貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

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お披露目

魔力溜まり

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りーぱぱに抱えられて降りたあとすぐに、ガルとざらぱぱ、パパやお兄様たちに話をして、らいじいに会いに行った。何かあったときにギルドの協力を得るためだ。騎士団には、言わずもがな。パパたちが対策してくれるだろう。

そして、わたしたちは、翌朝早くから昨日の場所に向かって出発した。マナーのレッスン?したよ、もちろん。昨日の夜。全て根回しを終えたあと。もう、眠気との戦いだった。思い出したくない。

「マレビの森じゃない森は初めて」

「シャナの歳で森に行くことは滅多にないんだがな」

「これも経験だ。いいんじゃないか?」

「魔獣や植生はマレビと変わりませんが、マレビと違って、山がない分、奥に行っても魔獣の強さは変わりませんし、精々、マレビの中程といったところでしょうね」

わたしたちが向かっているのは、皇都から北東にあるニンフの森。ちなみにタルは皇都から西にある。ここは、皇家の直轄地であり、D・Cランクの冒険者の狩り場になっている。らいじいの受け売りだけど。わたしはいつもの通り、ガル・りーぱぱ・ざらぱぱに交代で抱っこされて移動だ。今回は急ぎだから、採集もなし。仕方ない。街道を抜けて、森に入る頃には陽も落ち始め、すぐ野営の準備をすることになった。

「だいぶ距離が稼げましたね」

「ここまで魔獣が1体も出ないのは気になるがな」

「シャナ、方向は合ってるか?」

「うん。このまま真っ直ぐだよ。距離は、マレビの入り口から山裾よりは近いかな」

「まだ、結構ありますね。やはり、明日の夕方までかかりそうですね。嫌な気配は続いてますか?」

「うん。段々濃くなってる」

「シャナ、気分が悪くなったらすぐに言うんですよ?」

わたしは、こくんと頷いた。森に入ってから、気配が濃く強くなってきた。みんなは感じないと言う。この背筋を這うような嫌な気配を感じないのはおかしい。わたしだけに感じるということは・・・・。何も起こらなければいい。

翌日も朝早くから出発し、りーぱぱの予測通り、その日の夕方、目的地に辿り着いた。この森は、魔獣さえ出なければ適度な光が入る爽やかで実り豊かな森だった。ああ、採集したい。

「魔獣と1体も遭遇しなかったな」

「ええ。気配もありませんでした」

「何が起こってる?」

3人ともこの異様な気配には気づかなくても、このニンフの森が異常事態だというのは理解している。ずっと魔力探知で辺りを探っていたわたしにはその原因が特定できてしまった。

「りーぱぱ、あそこの地中に魔力が溜まってる。それもかなりの量。破壊神の魔力に引き寄せられた、というか、破壊神の魔力の密度が高くて、周りの魔力が流れ込んでる。だから、森の魔力が薄くなって魔獣が居ないんだよ」

りーぱぱもガルもざらぱぱも吃驚顔でわたしを見た。

「シャナは魔力が見えるのですか?」

「うーん。見えるっていうか、感じる???魔力感知の魔法を使ったはずなんだけど。りーぱぱは感じないんだね・・・・。魔力の密度とか流れとか川みたいに感じるよ」

「相変わらず、規格外というか・・・・」

りーぱぱは呆れているけど、自分でもそう思うから反論できない。

「破壊神がここに来たってことか?」

「たぶん。ここに自分の魔力を埋めたみたい。また誰かの身体を乗っ取ったのかも」

「可能性は高いな。だが、なんで魔力なんて埋めたんだ?」

「この魔力溜まりを放っておくと強い魔獣が産まれるからじゃない?あと魔獣の大量発生が起こるかな?」

3人は、ぎょっとした顔でわたしを凝視してくる。

「それは、本当ですか?大量発生とはどのくらいの数か分かりますか?」

「今まではなかったの?」

りーぱぱが知らないなんて驚きだ。

「聞いたこともありません」

「初耳だな。多いと言っても、精々、100体くらいか?」

「そうだな。俺たちが旅をしていた頃に1度だけあったか?」

その程度かぁ。

「この魔力溜まりだと少なくても5000体くらいかな?」

鑑定するとそう出てきた。今の時点で5000体位だそうだ。

「シャナの鑑定はそんなことまで分かるのですか?!」

「なんか、性能が上がった気がする。きっと、女神様の仕業だよ・・・・」

こういう情報はありがたいんだけどね?出来れば、わたしのじゃなくてりーぱぱのにしてほしかった。

「「「・・・・」」」

「しかし、5000体以上か・・・・」

「うん。破壊神の魔力で増幅されてるから、強い個体とか上位個体がメインになるかも。魔力溜まりはどうにもできないけど、破壊神の魔力は消せると思う。ただ、消しちゃうと、すぐに魔獣が大量発生すると思うよ?」

そうなんだよね。惹き付けるものがなくなれば、溜まってる魔力が溢れて魔獣が発生したり、それに引き寄せられた魔獣でごった返すと思う。それに魔力濃度が極端に上がるから、魔力が少ないと辛いかな。

「準備を整えるとして、7日後だと発生する魔獣の数はどうなりますか?」

「6000体」

「その日数で1000体も増えるのか・・・・」

「ここにある破壊神の魔力が周りの魔力を集めるのはあと12日くらいで、そのあと魔獣の大量発生が起こるみたい」

「「「・・・・」」」

3人とも難しい顔をしている。

「すぐに帰って準備をしましょう。万全の体制で望まなくては。それに破壊神がここだけに魔力を埋めたとは思えません。早急に調べる必要がありますが、シャナはどのくらいの範囲で魔力感知出来ますか?」

「ちょっと待ってね。・・・・・・・・」

わたしは魔力感知を一気に行けるところまで拡げてみた。その結果・・・・。

「うほぉ。・・・・この国はカバー出来た、よ?えへへ」

おかしい。明らかにわたしの能力がおかしくなってる。前からだったけど、もっと酷くなってるのは気のせいじゃない。冷や汗が流れる。

「女神様はシャナにどんだけ負担を負わせるつもりだよ!」

「せめて我々が替われれば・・・・」

「他にも同じところはあったか?」

「うん。皇都から南東方向の、国境との中間地点よりは国境に近い辺りにひとつだけあるよ。規模とか破壊神の魔力が埋まってるのかとかの詳細は現地じゃないと分からない」

「ヒルあたりか。他の国にもありそうだな。皇都に戻ったら、各国に転移して確認しよう。こうなると、シャナのことを王族や重鎮だけでも知っててくれてよかったよ」

「極秘裏に動けますからね」

「今日は、できるだけ戻って、野営だな」

「え?わたしが皇都の近くまで転移で運ぶよ?」

「その手があったか・・・・」

「なら、俺んちの訓練所に飛べるか?この時間なら誰もいない。それに今日は父がいるはずだ」

「了解。じゃ、行くよ?」

それからわたしたちは、すぐさま皇都に戻り、パパを伴って皇帝陛下に事態を説明することになった。
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