貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

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新しい試み

実践せよ!

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約束通り3日で企画書を作り、りーぱぱとベルガに託した。この後はわたしが関わることはない。わたしの希望をふんだんに盛り込んだ企画書がどんなものになるのか今から楽しみで仕方ない。見に来るのは構わないと言っていたけど、出来上がるまでの楽しみにとっておくことにする。いや、見てしまったらポロッと余計な言葉が口から出てしまいそうとかでは決してない。その日からベルガとりーぱぱとベルガのお父さんは寝る間も惜しむほどの日々が続いている。わたしとガルとざらぱぱは積極的に領内に出て、美味しそうなものを探したり、領民たちとおしゃべりに興じたり、カフェイの森に狩りに出掛けたりとこの旅を満喫している。ごめんね、りーぱぱ。そうしている間にここへ来てから1月と半月が経ったある日の朝。

「大まかな計画がたちましたよ、シャナ」

「本当?!」

「ええ。80年くらいかかりますが」

りーぱぱは苦笑しているが、わたしの壮大な企画を現実にするにはそれくらいかかると思う。なにせ、土台が何もないのだから。

「お菓子もパンも薪釜で失敗することなく出きるようになりましたし、近々、近隣の貴族を集めてお茶会を開くそうですが、シャナは参加したいですか?」

「は?お断りだよ」

「同じくらいのお子様が何人か来ると聞いたので、お勉強の一環として実践にちょうどいいかと思いましたが、嫌なら不参加で構いませんよ」

・・・・その場合の代替はどうなるの?物分かりのいいりーぱぱは要注意だと警戒した。

「実践なしってこと?」

「まさか!私の義姉かザラムの母上かガルドの母上に頼みますよ、もちろん」

「参加します!そのお茶会、参加したいです!」

冗談じゃない。そんなの上位貴族ばっかりが集まるじゃないの!場所も皇宮か王宮でしょ?嫌すぎる。

「では、そのようにベルガに頼んでおきますね」

りーぱぱはいい笑顔で離れから母屋に出掛けていった。

「シャナはアホだな」

しみじみとざらぱぱが呟いた。

「だよなぁ。リールが俺たちの母親に頼まないわけないだろ?実践と訓練は繰り返しするものだ」

え・・・・。

「そんなあ。なんとかならないの?助けてざらぱぱ」

「諦めろ?」

「すでに手紙でお願いしてると思うぞ。その前にちょっとでも慣らしておきたかったんだろ。リールの親心だ」

怖い。りーぱぱの教育計画が怖すぎる。ベルガの領地の計画を練ってるんだからわたしのことは忘れても構わないのに・・・・。しょぼんと肩を落とすわたしを元気付けるようにふたりは私の頭をわしゃわしゃと撫で回したのだった。鳥の巣にしないで!!!




そして、わたしたちがここをお暇する3日前にお茶会は開催された。近隣の貴族のご夫人と娘さんが目をギラギラさせてわたしを見ている。動物園のパンダになった気分だ。何を考えているか分かりやすすぎて引く。

「本日はようこそおいでくださいました。ご紹介いたしますわ。第1皇子であられるガルドラム様の番シャナーリエ様です。この度、わが領地に遊びにいらしてくださったの。なかなかこんな機会もありませんでしょう?皆さまにもお会いしていただきたくて」

ベルガのお母様マチルダ様が今日のわたしのお母様教官だ。基本、お茶会には男性は参加できない。

「ごきげんよう。ガルドラム様の番のシャナーリエと申します。お見知りおきください」

ここでは、第1皇子の番で隣国の王弟のりーぱぱと公爵家の子息であるざらぱぱを保護者に持つわたしが1番身分が高いことになるから、膝をあまり曲げないカーテシーで挨拶をした。膝の角度にも色々あるのだよ。使い分けできるまで厳しく指導された。鬼がいると思ったよ。お蔭でこの場での体裁は取り繕えたはずだ。

「まあ、こちらこそよろしくお願い致しますわ」

「皇城でのお披露目パーティーは素晴らしかったですわね」

「うちの子と同じ年だとか。学園でもお会いすると思いますわ。ご挨拶して?」

「初めまして、シャナーリエ様。エリザベティーナと、申します。よろしくお願い、致します」

「こちらこそ、仲良くしてください」

ウフフフとふたりで微笑み合うと、他にも子供を連れたお母様たちが入れ替わり立ち代わり挨拶に来た。小さくとも貴族である。みんな40歳とは思えないほど躾られていてお上品だ。肩が凝る。

「本日は、皇城でも提供された特許登録のお菓子とパンをご用意致しましたの。まずは、ご賞味あれ」

パンパンとマチルダお母様が手を叩くと、給仕係りが待ってましたとばかりに誇らしげに並べ始めた。見た目にも美しく可愛らしいお菓子とパンに大人も子供も釘付けだ。

「まあ、皇城で戴いたのと遜色ないですわね♪」

「本当ですわ。飾り付けも素晴らしいですわね」

等々、高い評価をいただき、マチルダお母様のもとにはご夫人が殺到している。マチルダお母様は終始ニコニコだ。わたしは、お菓子やパンにがっつく同じ年くらいのお子様たちの面倒を見るはめになった。先程までのお上品さは何処に行った?給仕のお姉さんやお兄さんもてんやわんやである。少し年嵩の子供たちは男と女で見事に別れて、お互いにチラチラと意識しつつも話しかけるタイミングを図っている。要するに、誰も自分の弟妹を見ている者はないということだ。

お腹が一杯になり退屈し始めた子供たちと目一杯遊び倒したところで漸くお開きとなった。途中で寝てしまった子もいる。幼稚園の先生にでもなった気分だが、マチルダお母様はホクホク顔で、お茶会に集まったご夫人がたも笑顔で帰っていったところを見るといい感じに商談が纏まったようだ。このお茶会は成功ということでいいのだろう。散々遊んで疲れてしまったわたしは迎えに来たガルに抱き抱えられるとすぐに眠ってしまった。後日、お茶会とは預かり保育だったという感想を聞いたりーぱぱが頭を抱えたのは言うまでもない。
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