貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

文字の大きさ
68 / 103
お披露目

調査しましょう

しおりを挟む
翌日、わたしたちは騎士団の隊長格の精鋭50人とタカラの森にいる。騎士団は朝早くから出発し、わたしたちは見つからないようにタカラの森に飛んだ。これは、パパから「騎士たちに訓練を兼ねて討伐させたい」と申し出があったそうで、いきなり1万体近くの魔獣の相手では、統率がとれるかわからないから、だそうだ。

「いいな。これよりリーランスに破壊神の魔力を取り除いてもらう。発生する魔獣はおよそ250体。心してかかれ!」

「「「「「おー!」」」」」

(シャナ。準備はいいですか?)

(うん。いつでもいいよ)

(わたしの詠唱の後に消滅させてください)

(了解)

「消滅!」

わたしはりーぱぱの詠唱に合わせて魔法を発動した。もちろん聖属性の魔法だ。破壊神の魔力が蒸発するように縮んでいく。それに合わせて流れ込んでくる魔力が減った。そして、破壊神の魔力がなくなると一瞬魔力の動きが止まり、次の瞬間には、魔力溜まりの至るところから魔獣がモコモコと湧き始めた。

出てきたのは、オークキング、オーガキング、ミノタウロス、ワイバーン、サラマンダーといった上位種を中心にオーク、オーガ、ブラックウルフ、ジャイアントラビットもいる。それらがモコモコと涌き出てくるんだから、ちょっと気持ち悪い。

「かかれ!」

騎士たちが湧き出る魔獣の向かっていく。それをしばらく眺め、わたしたちは退散だ。魔術師団の精鋭と治癒・回復の出来る優秀な回復師もいることだし、2日もあれば帰ってくるだろう。

離宮に戻るとエルフの国から迎えが来ていた。国王陛下自らのお出迎えだ。宰相様と近衛の騎士団長もいる。

「リーランス、皇帝陛下から話は聞いた。早速だが、エルフの国を調べてほしい」

「ええ。今日は調べるだけですが、出来るだけのことはしますよ」

すぐにエルフの離宮から転移した。初めてのエルフの国だ。といっても、転移陣のある部屋から部屋に移動しただけで、内装が少し違っているくらいの変化しかないけど。そこから、王宮内の王様の執務室にやってきた。

「シャナ、どうですか?」

この部屋に辿り着いてすぐに魔力溜まりを探った。

「うん。エルフの国にはないよ。でも国境に近いところにはあるっぽい。獣人の国になるのかな?」

「そうか」

王様、オスカルロ様はほっと息を吐いている。そりゃそうだろう。国境近くということは、無視はできないけど、自国内にあれば途方もない数の魔獣を相手にしなければならないかもしれなかったのだ。

「今後も定期的に確認に来ます。その都度、迎えに来ていただくのは恐縮ですので、どこか一室をお貸しください」

ここでも、すんなりと話が通り、貸してもらえる部屋に案内された。

「ここへは誰も立ち入らないように通達しておこう。この部屋の鍵だ」

「有り難く。では、私たちはこれで」

「少し話をしたいのですが、時間をいただいてもよろしいでしょうか」

帰ろうとする私たちを宰相が止めた。りーぱぱと王様は宰相に怪訝な顔を向けている。どうやら宰相の独断のようだ。しかし、王様とりーぱぱ、そっくりな顔だね。

「今は時間が惜しい。パーティーの後ではダメなのか?」

「出来れば、今、シャナーリエ嬢がガルドラム様の番と公表される前に聞いていただきたいのです」

何の話だろう?りーぱぱと王様もどういった話なのか見当がつかないらしい。わたしたちは仕方なくソファーに座り、宰相の話を聞くことにした。

「女神様よりシャナーリエ嬢が亡き兄夫婦の娘と伺ってから、私はずっとシャナーリエ嬢と話す機会を窺っておりました」

そういうと真っ直ぐにわたしに視線を合わせてきた。

「あなたが兄夫婦の忘れ形見ならば、私が受け継いだこの爵位の正当な継承者はあなたです。ですから、私はあなたに返還するつもりです」

はあ?!
何言っちゃってんの?この人は!
要らん!!!

王様は吃驚顔だし、りーぱぱとガルは呆れてるし、ざらぱぱは・・・・笑ってる?

「いえ。要りませんよ?それに、あなたの兄夫婦の娘は、わたしの魂、であって、わたし自身、ではないですからね?」

「いいえ!あなたは兄夫婦の娘です。女神様がそうおっしゃったではありませんか」

もう、爵位なんて面倒なもの要らないって!

「りーぱぱ。何とかして。貴族は面倒だよ?」

「シャナ。それを欲するものもいるのですからね?もう少し、オブラートに包みましょうか」

あ、失敗したかも。りーぱぱの笑顔が・・・・。これからのマナーのレッスンが怖い。

「はいぃ」

「ブレアロー殿。あなたの言い分ですと、魂が同じなら兄夫婦の娘と同じことだということでよろしいですか?」

「はい」

どこまでも真摯な目を向けてくる。

「では、先代の魂を持つ平民はこの国の国王になるべきだということになりますが・・・・」

宰相は、はっとしている。でも、そういうことだ。

「いえ、そのようなことは・・・・」

「では、シャナが前宰相の爵位を継ぐというのも当てはまりません。シャナは、あなたの兄夫婦と一緒に亡くなった娘の魂を持つ、というだけです」

「その通りだ。宰相よ。お前の気持ちは分かるが、それがまかり通ればこの世の秩序が崩れ去る」

「・・・・はい」

宰相は辛そうな顔をしているけど、家族にわたしの素性は話せないんだから、これでいい。

「ありがとう、叔父様」

これがわたしの出来る最大限の譲歩だ。ガルもりーぱぱもざらぱぱも笑って頷いてくれているから、これでよかったんだろう。宰相は、それ以上何も言うことはなく、王様に続いてこの部屋を後にした。

国王、宰相そして近衛の騎士団長が部屋を出た後すぐに部屋に鍵をかけて、わたしたちは龍人の国に戻った。そして、巨人、獣人、ドワーフと廻り、獣人の国にひとつ、ドワーフの国にふたつの魔力溜まりを確認した。獣人の国の魔力溜まりは、エルフの国に程近い森に、ドワーフの国の魔力溜まりは、王都から2日ほど離れた森の中と巨人の国との国境付近の森にある。わたしたちは、ドワーフの王都に近い森、獣人の国、ドワーフと巨人の国の国境付近の森の順に調査をすることにした。各国には、騎士団と冒険者、聖剣保持者に準備を整えてもらうことにして、早速、調査に飛んだ。

わたし、幼女なのに忙しすぎやしませんか?ねえ、女神様。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

処理中です...