貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

文字の大きさ
43 / 103
女神様がやってきた

女神様が仰るには・・・・

しおりを挟む
その日の夜は、城内にある離宮のひとつに泊まった。安全上の観点からだ。が、広々として落ち着かない。明日は宿に戻れるかなぁ。早く帰りたいなぁ・・・・。



しかもその夜に女神様より複合スキルと特許の発表があった。複合スキルは来月から使えるようになる。

複合スキルは、スキルふたつ以上を合わせたもので、レベルの異なるスキルは、低い方に合わせた仕様になる。どんなスキルになるかは、使ってみろ、ということだった。各国に使い方を知る者を用意するらしいが・・・・。

いい加減すぎる。


特許は、既存にない新しいもの・ことが発生した場合、自動的に登録画面が現れるため、それに従って操作すればよいらしい。無料で提供することもできる仕様になっているし、特許申請しないという選択もできる。将来的にその特許商品の恩恵を受ける場合のみ、使用料が発生する。
例えば、料理の場合、家族や仲間内と食べる分には発生しないし、寮や城などの食堂で提供する場合にも発生しない。夜会やお茶会、商会が客引きで配る粗品には発生する。詳しくは、商品毎に注意書が出てくるらしい。
特許料は、それを使用した純売上の1%が生きている間、登録者に入ってくる。売上が発生しないものは、使用料として、金貨1枚~が一度だけ支払われる。これは、規模によって変わるようだ。

難しく考えなくても、画面操作で簡単にできるし、全て、女神様が管理しているから、不正もできなくて、安心・安全だ。





そんな重要なお知らせがあった日の朝、各国の王様たちが続々と皇城へやってきた。それぞれの国の城内には、国毎に離宮があり、会議などのときには転移陣を使って、離宮に来るんだって。離宮には特別な魔法が掛けられていて、そこから出るには、その国の国王と騎士団総帥、宰相の3人の許可というか、魔法の解除が必要だ。離宮に外から入るにも許可がいる。

じゃないと防犯上、危ないよね。

今回は、女神様によって解除された。



今、この皇宮神殿にいるのは、各国の王様、騎士団総帥、近衛師団長、騎士団長、魔術師団長、宰相、そして、わたしたち。

神殿の中は、なんだか大学の講堂を思わせる造りになっていた。あれの豪華版だね。祭壇に向けて階段状に椅子と机が配置され、国によって場所が固定されているようだ。

真ん中に龍人の国、左にエルフの国、更にその左にドワーフの国、龍人の国の右に獣人の国、更にその右に巨人の国。

わたしたちは、龍人の国の場所にいる。

そして、女神様の降臨を今や遅しと待っているところだ。どうやって来るんだろう?ちょっとワクワクする。





そして、とうとう時間になった。

どうやって現れるかワクワクでキョロキョロと周りを見回してしまう。女神様が現れるのは実に700年ぶりだそうで、会ったことのない人の方が多い。だからか、みんな、ちょっとソワソワしている。わたしからしたら、会えることが凄い!


そんなことを考えていると、祭壇の女神像がキラキラと光りだし、あっという間に女神像全体が光りに覆われ、次の一瞬、目が眩むほどの光を放った。目を開けていられなくて、ぎゅっと瞑ってしまった。ガルもわたしを胸に抱え込んでくれる。光りが終息したのを感じてゆっくりと目を開くと、そこには、浮世離れした、絶世の美女とか傾国の美女と呼ぶにふさわしい女性が立っていた。

女神様を認めるやいなや、その場の全員がさっと跪いた。そんな中、わたしは女神様のあまりの美しさにぽかんと見入ったまま、ガルの膝から降ろされたことにも気づかず、間抜け面のまま動くことができなかった。

「あまり時間がありません、楽になさい」

声まで美しいとか、さすが女神様。落ち着いた威厳のある大人の女性そのものだ。ぽけっと女神様から目を離せずにいると、ガルがひょいっと膝の上にわたしを乗せた。女神様と目が合った・・・・。なんだか、微笑ましそうに見られている?

「ガルドラム、シャナーリエと魂を繋いでおくように。昨日のことで、シャナーリエの魂が身体から少し離れています。以前の状態に戻るには、最低でも3日はかかるでしょう」

えっと、魂が身体から離れたら、それって、死ぬってことじゃないの?

わたし、死にかけ?

「シャナが思っていることとは、少し違います。冬眠状態になると言えば分かりますか?」

コクコクと頷く。
なんで分かったんだろう?
女神様だからかな?

「貴方は顔に出ますから、私でなくても分かると思いますよ」

女神様に顔を読まれた上、苦笑されてしまった。りーぱぱとざらぱぱ、ガル、それに王様たちまで、残念な子を見る目で見るのは止めて!

「身体にしっかりと固定されるには、あとどのくらいかかるのでしょうか?」

肝心なことに疑問を持たないわたしに代わって、りーぱぱが尋ねてくれた。

「順調にいけば、10年といったところでしょう」

10年!!!なが!そんなにかかるの?!

「ありがとうございます」

りーぱぱもガルもざらぱぱもホッとした顔をしている。

「シャナ、通常は、100年ほどかかるのですよ?」

女神様から苦笑をもらってしまった。

おう・・・・。
わたしの常識、ここの非常識・・・・。






「今日、皆さんを召集したのは、これから起こる禍に備えてほしいからです」

女神様は、視線をわたしからその場の全員に向けると、先程までの柔らかい雰囲気はなくなった。厳しい表情になった女神様から告げられたのは、この世界の存亡に関わることだった。

場がざわりとする。

「今朝の通達のことではないのですか?!!!」

巨人の国の宰相が驚いて尋ねる。

「それもありますが、まずはより重要なことをお話しします。・・・・。昨日、ここに現れたのは、破壊神です。シャナには魔王と言った方が分かりやすいですね?」

コクン

魔王って・・・・。最悪だ。思わず、ガルの服をぎゅっと握ってしまった。

「彼の者は暗黒魔法を操り、人心を惑わせ、破滅へと導きます。私のように実態を持たない彼の者は、自身に相応しい器を求めて、その身体を乗っ取るのです。身体を失った魂は、地上をさ迷い、新たな身体、死体ですね、それを見つけて入り込みアンデッドとなるのです。今までこの地には、アンデッドは存在しませんでした。身体の死無くして魂が身体から離れると私たちはその魂を見つけることができません」

あまりに壮大な話しに、その場はシーンと静まりかえり、動くことさえままならない。壮大過ぎて、脳内処理が追い付かないといったところか。

アンデッド、いなかったのか。


更に女神様の話は続く。

「アンデッドに触れると身体から魂だけが飛び出し、その者もアンデッドとなるのです。アンデッドを輪廻の輪に戻すには、聖水もしくは、聖剣による浄化が必要です。いくら剣で斬りつけても魔法を当てても効果はありません。ですが、今の私の世界カルディナには、それらは存在しません。・・・・。聖水は、神殿と冒険者ギルド、各騎士団の施設、そして王宮に聖水が湧き出る壺を用意しましょう。実際にアンデッドと遭遇するのは、騎士や冒険者たちですから。それを直接アンデッドに振りかけるか剣に振りかけてアンデッドに触れてください。聖水の壺から出した後の持続時間は、48刻です」


1日かぁ。

インベントリー持ちかマジックボックス、若しくは時間停止付のマジックバッグに入れないとダメかぁ。
あっ、専用の容器を創ればいいんだ。
時間停止?それとも、状態保存を付与する?
なら、容器は霧吹きでいいんじゃない?
水鉄砲のがいいかな?でもそれだと、聖水の無駄遣いかぁ。それより、銃みたいに一定の大きさの玉で出るようにした方がいいかな?


「女神様のご配慮、いたみいります。ところで、昨日の神官長はアンデッドとやらだったのでしょうか?」

この場を代表して、皇帝陛下が謝辞を伝え、ついでに質問をしている。

「いいえ、あれは、破壊神に身体を乗っ取られた者の成れの果て。魔力量によって破壊神がそれを使役できる期間は変わってきます。破壊神が棄てた遺体に触れれば、その者の魂が飛ばされたでしょうね。そうやってアンデッドを増やすのです」

「だから、あの時止めたのか・・・・」

龍人の国の騎士団長、つまりざらぱぱの叔父さんは、あからさまに顔色を悪くした。真っ青を通り越して真っ白だ。

「神官長は、今までとなんら変わりなくみえたのですが、どう見分ければいいのでしょうか?」

「アンデッドは、一度死んだものですから、外見から直ぐに判るでしょう。活きのいい死体でもやはり、生気はありませんし、眼をみれば簡単に判別できます。ですが、破壊神に乗っ取られた場合は、聖水をかけるか聖剣で斬りつけない限りわかりません」

周りがざわざわとしだした。活きのいい死体、に反応したんではないだろう。見分けがつかないなんて、どう対処すればいいんだろうか?

「しかし、昨日、リーランスには分かっていたようですが・・・・」

チラッとわたしを見た女神様がとんでもない爆弾を投下した。

「ふふ、それはリーランスではありませんよ、ねぇ、シャナ」

え、ええええええ!!!
ここで、わたしに振りますか!?

「チッ」

りーぱぱ、舌打ちしない!!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

処理中です...