新太のことを見つめる。
聞かれても新太は答えず、むしろ亜里菜から視線を外してしまう。
両親が亡くなってからの新太は生きてはいても身体から魂が抜けたようなっており、見かねた亜里菜が一生懸命接してくれた。
彼女がいたから新太は自殺しないですんだのだろう。
でも、地元にいては死んだ両親の光景がフラッシュバックしてしまうため、新太は一人暮らしを始めた。
だけど未だに感情が戻るということはない。
「亜里菜は何でいるの?」
答える気がないので、無理矢理話題を変えようとする。
「今日からこのマンション住むことになったんですよ。もしかして隣ですか?」
「そうだな。俺の家は302」
五階建てマンションの丁度真ん中の階。
隣の301号室は誰も住んでなかったが、今日から亜里菜が住むことになったようだ。
特に興味がなかったので自分の家に入ろうとする新太であるが、亜里菜に腕を掴まれて止められてしまった。
うっすらと瞳に涙がたまっているため、確実に心配している。
未だに無気力な新太を見れば誰だってそうなるだろう。
「何?」
早く家に入って涼みたいが、亜里菜が離さないから帰ることが出来ない。
「私は新太くんに会いに引っ越して来たんです」
「そうか。俺はいつも通りだし心配ない」
だから早く離してほしいという視線を亜里菜に向ける。
「とても大丈夫のように見えません。昔の新太くんを知ってる人からしたら特に……」
昔は元気いっぱいでクラスの中心となっていた新太であるが、今はとてもそうには思えない。
放っておいたらそのまま死んでしまいそうな……とにかく生気を全く感じさせないのが今の新太だ。
幼馴染みである亜里菜からしたら放っておくことは出来ないだろう。
スマホにメッセージが来ても新太は返信すらしなかったのだから。
本当に心配だから引っ越してまで会いに来たのだろう。
「ん? ビニール袋に入ってるのって……」
「今日のご飯だ」
「ご飯って……ペットボトルのお茶と栄養ドリンクしか見えませんよ」
ビニール袋は半透明なので、中身が見えてしまったようだ。
男子高校生が栄養ドリンクで食事を済ませていては、そのうち倒れてしまうだろう。
「私が何か作りますからきちんと食べてください」
「食欲がない」
運動をしなくなって体力が落ちたため、新太は夏バテしてしまった。
一応食べるようにはしているのだが、夏バテのせいでここ数日はほとんど食べていない。
「うどんでもおかゆでも何でも作りますからお願いします」
どうしても食べて欲しいのだろう、亜里菜の顔は今にも泣き出しそうだ。
「わかった。亜里菜の家には食材ある?」
何が何でも亜里菜は新太にご飯食べさせようとするので諦めた。
でも、家には食材はなく、亜里菜のとこにもないなら買いに行かなければならない。
「今日引っ越して来たのでないですね」
「じゃあ買いに行くか」
家の冷蔵庫に飲み物を入れ、新太は再び買い物に行くのであった。
それが自室でボーッとしている無心新太に持っているクラスメイトの印象だ。
一年前の新太が中学三年生の時に両親が事故で亡くなってしまい、それから完全に心を閉ざしてしまった。
親子で仲が良かったから、新太の心のダメージは計りしれない。
死にたいとすら思ったが、そんなことをしても天国に行った両親は喜ばないだろう。
いつまでも子の幸せを望むのが親なのだから。
だから死ぬということはないが、目が虚ろ気味で無感情だから学校の人たちからの印象は良くない。
もちろん友達なんておらず、学校でもいつも一人だ。
両親が亡くなってからは持ち家を売り払って祖父が経営している1LDKのマンションで一人暮らしをするから遠くへ引っ越したため、中学の頃の友達もいない。
「ご飯買ってこないと……」
両親が望む子の幸せのために死ぬわけにもいかないので、新太はご飯を買いに外に出ることにした。
心を閉ざしてから食欲があまりないが、生きるために毎日何かしら食べるようにしている。
ただ、男子高校生が必要とする量には圧倒的に足りないため、運動をやっていた中学時代の面影がないくらい今は細い体格だ。
部屋着のジャージから着替えて外に出ると、強い日差しが新太を襲う。
八月も終わりの今日も暑く、猛暑日の予報になっている。
天気予報は良く当たるようで、外にいるだけでも汗をかいてしまうほどだ。
この暑さでご飯を食べる気が無くなり、コンビニで飲み物と栄養ドリンクだけ買うことにした。
☆ ☆ ☆
「……新太くん?」
コンビニから戻って来て家に入ろうとした新太であるが、一人の白いワンピースを着た少女が話しかけてきた。
新太のことを知っているということは知り合いなのだろう。
ただ、新太は何も反応しない。
「新太くんですよね? 私、佐伯亜里菜です」
「亜里菜か」
彼女──佐伯亜里菜は新太と同じ年の幼馴染みであり、両親が亡くなるまでは家族ぐるみの付き合いをしていた。
引っ越してから会っていなかったが、何でここにいるのだろうか?
夏休みだから旅行という可能性も否定できないが、ここはマンションの中なのでそれはないだろう。
なのでこのマンションにいる理由は二つで、新太に会いに来たか、亜里菜も引っ越して来たかのどちらかになる。
だけどせっかく幼馴染みと再会したというのに、新太の表情は一切変わらない。
中学の頃の亜里菜はとてもモテ、幼馴染みである新太は学校の男子からとても羨ましがられていた。
腰ほどまであるサラサラとした銀色ストレートヘアーはとても綺麗だし、右が金で左が青のオッドアイ、シミ一つない雪のように白い肌はまるで作り物を見ているかのような錯覚を覚えてしまうほど。
白い髪は母親からの遺伝で、宝石を思わせる美しいオッドアイは虹彩異色症という先天的なものだ。
まるで人形のような容姿の亜里菜であるが、告白が絶えなかったために新太の助言で誰に対しても丁寧な言葉を遣うようになった。
そんな絶世の美少女である亜里菜が目の前にいても、新太は心を閉ざしたままだ。
「新太くん……まだ心の傷が癒えてないんですね」
亜里菜は心配そうに左右で色が違う瞳で新太のことを見つめる。
聞かれても新太は答えず、むしろ亜里菜から視線を外してしまう。
両親が亡くなってからの新太は生きてはいても身体から魂が抜けたようなっており、見かねた亜里菜が一生懸命接してくれた。
彼女がいたから新太は自殺しないですんだのだろう。
でも、地元にいては死んだ両親の光景がフラッシュバックしてしまうため、新太は一人暮らしを始めた。
だけど未だに感情が戻るということはない。
「亜里菜は何でいるの?」
答える気がないので、無理矢理話題を変えようとする。
「今日からこのマンション住むことになったんですよ。もしかして隣ですか?」
「そうだな。俺の家は302」
五階建てマンションの丁度真ん中の階。
隣の301号室は誰も住んでなかったが、今日から亜里菜が住むことになったようだ。
特に興味がなかったので自分の家に入ろうとする新太であるが、亜里菜に腕を掴まれて止められてしまった。
うっすらと瞳に涙がたまっているため、確実に心配している。
未だに無気力な新太を見れば誰だってそうなるだろう。
「何?」
早く家に入って涼みたいが、亜里菜が離さないから帰ることが出来ない。
「私は新太くんに会いに引っ越して来たんです」
「そうか。俺はいつも通りだし心配ない」
だから早く離してほしいという視線を亜里菜に向ける。
「とても大丈夫のように見えません。昔の新太くんを知ってる人からしたら特に……」
昔は元気いっぱいでクラスの中心となっていた新太であるが、今はとてもそうには思えない。
放っておいたらそのまま死んでしまいそうな……とにかく生気を全く感じさせないのが今の新太だ。
幼馴染みである亜里菜からしたら放っておくことは出来ないだろう。
スマホにメッセージが来ても新太は返信すらしなかったのだから。
本当に心配だから引っ越してまで会いに来たのだろう。
「ん? ビニール袋に入ってるのって……」
「今日のご飯だ」
「ご飯って……ペットボトルのお茶と栄養ドリンクしか見えませんよ」
ビニール袋は半透明なので、中身が見えてしまったようだ。
男子高校生が栄養ドリンクで食事を済ませていては、そのうち倒れてしまうだろう。
「私が何か作りますからきちんと食べてください」
「食欲がない」
運動をしなくなって体力が落ちたため、新太は夏バテしてしまった。
一応食べるようにはしているのだが、夏バテのせいでここ数日はほとんど食べていない。
「うどんでもおかゆでも何でも作りますからお願いします」
どうしても食べて欲しいのだろう、亜里菜の顔は今にも泣き出しそうだ。
「わかった。亜里菜の家には食材ある?」
何が何でも亜里菜は新太にご飯食べさせようとするので諦めた。
でも、家には食材はなく、亜里菜のとこにもないなら買いに行かなければならない。
「今日引っ越して来たのでないですね」
「じゃあ買いに行くか」
家の冷蔵庫に飲み物を入れ、新太は再び買い物に行くのであった。
0
あなたにおすすめの小説
【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました
田中又雄
恋愛
俺には幼稚園の頃からの幼馴染がいた。
しかし、高校進学にあたり、別々の高校に行くことになったため、中学卒業のタイミングで思い切って告白してみた。
だが、返ってきたのは…「はぁ!?誰があんたみたいなのと付き合うのよ!」という酷い言葉だった。
それからは家は近所だったが、それからは一度も話をすることもなく、高校を卒業して、俺たちは同じ大学に行くことになった。
そんなある日、とある噂を聞いた。
どうやら、あいつがレンタル彼女なるものを始めたとか…。
気持ち悪いと思いながらも俺は予約を入れるのであった。
そうして、デート当日。
待ち合わせ場所に着くと、後ろから彼女がやってきた。
「あ、ごめんね!待たせちゃっ…た…よ…ね」と、どんどんと顔が青ざめる。
「…待ってないよ。マイハニー」
「なっ…!?なんであんたが…!ばっかじゃないの!?」
「あんた…?何を言っているんだい?彼女が彼氏にあんたとか言わないよね?」
「頭おかしいんじゃないの…」
そうして、ドン引きする幼馴染と俺は初デートをするのだった。
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる