貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

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皇都

事後処理って面倒

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審査が無事終了し、わたしの後見人にガル、りーぱぱ、ざらぱぱが登録された。


ホッと一息ついて、案内された部屋で4人で寛ぎながら、先程のことについて、情報のすり合わせだ。半刻後に、と皇帝陛下から呼び出しがあったからあまり時間がない。

「シャナの状態を、スノウが教えてくれたのですよ。でなければ、魂が飛ばされていたかもしれません」

「そっかぁ。スノウ、出ておいで」

(呼んだぁ?)

「うん。さっきは助けてくれてありがとう。スノウのお陰で助かったよ」

肩に留まったスノウに頬を寄せた。

(僕は、常にシャナと繋がってるからね!シャナに異変があればすぐに分かるよ!)

「そうなんだ。これからもよろしくね」

(もちろん!)

3人も真剣な表情で、スノウにお願いしている。スノウ凄い!

「ところでシャナ、あの黒い靄は一体なんだったのか判りますか?」

「あれは、この世界のどの属性にも当てはまらない闇より危険な魔法だと思う」

「なぜそう思うのです?」

「えっと、光魔法で対抗できないから闇魔法ではないでしょ?闇魔法でなくて、精神に働きかけたり闇落ちさせるような魔法はないよね?闇魔法でも記憶の改竄なんて無理だし。なにより、聖魔法だけは効いたから」

「なるほど」

「では、ザラムが斬りつけた際に吹き出した禍々しいものは、それと同じということでしょうか?」

「吹き出してきた禍々しいものが分からないけど、わたしが視たのと同じなら、それと同じであり、違うものだと思う」

「どういうことですか?」

「黒い靄は魔法で、禍々しいものは質量を持った何か。黒い靄は、禍々しいものの一部というかそれが使った魔法になるんだと思う。神官長が倒れたとき、神官長から出てきた黒い物体が人の形をとろうとしてたの。それで、わたしに手のようなものを伸ばしてきて・・・・」

そこまで言って、そのときの状況を思い出してしまい、フルリと震えてしまった。

「ああ、シャナには嫌なことを思い出させてしまいましたね」

りーぱぱは、労るようにわたしの頭をポンポンと撫でてくれた。そして、ざらぱぱも。スノウまで頬にクリクリと小さな身体を擦り寄せてくる。ガルは、膝の上のわたしをぎゅっと抱き締めてくれる。審査からずっとわたしを離そうとしない。暫くその状態でわたしの心が安定するのを待ってくれた。



「それで、ザラムが扱った大剣はいったいなんだったのでしょう?」

いい笑顔のりーぱぱが怖い!

どうやら、わたしがやらかした大剣で何か攻撃したみたいだ。あれ、ちょっと調子にのって創っちゃった聖剣なんだよね。普段はバングルだし、人は斬れないから武器として反応しなかったんだろうな。わたしが持ってても仕方ないから、ざらぱぱにあげたんだ。格好いいって、時々バングルから大剣にして眺めてた。りーぱぱには、言いそびれたままだ・・・・。ヤバイ!

「ざらぱぱの使ったのって、神官長を浄化した大剣だよね?あれね、ちょっと調子にのって、タルで創った聖剣なの・・・・。人は斬れないから、武器としては認識されないみたい。こんなのあったら、かっこいいなぁって思ってたら、出来ちゃった・・・・。簡単に言うと、全属性の魔力を聖魔法に変換して使う大剣。普段はバングルになってる。ざらぱぱの左手首にあるでしょう?」

聖剣のことを伝えると、りーぱぱ頭を抱えて机に伏せてしまった。ガルも呆れ顔で膝の上のわたしを見ている。

「なんでザラムに渡した?」

「創ったとき、たまたま一緒にいて、欲しいって言うから・・・・」

「ザラムだけ狡い!俺にも創ってくれ!」

ムッとしたガルの勢いに負けて、コクコクと頷いた。ちょっと怖かった。

「なんという物を創ったのですか!」

「だって、リッチとかアンデッドとか、とにかく禍々しいものを斬れると便利だなぁって思ったら、出来ちゃったんだもん!」

「あー、それでは今回は助かったんだ。赦してやれ」

「ふたりとも報告はきちんとしなさい。創ってしまったものは仕方ありません。私の分もお願いしますね。私は、杖にします」

おうふ、りーぱぱからも注文が入ったよ。

すぐさま材料を取り出して、ガルには普通の刃の潰れた剣、りーぱぱには希望通り魔法使いの杖を創った。鑑定でちゃんと聖剣になっていたけど、杖も聖剣・・なんだね。聖杖とか錫杖かと思った。





そして、時間になり、迎えに来た案内人について行くと、中央に円卓のある落ち着いた調度品備え付けられた部屋へと通された。部屋には、皇帝陛下と審査にいた中でも声が聴こえた人たちと更にエルフの国の騎士団総帥、騎士団長、宰相が勢揃いしていた。そうそうたる顔ぶれだ。

「呼び出された理由は分かっているな?だが、その前に報告しておく。明日は、すべての国の国王・騎士団総帥・近衛師団長・騎士団長・魔術師団長・宰相が呼ばれている。ゆえに、エルフの国から先程は参加していなかった者たちも呼び寄せた」

わたしたちが席につくと直ぐに皇帝陛下が切り出した。

「先程の件について、私の分かっている範囲で説明申し上げます」

ぐるっと全員を見回して、りーぱぱが説明を始める。

「それにはまず、シャナーリエのことをお伝えする必要があります」

「シャナではなかったのか?」

騎士団長がわたしの名前を不思議に思ったのか、りーぱぱに質問した。 

「正式には、シャナーリエです。ですが、市井で暮らすには、不都合があるため、普段はシャナで通させています」

「では、その娘は、どこぞの貴族もしくは王族であると?」

これは、エルフの魔術師団長だ。
りーぱぱは、首を横に降った。

「シャナは、・・・・女神様がここではない・・・・・・世界ところから呼び戻したガルドの番です」

「なっ!」

「「「「!!!!」」」」

「どういうことだ、リーランス。昨日は何も言わなかったが」

国王がりーぱぱに説明を求めた。

「あまり、公にしない方がいいと判断しました。しかしながら、今回の件で狙われたのは、シャナですから」

りーぱぱは、わたしのこれまでのことをわたしの称号をふまえて簡潔に説明した。

「シャナーリエ、リーランスの言うことは、事実か?」

皇帝陛下が真偽を確かめるようにわたしをじっと見てくる。

コクン

「ふむ。それと今回のこととどんな関係がある?」

これは、りーぱぱへの質問だろう。更にりーぱぱは、両親を名乗ったふたりに掛けられていた隷属の魔法のこと、その主が神官長の名前と同じだったこと告げた。

「それについては、審査の前に聞いていたな」

「ええ。そして、今日、神官長はあの場にいた全員を闇に落とそうとした、もしくは、隷属や精神操作によってあの場を操ろうとしていました」

「なぜ、そう言える?神官は、女神様の制約によって、闇魔法はかなり厳しく制限されているのは知っているだろう」

「それを確認するために鑑定をしましたが、神官長は私の鑑定を弾きました。それに、神官長から得体の知れない黒い靄が発生し、全員を覆い尽くしていたからです」

「なっ!!!リーランスの鑑定を弾くなど・・・・!」

りーぱぱの能力を知っているのか、全員を驚きを隠せずにいる。両国の魔術師団長もだ。

そっかぁ、りーぱぱも鑑定してたんだ。

「その黒い靄とは、なんだ?危険なものなのか?我々には視認できなかったが。あの吹き出してきた禍々しいものと同じなのか?それとシャナーリエとなんの関係がある?」

「それとは、別物と考えた方がいいでしょう。あれは、闇よりも危険なこの地にはない魔法。実際、お渡ししていた魔道具は用をなさなかった。詳しくは、明日、女神様にお伺いしなければわかりませんが・・・・。それに、聴こえたでしょう?何者とも判らぬ声が。声の主は、シャナの身体を狙ったのですよ」

「何故、シャナーリエの身体を狙うのだ?」

「なぜ、この地にはない魔法だと?」

次々に質問がくる。

「それは、魔術師団長殿が一番良くお分かりではないですか?吹き出してきた禍々しいものに浄化の魔法は効かなかった。そして、黒い靄にも効かなかったのですよ」

ふたりの魔術師団長は、苦虫を潰したように難しい顔になった。

「これは、わたしの推測ですが、シャナの身体には、女神様が関わっている。声の主には、それが判ったのでしょう」

「それではなぜ、我々は、闇落ちもせず、精神操作もされておらんのだ?リーランスの言うことが正しいなら、あの時正常な状態であったのはおかしいだろう」

もっともなことを騎士団総帥が言う。そうだよね。あれ、結構威力あったから3分も浴びてたら、状態異常になってる。

「それは、・・・・」

りーぱぱは言葉をきり、目を伏せた。どう説明するか、思案しているのだろう。わたしのことを伏せるべきか、それとも明かすべきか?

「新たな魔法属性に目覚めた者が居るから、とだけお答えします」

周りがざわざわとしだす。

「それは、・・・・、アルトザラムのことか?」

えっ!何でそこでざらぱぱが出てくるの?

りーぱぱは、微笑むだけで答えはしない。

「違うのか?」

みんな、ざらぱぱとりーぱぱを交互に見ている。

「アルトザラムはあの時、何もない空中を何処からか取り出した大剣で切り裂いた。あの場には、剣は持ち込み禁止で、身体検査もあったはずだ。それに、あの部屋は攻撃魔法も使えない仕様になっているのは知っているだろう」

あー、だからか。納得。

りーぱぱは、微笑みを湛えるだけで何も言わない。ざらぱぱも全く反応を示さない。

「それで、その新たな魔法属性に目覚めたのは、誰だ?アルトザラムか、ガルドラムか、リーランス自身か、または、・・・・シャナーリエか。それに、あの大剣は何だ。答えよ、リーランス」

皇帝陛下がりーぱぱに詰め寄る。

怖い!

それでもりーぱぱは、何食わぬ顔で言い放った。

「明日、女神様がおいでになったら判るでしょう。それまでは、私の口からはお答えできません」

おっと、女神様に押し付けたよ、この人。
皇帝陛下もそれに気づいたようで、忌々しげな顔をしていた。
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