貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

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お披露目

調査しましょう

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翌日、わたしたちは騎士団の隊長格の精鋭50人とタカラの森にいる。騎士団は朝早くから出発し、わたしたちは見つからないようにタカラの森に飛んだ。これは、パパから「騎士たちに訓練を兼ねて討伐させたい」と申し出があったそうで、いきなり1万体近くの魔獣の相手では、統率がとれるかわからないから、だそうだ。

「いいな。これよりリーランスに破壊神の魔力を取り除いてもらう。発生する魔獣はおよそ250体。心してかかれ!」

「「「「「おー!」」」」」

(シャナ。準備はいいですか?)

(うん。いつでもいいよ)

(わたしの詠唱の後に消滅させてください)

(了解)

「消滅!」

わたしはりーぱぱの詠唱に合わせて魔法を発動した。もちろん聖属性の魔法だ。破壊神の魔力が蒸発するように縮んでいく。それに合わせて流れ込んでくる魔力が減った。そして、破壊神の魔力がなくなると一瞬魔力の動きが止まり、次の瞬間には、魔力溜まりの至るところから魔獣がモコモコと湧き始めた。

出てきたのは、オークキング、オーガキング、ミノタウロス、ワイバーン、サラマンダーといった上位種を中心にオーク、オーガ、ブラックウルフ、ジャイアントラビットもいる。それらがモコモコと涌き出てくるんだから、ちょっと気持ち悪い。

「かかれ!」

騎士たちが湧き出る魔獣の向かっていく。それをしばらく眺め、わたしたちは退散だ。魔術師団の精鋭と治癒・回復の出来る優秀な回復師もいることだし、2日もあれば帰ってくるだろう。

離宮に戻るとエルフの国から迎えが来ていた。国王陛下自らのお出迎えだ。宰相様と近衛の騎士団長もいる。

「リーランス、皇帝陛下から話は聞いた。早速だが、エルフの国を調べてほしい」

「ええ。今日は調べるだけですが、出来るだけのことはしますよ」

すぐにエルフの離宮から転移した。初めてのエルフの国だ。といっても、転移陣のある部屋から部屋に移動しただけで、内装が少し違っているくらいの変化しかないけど。そこから、王宮内の王様の執務室にやってきた。

「シャナ、どうですか?」

この部屋に辿り着いてすぐに魔力溜まりを探った。

「うん。エルフの国にはないよ。でも国境に近いところにはあるっぽい。獣人の国になるのかな?」

「そうか」

王様、オスカルロ様はほっと息を吐いている。そりゃそうだろう。国境近くということは、無視はできないけど、自国内にあれば途方もない数の魔獣を相手にしなければならないかもしれなかったのだ。

「今後も定期的に確認に来ます。その都度、迎えに来ていただくのは恐縮ですので、どこか一室をお貸しください」

ここでも、すんなりと話が通り、貸してもらえる部屋に案内された。

「ここへは誰も立ち入らないように通達しておこう。この部屋の鍵だ」

「有り難く。では、私たちはこれで」

「少し話をしたいのですが、時間をいただいてもよろしいでしょうか」

帰ろうとする私たちを宰相が止めた。りーぱぱと王様は宰相に怪訝な顔を向けている。どうやら宰相の独断のようだ。しかし、王様とりーぱぱ、そっくりな顔だね。

「今は時間が惜しい。パーティーの後ではダメなのか?」

「出来れば、今、シャナーリエ嬢がガルドラム様の番と公表される前に聞いていただきたいのです」

何の話だろう?りーぱぱと王様もどういった話なのか見当がつかないらしい。わたしたちは仕方なくソファーに座り、宰相の話を聞くことにした。

「女神様よりシャナーリエ嬢が亡き兄夫婦の娘と伺ってから、私はずっとシャナーリエ嬢と話す機会を窺っておりました」

そういうと真っ直ぐにわたしに視線を合わせてきた。

「あなたが兄夫婦の忘れ形見ならば、私が受け継いだこの爵位の正当な継承者はあなたです。ですから、私はあなたに返還するつもりです」

はあ?!
何言っちゃってんの?この人は!
要らん!!!

王様は吃驚顔だし、りーぱぱとガルは呆れてるし、ざらぱぱは・・・・笑ってる?

「いえ。要りませんよ?それに、あなたの兄夫婦の娘は、わたしの魂、であって、わたし自身、ではないですからね?」

「いいえ!あなたは兄夫婦の娘です。女神様がそうおっしゃったではありませんか」

もう、爵位なんて面倒なもの要らないって!

「りーぱぱ。何とかして。貴族は面倒だよ?」

「シャナ。それを欲するものもいるのですからね?もう少し、オブラートに包みましょうか」

あ、失敗したかも。りーぱぱの笑顔が・・・・。これからのマナーのレッスンが怖い。

「はいぃ」

「ブレアロー殿。あなたの言い分ですと、魂が同じなら兄夫婦の娘と同じことだということでよろしいですか?」

「はい」

どこまでも真摯な目を向けてくる。

「では、先代の魂を持つ平民はこの国の国王になるべきだということになりますが・・・・」

宰相は、はっとしている。でも、そういうことだ。

「いえ、そのようなことは・・・・」

「では、シャナが前宰相の爵位を継ぐというのも当てはまりません。シャナは、あなたの兄夫婦と一緒に亡くなった娘の魂を持つ、というだけです」

「その通りだ。宰相よ。お前の気持ちは分かるが、それがまかり通ればこの世の秩序が崩れ去る」

「・・・・はい」

宰相は辛そうな顔をしているけど、家族にわたしの素性は話せないんだから、これでいい。

「ありがとう、叔父様」

これがわたしの出来る最大限の譲歩だ。ガルもりーぱぱもざらぱぱも笑って頷いてくれているから、これでよかったんだろう。宰相は、それ以上何も言うことはなく、王様に続いてこの部屋を後にした。

国王、宰相そして近衛の騎士団長が部屋を出た後すぐに部屋に鍵をかけて、わたしたちは龍人の国に戻った。そして、巨人、獣人、ドワーフと廻り、獣人の国にひとつ、ドワーフの国にふたつの魔力溜まりを確認した。獣人の国の魔力溜まりは、エルフの国に程近い森に、ドワーフの国の魔力溜まりは、王都から2日ほど離れた森の中と巨人の国との国境付近の森にある。わたしたちは、ドワーフの王都に近い森、獣人の国、ドワーフと巨人の国の国境付近の森の順に調査をすることにした。各国には、騎士団と冒険者、聖剣保持者に準備を整えてもらうことにして、早速、調査に飛んだ。

わたし、幼女なのに忙しすぎやしませんか?ねえ、女神様。
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