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新しい試み
進化系コーヒー豆?
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ガルと離れに戻った翌日、わたしは4人に連れられてカフェイの森に来ている。一度ちゃんとコーヒーの木を見たかったのだ。離れからはガルたちで鐘ひとつ分の距離だ。ベルガもついてこれるんだから相当だ。
「カフェイ火山の裾野なんだね」
わたしたちは今森の入り口にいる。
「そうですね。以前噴火したのは1200年ほど前でしたか」
そうなんだ。それだけあれば森も再生するか。あれ?でもでも・・・・。わたしは木々の間からひょっこりと見えるカフェイ火山の頂を眺めてゆっくりと視線を巡らせた。
「あ・・・・っ」
なるほど。
「何か面白い発見でもありましたか?」
りーぱぱが笑顔ひとつで速く話せと急かしてくる。ベルガは自分の領地のことだけにわたしの話しに真剣に耳を傾けているが、ガルとざらぱぱはわたしの話しは全く聞いていない。ガルはわたしを抱っこしてご機嫌だし、ざらぱぱは辺りを警戒中。とはいえ、既にガルとざらぱぱが間引きし過ぎているから魔獣の気配すらない。ベルガからは感謝されたけど、やり過ぎ注意だよ!
「えっとね。畑は作物が実らないのになんで森はこんなに豊かなのかなぁって思ったの。カフェイ火山はね、魔力の宝庫でね。火口から地面を滑るように魔力が流れてるんだけど、地面に吸収されなかった魔力はちょうどここで上に流れが変わってるんだよ」
本当に不思議なんだけど、森との境で急に魔力が上に上昇して火口に帰ってるんだ。異世界って不思議。
「!なんと!魔力の流れが分かるというのは便利ですねぇ」
「カフェイの森は魔力が豊富だし、その腐葉土を畑に撒けば土の改良は出来るんじゃない?」
「ああ、そのことですが、解決していますよ。あなたがあの日、ガルドに絶叫しながら、異常なレベルの聖属性の浄化をぶっ放しましたからね。ベルガの領地全体に魔力が行き渡りました。作物の状況も確認済みです」
りーぱぱの目が呆れているように見える。はっきり言えば、あの時、自分が何をしたのかあまり記憶にない。背中を冷や汗が流れた。ベルガの領地は大きくはないとはいえ、どんだけの魔力を込めたんだ、わたし・・・・。攻撃魔法でなくてよかったと思うことにしよう。
「ごめんなさい?」
あれは、ガルが悪いと思うの。
「やってしまったものは仕方ありません。それに、誰も気付いてはいませんからいいことにします」
りーぱぱが普通の笑顔だ。そうだね。気づかれなきゃやってないのと同じだ。わたしは頷いて話題を変えることにした。今はカフェイの森のコーヒーの木だ。わたしたちはずんずんと進んで、カフェイ火山の2合目付近までやって来た。この辺りから魔力の濃度が一気に上がったのが分かる。
「肌がチクチクするぅ」
「この辺りまで来れるのは、Bランクの冒険者からでしょうね。魔獣だとBランク相当が居てもおかしくないんですが、何故かカフェイの森には居ないんですよ。ですから、ここまで来る冒険者は稀です」
ガルやざらぱぱやりーぱぱやベルガが普通に歩いているからと騙されてはいけない。ランクが低いと、というか、MPが足りないと周りの魔力が濃すぎて意識を保てない。それくらい魔力が濃い。
「お、コーヒーの木があったぞ」
ざらぱぱの言葉に指差す方を見ると、わたしの背よりも少しだけ高い木が群生していた。わたしはガルに下ろしてもらい、コーヒーの木を間近に見て絶句した。そのわたしの横では、ざらぱぱがしゃがみこんでその豆を食べている。
「焙煎されてる・・・・」
おかしい。不思議を通り越して、あり得ない光景に空笑いが洩れる。よく見ると、緑色の豆?種?から順番に少しずつ茶色くなり濃い茶色の豆が地面に落ちていた。つまり、浅煎りから深煎りまで色によって選べるということだ。便利すぎる。この辺りの豆はふっくらとまあるい。視線を巡らせると更に先に別のコーヒーの木が群生している場所がある。トコトコとそちらに行こうとしたわたしを、ガシッとガルが捕まえた。
「こら、フラフラするな。・・・・よし!いいぞ」
迷子紐を装着されたわたし。迷子になんてならない!と強気で言えないわたしは、ちょっとムッとしながら、視線の先にあるコーヒーの群生する場所に走った。拗ねてなんてないもん!
走っているわたしとのんびり歩く彼らのスピードが同じなのは気にしてはいけない。フン!しょうがないなぁとでも言いたげな大人4人を引き連れてもうひとつの群生場所でコーヒー豆を観察する。こっちのコーヒー豆は異様に細長かった。他にも何ヵ所か群生している場所を見つけて、比較のために持って帰って来た。ベルガもコーヒー豆の色や形の違いは知っていたが、どんな違いがあるかは気にしたことがなかったらしい。こういうところで損をしていると思うんだぁ。
「早速、飲み比べてみよう♪」
「そんなに違いがあるのかなぁ?」
ベルガもりーぱぱたちも首を傾げているけど、気にならないのかなぁ?
「分からないから飲み比べてみるんだよ」
うん。探究心が無さすぎる。
わたしは、豆の形毎にコーヒーを淹れて少しずつ提供した。薫りも既に微妙に違うのだけど気付いたのはりーぱぱだけ。
「「「「あ・・・・!」」」」
さすがに飲むと違いが分かるらしい。豆が丸に近いほどマイルドで細長くなるほどクセが強くなった。
これ、ブレンドしたらオリジナルが作れる!!!
早速、4種類のブレンドコーヒーを淹れたところ、見事に好みが別れた。面白い♪りーぱぱは薫り高く苦味があとを引くもの、ガルは少し甘味を感じるもの、ざらぱぱは酸味のある濃いもの、ベルガは後味のスッキリとしたものを好んだ。
「こんなにも違うんだ」
「シャナ、このブレンドのものは再現できますか?」
「うん。もちろん!」
コーヒーの奥深さを知ったベルガたちは、明日から作戦会議を開くことにして、今はコーヒーとコーヒーを使ったクッキーやシフォンケーキなどのお菓子を味わいつつ幸せな時間を堪能した。
「カフェイ火山の裾野なんだね」
わたしたちは今森の入り口にいる。
「そうですね。以前噴火したのは1200年ほど前でしたか」
そうなんだ。それだけあれば森も再生するか。あれ?でもでも・・・・。わたしは木々の間からひょっこりと見えるカフェイ火山の頂を眺めてゆっくりと視線を巡らせた。
「あ・・・・っ」
なるほど。
「何か面白い発見でもありましたか?」
りーぱぱが笑顔ひとつで速く話せと急かしてくる。ベルガは自分の領地のことだけにわたしの話しに真剣に耳を傾けているが、ガルとざらぱぱはわたしの話しは全く聞いていない。ガルはわたしを抱っこしてご機嫌だし、ざらぱぱは辺りを警戒中。とはいえ、既にガルとざらぱぱが間引きし過ぎているから魔獣の気配すらない。ベルガからは感謝されたけど、やり過ぎ注意だよ!
「えっとね。畑は作物が実らないのになんで森はこんなに豊かなのかなぁって思ったの。カフェイ火山はね、魔力の宝庫でね。火口から地面を滑るように魔力が流れてるんだけど、地面に吸収されなかった魔力はちょうどここで上に流れが変わってるんだよ」
本当に不思議なんだけど、森との境で急に魔力が上に上昇して火口に帰ってるんだ。異世界って不思議。
「!なんと!魔力の流れが分かるというのは便利ですねぇ」
「カフェイの森は魔力が豊富だし、その腐葉土を畑に撒けば土の改良は出来るんじゃない?」
「ああ、そのことですが、解決していますよ。あなたがあの日、ガルドに絶叫しながら、異常なレベルの聖属性の浄化をぶっ放しましたからね。ベルガの領地全体に魔力が行き渡りました。作物の状況も確認済みです」
りーぱぱの目が呆れているように見える。はっきり言えば、あの時、自分が何をしたのかあまり記憶にない。背中を冷や汗が流れた。ベルガの領地は大きくはないとはいえ、どんだけの魔力を込めたんだ、わたし・・・・。攻撃魔法でなくてよかったと思うことにしよう。
「ごめんなさい?」
あれは、ガルが悪いと思うの。
「やってしまったものは仕方ありません。それに、誰も気付いてはいませんからいいことにします」
りーぱぱが普通の笑顔だ。そうだね。気づかれなきゃやってないのと同じだ。わたしは頷いて話題を変えることにした。今はカフェイの森のコーヒーの木だ。わたしたちはずんずんと進んで、カフェイ火山の2合目付近までやって来た。この辺りから魔力の濃度が一気に上がったのが分かる。
「肌がチクチクするぅ」
「この辺りまで来れるのは、Bランクの冒険者からでしょうね。魔獣だとBランク相当が居てもおかしくないんですが、何故かカフェイの森には居ないんですよ。ですから、ここまで来る冒険者は稀です」
ガルやざらぱぱやりーぱぱやベルガが普通に歩いているからと騙されてはいけない。ランクが低いと、というか、MPが足りないと周りの魔力が濃すぎて意識を保てない。それくらい魔力が濃い。
「お、コーヒーの木があったぞ」
ざらぱぱの言葉に指差す方を見ると、わたしの背よりも少しだけ高い木が群生していた。わたしはガルに下ろしてもらい、コーヒーの木を間近に見て絶句した。そのわたしの横では、ざらぱぱがしゃがみこんでその豆を食べている。
「焙煎されてる・・・・」
おかしい。不思議を通り越して、あり得ない光景に空笑いが洩れる。よく見ると、緑色の豆?種?から順番に少しずつ茶色くなり濃い茶色の豆が地面に落ちていた。つまり、浅煎りから深煎りまで色によって選べるということだ。便利すぎる。この辺りの豆はふっくらとまあるい。視線を巡らせると更に先に別のコーヒーの木が群生している場所がある。トコトコとそちらに行こうとしたわたしを、ガシッとガルが捕まえた。
「こら、フラフラするな。・・・・よし!いいぞ」
迷子紐を装着されたわたし。迷子になんてならない!と強気で言えないわたしは、ちょっとムッとしながら、視線の先にあるコーヒーの群生する場所に走った。拗ねてなんてないもん!
走っているわたしとのんびり歩く彼らのスピードが同じなのは気にしてはいけない。フン!しょうがないなぁとでも言いたげな大人4人を引き連れてもうひとつの群生場所でコーヒー豆を観察する。こっちのコーヒー豆は異様に細長かった。他にも何ヵ所か群生している場所を見つけて、比較のために持って帰って来た。ベルガもコーヒー豆の色や形の違いは知っていたが、どんな違いがあるかは気にしたことがなかったらしい。こういうところで損をしていると思うんだぁ。
「早速、飲み比べてみよう♪」
「そんなに違いがあるのかなぁ?」
ベルガもりーぱぱたちも首を傾げているけど、気にならないのかなぁ?
「分からないから飲み比べてみるんだよ」
うん。探究心が無さすぎる。
わたしは、豆の形毎にコーヒーを淹れて少しずつ提供した。薫りも既に微妙に違うのだけど気付いたのはりーぱぱだけ。
「「「「あ・・・・!」」」」
さすがに飲むと違いが分かるらしい。豆が丸に近いほどマイルドで細長くなるほどクセが強くなった。
これ、ブレンドしたらオリジナルが作れる!!!
早速、4種類のブレンドコーヒーを淹れたところ、見事に好みが別れた。面白い♪りーぱぱは薫り高く苦味があとを引くもの、ガルは少し甘味を感じるもの、ざらぱぱは酸味のある濃いもの、ベルガは後味のスッキリとしたものを好んだ。
「こんなにも違うんだ」
「シャナ、このブレンドのものは再現できますか?」
「うん。もちろん!」
コーヒーの奥深さを知ったベルガたちは、明日から作戦会議を開くことにして、今はコーヒーとコーヒーを使ったクッキーやシフォンケーキなどのお菓子を味わいつつ幸せな時間を堪能した。
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