貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

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皇都

挨拶という名の根回し

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翌日ざらぱぱは騎士団へ、わたしとガル、りーぱぱは冒険者ギルドだ。




ここが、総本山というだけあって、建物も大きいし、人の出入りも多い。4階建てくらいかな?皇都でも、5階建てくらいの建物しかない。その一番大きいのが、商業ギルドだそう。儲かってるんだね。

わたしたちが入っていくと、喧騒がピタリと止み、そこにいたみんなが、こちらの様子を窺ってくる。この注目は、いつまでたっても馴れない。ガルの服をぎゅっと握り肩に顔をぐりぐりする。

「リール、さっさと行くぞ」

「そうですね」

ふたりは、周りに構うことなく、さっさとカウンターへ行き、用件を告げた。

「総帥に取り次いでください」

3人分のカードを渡すと、受付のお姉さんは慌てて「は、はいい!」と席を離れていった。




お姉さんはすぐに戻ってきた。

「に、2階の執務室で、おま、お待ちです」


わたしたちがカウンターを離れ、階段を登ると、下は「「「「うご~!!!!」」」」と、それはそれは騒がしくなった。

「「ハァ・・・・」」


コンコンコン

「入れ~」

「ご無沙汰しております、総帥」

「なんじゃ、良い返事でも持ってきおったか!?」 

「何のことでしょう?」

りーぱぱは、黒い笑顔全開で惚けている。

総帥さんは、エルフのおじいちゃんだった。
優しそうだけど、面倒くさくて、侮れない人、という印象だ。

「まあ、座れ」

りーぱぱとガルは、総帥さんの向かい側、わたしは膝の上だ。



コンコンコン

「なんじゃ~」

「失礼致します」

眼鏡をかけた知的美人なお姉さんが入ってきた。豹さんかな?わたしたちにお茶を出すと、総帥さんの後ろに控える。

「で、今日はどうしたんじゃ?まぁ、噂は、いろいろと入ってきとるがのぉ」

「総帥のお耳に入れるようなものはありませんよ」

「何をいうか!一大事だわい。わしの進退がかかっておる!」

「そんなものが懸かっていたことは、一度もありません」

「いつまでわしをこき使う気じゃい!」

「・・・・・・・・」

うわっ、面倒くさい!
ガルの顔にもそう書いてある。

ふたりはまだ、遣り合っている、というよりも、総帥さんがじゃれている感じかな?終わるまで、まだかかりそうだよね?寝て良いかな?なんだかねぇ、最近よく精神が子供の身体に引っ張られちゃう。

くわっ、とあくびが出た。

「遊びは、そのくらいにしてください。シャナが退屈で寝てしまいます」

「そうじゃな。そろそろ、本題に入ろうかのぅ」

やっとか。長かったな。

「で、その子が噂の子かの?」

また、噂かぁ。
今度はどんな噂?

「どのような噂かは存じませんが・・、ガルドの番で、私とザラムが後見する予定ではありますね」

「ほぉ」

総帥さんは、目を細めてわたしをじっと見た。なんでか、負けないぞ!って気になってしまい、同じような顔で、じっと総帥さんを見た。にらめっこみたいだ。

ムン、にらめっこなら、負けない!

「ふほほほほほほ。なんとも度胸のある子じゃわい」

「ガル、にらめっこ、勝ったよ!」

満面の笑みでそう言うと、みんな、驚いたように目を見開き、そして・・・・。


「くくくく、はははははっ、そうかにらめっこか」

「なんと!ほほほほほほほほ」

「ふふふふふふふふ、あなたという子は!」

「フフフフフ、微笑ましいですね」


え?なんか違ったみたい?

コテンと首を傾げて、みんなを見回した。

「シャナは、そのままでいろよ」

ガルに頭をポンポンされる。


「気に入った!わしは冒険者ギルドの総帥・・代表じゃな。名前は、ライムジライじゃ。ライムじいちゃんと呼んでくれんかのぅ」

「シャナです、らいんじ・・らい・む・じいちゃん」

ガルの膝から降りて、ペコンと頭を下げる。相変わらず、舌っ足らずな口だ。

「呼びにくそうじゃのう。リールやザラムはなんと呼んどるんじゃ?」

「ん?りーぱぱとざらぱぱ」

「なら、わしは、らいじい、じゃな」

「らいじい?」

「そうじゃ、そうじゃ。いいのう。こんな孫が欲しいの」

らいじいは、ニコニコだ。顔がとろけそうになっている。

「リールも子供がほしいなら伴侶を持てばよかろう?」

「何を言っているんですか?とうとう呆けましたか?」

「ねぇ、お話ししないの?シャナ、眠くなってきたよ」

「・・、そうでしたね。総帥、おふざけは、ここまでです!」

「わかっとる!わかっとるから、そんなに睨むでないわい。それで、このじじいに何の用じゃ?後見人の審査は、3日後じゃろう」

「特に何かあるわけではありませんよ。審査員の方にご挨拶に伺ったまでです」

「ほお?」

「本当にそれだけですよ。ただ・・・・」

りーぱぱはちらりと後ろのお姉さんを見た。

「用があれば呼ぶから、下がっておれ」

「畏まりました」

おねえさんは、それだけ言うと、ペコンと頭を下げて、下がっていった。りーぱぱは、防音の結界を張ってから、らいじいを見据えて切り出した。

「シャナの両親を名乗る者が数組。その中で一組だけ、禁術を掛けられた者達がいました」

らいじいの眉がピクリと動いた。

「禁術じゃと?間違いないのじゃな?」

りーぱぱは、頷きながら事のあらましを話していった。その間、らいじいは難しい顔で黙ったまま聞いている。

「はぁ、やはりのぉ。このところ、神殿の様子がおかしいとは思っておったが、無関係ではなさそうじゃのぉ」

「ねぇねぇ、ガル。あのね、・・・・・・」

こそこそとガルにだけ聞こえるくらいの小声で、伝えた。ガルは、わたしの髪を撫でながら、頭を自分の胸の方へと引き寄せた。そして、ボソッと一言だけ。

「分かった」

コクン

「おい、さっきのあの女は何者だ?」

突然のガルの問いかけにらいじいは、片眉をくいっとあげてこちらを見た。

「あれは、儂の秘書じゃよ。商業ギルドの総帥の孫娘でな、半年ほど前に頼まれたんじゃが、それがどうした?」

「あの女、隷属の魔法をかけられてるぞ。主は・・・・、レイモンド・・・・・

りーぱぱもらいじいも目を見開いてガルを見た。最も、りーぱぱは、わたしを、だけど。

「それは、確かですか?」

「ああ、間違いないな」

「そんなばかな。あれは、儂のためによく働いてくれておるし、アレックスが儂を謀るなど・・・・」

「それは知らんが、あの女が利用されてるのは確かだな」

「う、ううむ・・・・」

らいじいは、難しい顔で黙り込んでしまった。

「ハァ、隷属の魔法を掛けたのが神官長と決まったわけではありませんが、やはり、これを渡しておいた方が良さそうですね」

りーぱぱはそう言うと、らいじいにわたしと一緒に作った魔道具を渡した。それは、精神操作を無効化するものだ。隷属の魔法も弾くことができる。らいじいは、素直に受け取ってくれた。

「済まんな。信用しておっただけに、ショックでな」

「主の命令さえ実行できれば、割りと自由度は高そうですから、気付きにくくはありますね。ギルドの動向を報告するのが目的のようですし。主が神官長なら、見た目に騙されたという可能性は否めませんが・・・・」

ということは、私たちがここに来たのは、主さんにはばれちゃうんじゃないの?

「ここに来たことを報告されるのは別に構わないのですよ、シャナ。あちらもここで重要な話をするとは思ってないでしょうからね」

また、顔を読まれた・・・・。
ちょっとだけりーぱぱを睨んでおく。

「さあ、話は終わりましたし、長居は無用です。帰りますよ。総帥、お気をつけて」

そう言うと、わたしたちは冒険ギルドを後にした。
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