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繋がる記憶
十四話
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「あった……っ!」
どの写真を見ても本当に仲睦まじく楽しそうに写っている。中学の頃の零なのか少し幼い面持ちの零とその腕を掴んで話そうとしない私の写真。ビニールプールで遊ぶ私にずぶ濡れにされ困ったように笑っているのは半袖のTシャツにジーパンというラフな格好をしている零だ。
落ち葉を紙の貼り付けて作ったものを零に誇らしげに見せている私の写真もあれば、雪だるまを間に挟んで撮った私と零の写真もある。
沢山……本当に沢山の写真と思い出がこのアルバムには刻まれていた。どのページを見てもそこには必ず零がいる。
だが、楽しげなページが突如途切れていた。それは最早見慣れた、十年前の零の制服姿だった。隣には私もいる。撮られた場所は満開の桜が咲く、とある丘の上だった。
この写真を皮切りに、後ろのページには何も貼られていない空白が続いている。なぜならここより先の時間に、零はいないから。
……死んでしまったのだ。
「……れ、い……っ……」
ぽたぽたと大粒の雫が空白のページを濡らしていく。一度溢れたそれは留まることを知らず、次々と染みを作っていった。
私は零とこんなにも繋がりがあったのだ。そう自覚するとこれまで彼と公園で話したあの時間のことが思い出された。
なぜ零が死んでしまったのか、どうして両親は何も言わなかったのか、聞きたいことは山ほどあったが何よりも……もう一度零に会いたいという気持ちが強かった。
どれくらい経ったのだろうか。泣きじゃくる私の耳に、ドアを開ける音と二人分の足音が聞こえた。
「な、なんだこれは!!」
「えっ、どうなっているの!?」
荒れた家の有様を見て驚いている両親に私は間髪入れずアルバムを開いて見せつけた。
「お父さん、お母さんっ! この写真は、この人はっ…………!?」
「どこからそれを!?」
「それは零くんとの……?」
両親が動揺しているのが見て取れた。私は立て続けに問いを投げかける。一刻も早く答えを知りたかった。
「どうして、零は死んじゃったの……!?」
両親が息を呑むのが分かった。その後、二人は顔を見合わせ難しい顔をして黙りこくってしまった。
重たい沈黙の後、優しい眼差しを向けてこの状況を打破したのは母だった。短く前置きをしてから覚悟を決めたかのように唇を引き締め話し始めた。
「……元々、いつかは話そうと思っていたの」
「お母さん……」
「怒らないで聞いてもらえる?」
どの写真を見ても本当に仲睦まじく楽しそうに写っている。中学の頃の零なのか少し幼い面持ちの零とその腕を掴んで話そうとしない私の写真。ビニールプールで遊ぶ私にずぶ濡れにされ困ったように笑っているのは半袖のTシャツにジーパンというラフな格好をしている零だ。
落ち葉を紙の貼り付けて作ったものを零に誇らしげに見せている私の写真もあれば、雪だるまを間に挟んで撮った私と零の写真もある。
沢山……本当に沢山の写真と思い出がこのアルバムには刻まれていた。どのページを見てもそこには必ず零がいる。
だが、楽しげなページが突如途切れていた。それは最早見慣れた、十年前の零の制服姿だった。隣には私もいる。撮られた場所は満開の桜が咲く、とある丘の上だった。
この写真を皮切りに、後ろのページには何も貼られていない空白が続いている。なぜならここより先の時間に、零はいないから。
……死んでしまったのだ。
「……れ、い……っ……」
ぽたぽたと大粒の雫が空白のページを濡らしていく。一度溢れたそれは留まることを知らず、次々と染みを作っていった。
私は零とこんなにも繋がりがあったのだ。そう自覚するとこれまで彼と公園で話したあの時間のことが思い出された。
なぜ零が死んでしまったのか、どうして両親は何も言わなかったのか、聞きたいことは山ほどあったが何よりも……もう一度零に会いたいという気持ちが強かった。
どれくらい経ったのだろうか。泣きじゃくる私の耳に、ドアを開ける音と二人分の足音が聞こえた。
「な、なんだこれは!!」
「えっ、どうなっているの!?」
荒れた家の有様を見て驚いている両親に私は間髪入れずアルバムを開いて見せつけた。
「お父さん、お母さんっ! この写真は、この人はっ…………!?」
「どこからそれを!?」
「それは零くんとの……?」
両親が動揺しているのが見て取れた。私は立て続けに問いを投げかける。一刻も早く答えを知りたかった。
「どうして、零は死んじゃったの……!?」
両親が息を呑むのが分かった。その後、二人は顔を見合わせ難しい顔をして黙りこくってしまった。
重たい沈黙の後、優しい眼差しを向けてこの状況を打破したのは母だった。短く前置きをしてから覚悟を決めたかのように唇を引き締め話し始めた。
「……元々、いつかは話そうと思っていたの」
「お母さん……」
「怒らないで聞いてもらえる?」
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