貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

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新しい試み

カフェを、作っちゃお♪

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突然頭を下げたベルガにわたしとガルはぎょっとした。

「頼む!この飲み物の作り方を教えてくれないか?」

ベルガは必死の顔で頼み込んできた。

「ガルドは知ってると思うけど、僕ん家の領地は土地が痩せていて農作物は自分達が食べる分を育てるだけで精一杯だ。今まではカフェイの森の恵みでなんとか暮らしてはいけてたんだ。だが、最近になって、魔獣が増えて森に入れる者が限られてきたんだ。被害も今までにないくらい増えている。もともとカフェイの森はDランクくらいまでの初心者の森で有名だから、これ以上数が増えると、Dランク以下の冒険者では対処しきれない。だから、ここに来る前に皇都の冒険者ギルドに寄って、直接総帥と話をして来た」

「そうか。今は破壊神の脅威もあるからな。悪いようにはならないだろう」

「だといいんだけどね。出る魔獣は変わらないから高ランクの冒険者には旨味はないし、数が増えるから値崩れもする。かといって、放っておくと上位種になる可能性もあるし、そうなれば、Dランクでは対応できない。森も荒れる。森からの恵みが少なくなるとそれに頼っていた家の領は立ち行かなくなる。既に一部の領民からはどうにかならないかと相談されてるんだ。土地の開墾とか作る作物を変えるとかやってはいるけど、芳しくなくて。このままだと今年の冬を越えられない者も出てくるかもしれない。かといって、新しい事業も思い付かなくて」

なるほど。それでコーヒーに目を付けたのか。コーヒー豆はカフェイの森でしか採れないって言ってたしね。新しい流行りができれば人を集めやすくなる。特にそこでしか手に入らなかったりすれば、尚更だ。教えるのは構わないけど、りーぱぱに相談しないと決めれないよね?

「力になってやりたいのはやまやまだが、少し考えさせてくれ。リールやザラムとも相談したい。明日また来てくれるか?」

「ああ!もちろんだ」

ベルガは承諾すると帰っていった。

「シャナはどう思う?教えても構わないのか?」

「フフフ。りーぱぱが帰ってきたら詳しく説明するけど、コーヒーを使って広めたいものがあるんだ♪」

この世界には無いもの。わたしはベルガの領地を皮切りに是非とも広めたいものがあるのだ。それは・・・・。

夕方、いつもの時間にりーぱぱとざらぱぱが帰って来た。ガルがベルガとの話をりーぱぱとざらぱぱにしている。

「これですか?いい薫りですが・・・・黒い、ですね・・・・」

「確かに、俺たちが好むやつと同じ匂いだな。こっちの方が旨そうだ」

「ざらぱぱ。薫りはいいけど、とっても苦いからね?豆をかじるんだから大丈夫かな?」

ざらぱぱは一口口に含んだ。

「なんだこりゃ?!うめーな、おい!」

ざらぱぱが飲んだのを見たりーぱぱも一口。

「ああ。薫り高いですねぇ。ホッとします」

お!りーぱぱ、分かってるねぇ。そうなの。コーヒーは、飲むとなんかほっとするよね。

「それで、シャナはこのコーヒーをどうしたいのですか?」

「えっとねぇ。カフェを作って広めたいの。ここも皇都もそうだけど、街にごはんやさんとか屋台があって、屋台の周りにテーブルと椅子があるでしょ。そういうんじゃなくて、気軽に休憩できるコーヒーを飲むお店を作りたいの。ケーキとかサンドイッチなんかを頼めるの。お昼御飯とか夕御飯とかの間に食べたりできる軽食屋さんみたいな感じ。ケーキがショウウインドウに並んでるのって、ワクワクするよね♪」

伝わったかな?

「それはどんなにメリットがあるのですか?」

「メリット?」

りーぱぱが頷いている。
メリット、ねえ・・・・。

「特にないよ。カジュアルでお洒落なお店でちょっと休憩したり、お喋りしたり」

「お洒落なお店がほしいんですか?」

りーぱぱはよく分からないという顔をしている。

「街にお洒落なお店があると楽しいし、可愛いケーキとか綺麗なデザートが並んでると嬉しくなるでしょ?っと」

あ・・・・。まだこの世界には早かったのかな?りーぱぱが固まってしまった。

「ザラム、シャナの言ってること分かるか?」

「いいや、さっぱり分からん!」

ガルもざらぱぱも首を捻っている。

「シャナ。このコーヒーが薫り高く、苦味が美味しいのはわかりますけど、一般にはなかなか受け入れられないと思いますよ?」

「それはね、大丈夫。砂糖とミルクを入れるとまろやかで甘くなるから」

りーぱぱもざらぱぱもミルクと砂糖を入れ出した。

「先程とは全く別の飲み物ですね。薫りが失われるのは残念ですが、飲みやすい。ですが、シャナの言うカフェというのをベルガの領地から始めるのはどうかと思いますよ?それに、ケーキを作る人がいないでしょう?」

いや~!!!そうだった。やっとタルでも卵焼きとかの簡単な料理が出始めたところだった・・・・。

「そうだな。あいつん家の領地は、本当に食物が育たないんだ。だから、コーヒー以外を賄うのは難しい。それに料理人もこれからだな」

「むぅ。・・・・土地が痩せてるって言ってたね。じゃまずは、カフェメニューの開発とパン職人の育成だね!Dランクで狩れる魔獣ならオークとかでしょ?コーヒーに合わせるならパン系か・・・・肉、肉、コーヒーに合う肉料理・・・・。土地の改良もだね!よし!頑張るよぉ!」

わたしはどうしてもカフェを広めたい。なぜなら、家以外でゆっくりのんびりできるところがほしい!前いた世界では、大変お世話になっていた。屋台の周りにあるテーブル屋台の椅子ではダメなのだ。あそこはすぐに相席を求められて落ち着かない。

「シャナ!さらっととんでもないことを言わない!ハァ・・・・。コーヒーの淹れ方を教えるのは構わないということでいいですね?」

「うん。コーヒーを広める前にコーヒー豆を保護するところからだね。これから、ケーキとかスイーツが出回ると、売り込み次第でコーヒーの需要は高くなるはずだから、冒険者に無闇矢鱈と取り尽くされないようにしないと。領地の特産になるんだから、領主の裁量で領外に持ち出し禁止とかできるんだよね?」

「そこまでする必要がありますか?」

「あるよ!向こうの世界でコーヒーは、大人気だったんだから!飲んだことない人のほうが少ないくらいだよ!食事処なら必ずあったんだから!こっちの世界では栽培できないみたいだから、森にあるコーヒーの木はちゃんと手入れして大事に育てないと!」

わたしの勢いに押されたのか、りーぱぱは「そ、そうですか」と納得してくれた。

「土地の改良って言ってたが、シャナはやり方を知ってるんだな?」

「うん。こっちでは、そういうことしないの?」

「農家によるな。農村があるところ自体、土地が肥えたところばかりだから、必要ないとも言える」

そういえば、畑をちゃんと見たことないなぁ。まさか、直撒きではないと思うけど・・・・。1度見てからだね。

「では、明日ベルガには、コーヒー豆の保護と土地の改良から話をしましょう。コーヒーは登録したのですか?」

「うん。でも、公開はしてないよ」

それから、コーヒーをどう広めるか、どう土地を改良するのかなど話し合い、わたしは明日は何も喋らないことを約束させられた。
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