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繋がる記憶
十二話
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「えっ……ちょ、ちょっと待ってよ!」
前置きなしに言われ、動揺を隠そうともせず衝動のまま出た言葉で引き止める。記憶を知りたいと言っていたはずなのに、どうして今更どうでもいいなんて言うのか。せっかく手掛かりも増えてきたのに。
「そんな事言われても私はっ……!」
「もう、俺はこの世界には居られないんだ」
私の言葉を遮り、淡々と言う零にかける言葉を見つけることが出来なかった。頭の中は疑問でいっぱいで、言いたいことも沢山あった。だが、それ以上に零が突然居なくなるという発言を信じられず、同時に直前まで言ってくれなかったことが……悲しかった。
「なんで、急にそんなこと……」
「ごめんね。中々言い出せなくてさ」
伏せていた目を一度だけこちらに寄越し私を見た零は、申し訳なさそうに力なく笑った。その瞳は僅かに潤んでいた。
「最後に桜空の思い出話聞けて良かったよ。……ありがとう」
零は背を向けて歩き出す。ここで何も言わなければ、多分もう二度と会えない。何でもいい。何か言わないと。
「待って、どこ行くの」
反射的に彼の腕を掴むと、顔だけをこちらに向けて困ったように眉根を寄せて苦笑いしながら行き先を告げる。
「んー、思い出の場所……かな」
「えっ?」
「最期はそこで迎えたいんだ。ついてきちゃ、ダメだよ?」
その言葉を言ったかと思えば、瞬きの間に零は消えていた。あの言葉からして今ここで成仏した訳では無いだろう。しかし今まで普通に話していたのにも関わらず、勝手に消えるとは身勝手にも程がある。別れを惜しむ間もなくどこかへ行くなんて酷いだろう。
「ああもうっ、なんなの!」
訳が分からぬまま消えてしまった零に少し苛立つが、誰もいない公園を見て虚しくなる。帰ろう。振り返って、朝は駆け足で来た道をとぼとぼと歩いていく。
「おー、桜空。そんな顔をしてどうしたんじゃ」
声の方を見ると義雄おじさんが腰に手を当て、私より低くなってしまった頭から二つの目でこちらを見上げていた。にやにやとしていて茶目っ気たっぷりだ。
「恋の悩みかの?」
「違いますっ!」
この間もしたやり取りだ。でも、今とこの間では状況が違う。でも、鬱屈した気持ちを紛らわすには丁度いいかもしれない。義雄おじさんと話していれば、少しは気が晴れるだろうか。
「本当に反応が零くんと似とるのう」
「いや、零くんとって……え?」
義雄おじさんは焦った顔をし、失言を誤魔化すようにそっぽを向いて、吹けもしない口笛を吹いていた。私の顔色を伺うように忙しなくちらちらとこちらを見ている。
前置きなしに言われ、動揺を隠そうともせず衝動のまま出た言葉で引き止める。記憶を知りたいと言っていたはずなのに、どうして今更どうでもいいなんて言うのか。せっかく手掛かりも増えてきたのに。
「そんな事言われても私はっ……!」
「もう、俺はこの世界には居られないんだ」
私の言葉を遮り、淡々と言う零にかける言葉を見つけることが出来なかった。頭の中は疑問でいっぱいで、言いたいことも沢山あった。だが、それ以上に零が突然居なくなるという発言を信じられず、同時に直前まで言ってくれなかったことが……悲しかった。
「なんで、急にそんなこと……」
「ごめんね。中々言い出せなくてさ」
伏せていた目を一度だけこちらに寄越し私を見た零は、申し訳なさそうに力なく笑った。その瞳は僅かに潤んでいた。
「最後に桜空の思い出話聞けて良かったよ。……ありがとう」
零は背を向けて歩き出す。ここで何も言わなければ、多分もう二度と会えない。何でもいい。何か言わないと。
「待って、どこ行くの」
反射的に彼の腕を掴むと、顔だけをこちらに向けて困ったように眉根を寄せて苦笑いしながら行き先を告げる。
「んー、思い出の場所……かな」
「えっ?」
「最期はそこで迎えたいんだ。ついてきちゃ、ダメだよ?」
その言葉を言ったかと思えば、瞬きの間に零は消えていた。あの言葉からして今ここで成仏した訳では無いだろう。しかし今まで普通に話していたのにも関わらず、勝手に消えるとは身勝手にも程がある。別れを惜しむ間もなくどこかへ行くなんて酷いだろう。
「ああもうっ、なんなの!」
訳が分からぬまま消えてしまった零に少し苛立つが、誰もいない公園を見て虚しくなる。帰ろう。振り返って、朝は駆け足で来た道をとぼとぼと歩いていく。
「おー、桜空。そんな顔をしてどうしたんじゃ」
声の方を見ると義雄おじさんが腰に手を当て、私より低くなってしまった頭から二つの目でこちらを見上げていた。にやにやとしていて茶目っ気たっぷりだ。
「恋の悩みかの?」
「違いますっ!」
この間もしたやり取りだ。でも、今とこの間では状況が違う。でも、鬱屈した気持ちを紛らわすには丁度いいかもしれない。義雄おじさんと話していれば、少しは気が晴れるだろうか。
「本当に反応が零くんと似とるのう」
「いや、零くんとって……え?」
義雄おじさんは焦った顔をし、失言を誤魔化すようにそっぽを向いて、吹けもしない口笛を吹いていた。私の顔色を伺うように忙しなくちらちらとこちらを見ている。
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