貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

文字の大きさ
33 / 103
皇都

挨拶という名の根回し

しおりを挟む
翌日ざらぱぱは騎士団へ、わたしとガル、りーぱぱは冒険者ギルドだ。




ここが、総本山というだけあって、建物も大きいし、人の出入りも多い。4階建てくらいかな?皇都でも、5階建てくらいの建物しかない。その一番大きいのが、商業ギルドだそう。儲かってるんだね。

わたしたちが入っていくと、喧騒がピタリと止み、そこにいたみんなが、こちらの様子を窺ってくる。この注目は、いつまでたっても馴れない。ガルの服をぎゅっと握り肩に顔をぐりぐりする。

「リール、さっさと行くぞ」

「そうですね」

ふたりは、周りに構うことなく、さっさとカウンターへ行き、用件を告げた。

「総帥に取り次いでください」

3人分のカードを渡すと、受付のお姉さんは慌てて「は、はいい!」と席を離れていった。




お姉さんはすぐに戻ってきた。

「に、2階の執務室で、おま、お待ちです」


わたしたちがカウンターを離れ、階段を登ると、下は「「「「うご~!!!!」」」」と、それはそれは騒がしくなった。

「「ハァ・・・・」」


コンコンコン

「入れ~」

「ご無沙汰しております、総帥」

「なんじゃ、良い返事でも持ってきおったか!?」 

「何のことでしょう?」

りーぱぱは、黒い笑顔全開で惚けている。

総帥さんは、エルフのおじいちゃんだった。
優しそうだけど、面倒くさくて、侮れない人、という印象だ。

「まあ、座れ」

りーぱぱとガルは、総帥さんの向かい側、わたしは膝の上だ。



コンコンコン

「なんじゃ~」

「失礼致します」

眼鏡をかけた知的美人なお姉さんが入ってきた。豹さんかな?わたしたちにお茶を出すと、総帥さんの後ろに控える。

「で、今日はどうしたんじゃ?まぁ、噂は、いろいろと入ってきとるがのぉ」

「総帥のお耳に入れるようなものはありませんよ」

「何をいうか!一大事だわい。わしの進退がかかっておる!」

「そんなものが懸かっていたことは、一度もありません」

「いつまでわしをこき使う気じゃい!」

「・・・・・・・・」

うわっ、面倒くさい!
ガルの顔にもそう書いてある。

ふたりはまだ、遣り合っている、というよりも、総帥さんがじゃれている感じかな?終わるまで、まだかかりそうだよね?寝て良いかな?なんだかねぇ、最近よく精神が子供の身体に引っ張られちゃう。

くわっ、とあくびが出た。

「遊びは、そのくらいにしてください。シャナが退屈で寝てしまいます」

「そうじゃな。そろそろ、本題に入ろうかのぅ」

やっとか。長かったな。

「で、その子が噂の子かの?」

また、噂かぁ。
今度はどんな噂?

「どのような噂かは存じませんが・・、ガルドの番で、私とザラムが後見する予定ではありますね」

「ほぉ」

総帥さんは、目を細めてわたしをじっと見た。なんでか、負けないぞ!って気になってしまい、同じような顔で、じっと総帥さんを見た。にらめっこみたいだ。

ムン、にらめっこなら、負けない!

「ふほほほほほほ。なんとも度胸のある子じゃわい」

「ガル、にらめっこ、勝ったよ!」

満面の笑みでそう言うと、みんな、驚いたように目を見開き、そして・・・・。


「くくくく、はははははっ、そうかにらめっこか」

「なんと!ほほほほほほほほ」

「ふふふふふふふふ、あなたという子は!」

「フフフフフ、微笑ましいですね」


え?なんか違ったみたい?

コテンと首を傾げて、みんなを見回した。

「シャナは、そのままでいろよ」

ガルに頭をポンポンされる。


「気に入った!わしは冒険者ギルドの総帥・・代表じゃな。名前は、ライムジライじゃ。ライムじいちゃんと呼んでくれんかのぅ」

「シャナです、らいんじ・・らい・む・じいちゃん」

ガルの膝から降りて、ペコンと頭を下げる。相変わらず、舌っ足らずな口だ。

「呼びにくそうじゃのう。リールやザラムはなんと呼んどるんじゃ?」

「ん?りーぱぱとざらぱぱ」

「なら、わしは、らいじい、じゃな」

「らいじい?」

「そうじゃ、そうじゃ。いいのう。こんな孫が欲しいの」

らいじいは、ニコニコだ。顔がとろけそうになっている。

「リールも子供がほしいなら伴侶を持てばよかろう?」

「何を言っているんですか?とうとう呆けましたか?」

「ねぇ、お話ししないの?シャナ、眠くなってきたよ」

「・・、そうでしたね。総帥、おふざけは、ここまでです!」

「わかっとる!わかっとるから、そんなに睨むでないわい。それで、このじじいに何の用じゃ?後見人の審査は、3日後じゃろう」

「特に何かあるわけではありませんよ。審査員の方にご挨拶に伺ったまでです」

「ほお?」

「本当にそれだけですよ。ただ・・・・」

りーぱぱはちらりと後ろのお姉さんを見た。

「用があれば呼ぶから、下がっておれ」

「畏まりました」

おねえさんは、それだけ言うと、ペコンと頭を下げて、下がっていった。りーぱぱは、防音の結界を張ってから、らいじいを見据えて切り出した。

「シャナの両親を名乗る者が数組。その中で一組だけ、禁術を掛けられた者達がいました」

らいじいの眉がピクリと動いた。

「禁術じゃと?間違いないのじゃな?」

りーぱぱは、頷きながら事のあらましを話していった。その間、らいじいは難しい顔で黙ったまま聞いている。

「はぁ、やはりのぉ。このところ、神殿の様子がおかしいとは思っておったが、無関係ではなさそうじゃのぉ」

「ねぇねぇ、ガル。あのね、・・・・・・」

こそこそとガルにだけ聞こえるくらいの小声で、伝えた。ガルは、わたしの髪を撫でながら、頭を自分の胸の方へと引き寄せた。そして、ボソッと一言だけ。

「分かった」

コクン

「おい、さっきのあの女は何者だ?」

突然のガルの問いかけにらいじいは、片眉をくいっとあげてこちらを見た。

「あれは、儂の秘書じゃよ。商業ギルドの総帥の孫娘でな、半年ほど前に頼まれたんじゃが、それがどうした?」

「あの女、隷属の魔法をかけられてるぞ。主は・・・・、レイモンド・・・・・

りーぱぱもらいじいも目を見開いてガルを見た。最も、りーぱぱは、わたしを、だけど。

「それは、確かですか?」

「ああ、間違いないな」

「そんなばかな。あれは、儂のためによく働いてくれておるし、アレックスが儂を謀るなど・・・・」

「それは知らんが、あの女が利用されてるのは確かだな」

「う、ううむ・・・・」

らいじいは、難しい顔で黙り込んでしまった。

「ハァ、隷属の魔法を掛けたのが神官長と決まったわけではありませんが、やはり、これを渡しておいた方が良さそうですね」

りーぱぱはそう言うと、らいじいにわたしと一緒に作った魔道具を渡した。それは、精神操作を無効化するものだ。隷属の魔法も弾くことができる。らいじいは、素直に受け取ってくれた。

「済まんな。信用しておっただけに、ショックでな」

「主の命令さえ実行できれば、割りと自由度は高そうですから、気付きにくくはありますね。ギルドの動向を報告するのが目的のようですし。主が神官長なら、見た目に騙されたという可能性は否めませんが・・・・」

ということは、私たちがここに来たのは、主さんにはばれちゃうんじゃないの?

「ここに来たことを報告されるのは別に構わないのですよ、シャナ。あちらもここで重要な話をするとは思ってないでしょうからね」

また、顔を読まれた・・・・。
ちょっとだけりーぱぱを睨んでおく。

「さあ、話は終わりましたし、長居は無用です。帰りますよ。総帥、お気をつけて」

そう言うと、わたしたちは冒険ギルドを後にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

処理中です...