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攻防
開戦準備
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体力の限界からその場に倒れたわたしは、慌てて走ってきたガルに危なげなく抱きとめられた。
「よく頑張ったな」
あちらはわたしたちよりも大変な戦いだったはずなのに平然としているガルたちの体力はどうなっているのか?ベルガたちも多少疲れた感はでているが、ちゃんと立っているし。
(シャナ。お疲れでしょうが、この者たちから破壊神の力を取り上げることは出来ませんか?封印でも構いませんが)
ガルに凭れてほっとしているとりーぱぱから呼ばれた。確かに、破壊神の力を持つ者たちは厄介すぎる。このままにはしておけない。
「ガル。りーぱぱのところに行きたい」
ガルに抱きかかえられてりーぱぱのもとに移動する。自力で歩くのは無理。それに、この状態のわたしをガルが離してくれるとも思えない。りーぱぱたちにガッチリと拘束されたのは、全部で30人。内5人は女性で、全員が竜人の番だった。その中に記憶に埋もれてはいるが、見知った顔がある。
「ドラムって、その昔ガルを毒殺しようとした野盗じゃなかった?破壊神の配下になったんだ」
「そう言えば、そんな奴らがいたな」
「ああ。ここにいるマイアとヒジとナーレもそうですね」
「ホトの収容所に送られた奴らだな。余罪も多くて400年の実刑だったか」
「破壊神に唆されましたか」
(りーぱぱ。全員、称号に破壊神の恩恵っていうのがあるからそれをどうにか出来れば、女神様の制裁が下ると思うの)
(破壊神の恩恵ですか。それは消滅できそうですか?)
(さすがにそれは私でも無理だよ。でも、この状態なら力を抑えることは出来そうだから、神殿に連れて行くのがいいと思う)
(なるほど。女神様のお力が届きやすい神殿ならあるいは)
ガルに抱きかかえられた状態でりーぱぱと密談をする。ガルとざらぱぱ以外の人から見たら、わたしとりーぱぱが見つめ合ってるとしか見えないかもしれないけど、ガルが誤解していなければ問題ない。わたしはガルの番に対する闇落ちしそうな執着を忘れたことはない。あの恐怖はもしかしたら破壊神の悍ましい魔力の気配を上回るかもしれないのだ。
(暫く眠っててもらおう)
(それがいいでしょう)
突然、バタバタと倒れた男たちにわたしたち以外の全員がぎょっとした顔をしている。
「眠らせただけですよ。ベルガ。こいつら破壊神の息のかかった者たちをここに置いておくのは危険ですから、私たちが連れて行きます」
「助かる」
「それからこれを。最近開発された神聖結界を組み込んだ魔石です。範囲はおおよそスパを囲えるくらいですが、ないよりはいいでしょう。中心から丸く広がります。重要な場所や避難場所に置いておくといいでしょう。魔力がなくなる前に聖属性の魔力を充填してください」
りーぱぱはじゃらじゃらと魔石の入った袋をベルガに渡した。あれは、わたしとりーぱぱの70年以上かけた研究の成果だったりする。
「こんなに。いいのか?」
もちろんいいに決まってる。
「スパとカフェイの森に何かあれば、シャナが暴走しますからね。必要経費です」
ベルガの領地に何かあれば、スパが潰れる。カフェイの森が破壊されれば、コーヒーが飲めない。そんなこと許すわけがないでしょう?
「否定する要素がないな。有り難く使わせてもらうよ」
真顔のベルガに思うところがないわけじゃないが、まあ、この95年の間にベルガの前でもいろいろやらかした自覚があるだけに反論も出来ない。
「何かあれば、王宮に連絡を。では、私たちは行きます」
ベルガたちに見送られ、結界に閉じ込めた犯罪者たちをざらぱぱが引き摺っていく。そして、誰も見えなくなった後、わたしたちは犯罪者たちを連れて離宮に転移した。そしてすぐにざらぱぱは犯罪者たちを引き摺って、パパのところに向かった。
「他ではまだこのような事態が起こっていないといいのですが。ネラル鉱山とバイカ鉱山の犯罪者たちも姿を消していますから、他国でも犯罪者たちは破壊神に連れて行かれたでしょうねぇ」
「あの強さの犯罪者たちとアンデッドを相手にするのは厳しいな。ベルガんとこのような地方に来られたら、軒並みアンデッド化する。村が潰れるな」
「悪循環ですねえ。すぐに流通も滞るでしょう」
もはや一刻の猶予もない。やっぱりさ、聖魔法をぶちかまして破壊神の力を削ぐのがいいと思う。
「何かか過激なことを考えてますね?」
「ええ?違うよ。聖魔法をぶちかますのが手っ取り早いと思っただけだよ?」
「それを過激だと言うんだが?」
「そうかな?破壊神とアンデッド以外には特に影響ないから平和的だと思うよ?」
ふたりはなんだか複雑そうな顔でわたしを見た。そんな話をしながらざらぱぱを待っていると、何故か張り切った様子のざらぱぱが戻ってきて、開口一番こう言った。
「被害が拡大する前に先手を打つ!」
つまり?
「シャナの意見が皇帝陛下に承認された。ザイツェルア陛下も了承済みだ。今、各国で準備が進められている。明日から忙しくなるぞ」
どうやらざらぱぱは成熟したアンデッドや強化された犯罪者と戦えるのが楽しみらしい。騎士団も張り切っているようだ。
「そうなりましたか」
「シャナが過激なのはザラムの影響か」
「それで、犯罪者たちはどうなりましたか?」
「総帥と皇宮神殿に連れて行った。女神様の鉄槌がくだったな」
つまり、女神様のお側に連れて行かれたということか。破壊神に与して許されるわけもないか。
「女神様から何かお言葉はありましたか?」
「闇国の様子を見せられた。アンデッドと犯罪者を集めているな。巨人の国に残ってたやつらは、軒並みやられてる。今回のことは、宣戦布告ってやつだろうな」
他にも闇国の様子を話して聞かせてくれてたが、要するに、アンデッドと破壊神の恩恵を称号に持つ強化された者しかいないということだった。そして、玉座に居たのは、巨人の国の魔法師団長、ハイデルベルク、または、ハイディールだったという。その姿は以前の魔法師団長とは似ても似つかなかったそうだ。つまらなさそうに何処か遠くを眺めているような。
「全力で叩き潰すほかありませんね。シャナ。出来る限り準備しますよ?」
「りょーかい!」
ともあれ、わたしたちは来るべき日に備えて、準備に勤しむことになった。
「よく頑張ったな」
あちらはわたしたちよりも大変な戦いだったはずなのに平然としているガルたちの体力はどうなっているのか?ベルガたちも多少疲れた感はでているが、ちゃんと立っているし。
(シャナ。お疲れでしょうが、この者たちから破壊神の力を取り上げることは出来ませんか?封印でも構いませんが)
ガルに凭れてほっとしているとりーぱぱから呼ばれた。確かに、破壊神の力を持つ者たちは厄介すぎる。このままにはしておけない。
「ガル。りーぱぱのところに行きたい」
ガルに抱きかかえられてりーぱぱのもとに移動する。自力で歩くのは無理。それに、この状態のわたしをガルが離してくれるとも思えない。りーぱぱたちにガッチリと拘束されたのは、全部で30人。内5人は女性で、全員が竜人の番だった。その中に記憶に埋もれてはいるが、見知った顔がある。
「ドラムって、その昔ガルを毒殺しようとした野盗じゃなかった?破壊神の配下になったんだ」
「そう言えば、そんな奴らがいたな」
「ああ。ここにいるマイアとヒジとナーレもそうですね」
「ホトの収容所に送られた奴らだな。余罪も多くて400年の実刑だったか」
「破壊神に唆されましたか」
(りーぱぱ。全員、称号に破壊神の恩恵っていうのがあるからそれをどうにか出来れば、女神様の制裁が下ると思うの)
(破壊神の恩恵ですか。それは消滅できそうですか?)
(さすがにそれは私でも無理だよ。でも、この状態なら力を抑えることは出来そうだから、神殿に連れて行くのがいいと思う)
(なるほど。女神様のお力が届きやすい神殿ならあるいは)
ガルに抱きかかえられた状態でりーぱぱと密談をする。ガルとざらぱぱ以外の人から見たら、わたしとりーぱぱが見つめ合ってるとしか見えないかもしれないけど、ガルが誤解していなければ問題ない。わたしはガルの番に対する闇落ちしそうな執着を忘れたことはない。あの恐怖はもしかしたら破壊神の悍ましい魔力の気配を上回るかもしれないのだ。
(暫く眠っててもらおう)
(それがいいでしょう)
突然、バタバタと倒れた男たちにわたしたち以外の全員がぎょっとした顔をしている。
「眠らせただけですよ。ベルガ。こいつら破壊神の息のかかった者たちをここに置いておくのは危険ですから、私たちが連れて行きます」
「助かる」
「それからこれを。最近開発された神聖結界を組み込んだ魔石です。範囲はおおよそスパを囲えるくらいですが、ないよりはいいでしょう。中心から丸く広がります。重要な場所や避難場所に置いておくといいでしょう。魔力がなくなる前に聖属性の魔力を充填してください」
りーぱぱはじゃらじゃらと魔石の入った袋をベルガに渡した。あれは、わたしとりーぱぱの70年以上かけた研究の成果だったりする。
「こんなに。いいのか?」
もちろんいいに決まってる。
「スパとカフェイの森に何かあれば、シャナが暴走しますからね。必要経費です」
ベルガの領地に何かあれば、スパが潰れる。カフェイの森が破壊されれば、コーヒーが飲めない。そんなこと許すわけがないでしょう?
「否定する要素がないな。有り難く使わせてもらうよ」
真顔のベルガに思うところがないわけじゃないが、まあ、この95年の間にベルガの前でもいろいろやらかした自覚があるだけに反論も出来ない。
「何かあれば、王宮に連絡を。では、私たちは行きます」
ベルガたちに見送られ、結界に閉じ込めた犯罪者たちをざらぱぱが引き摺っていく。そして、誰も見えなくなった後、わたしたちは犯罪者たちを連れて離宮に転移した。そしてすぐにざらぱぱは犯罪者たちを引き摺って、パパのところに向かった。
「他ではまだこのような事態が起こっていないといいのですが。ネラル鉱山とバイカ鉱山の犯罪者たちも姿を消していますから、他国でも犯罪者たちは破壊神に連れて行かれたでしょうねぇ」
「あの強さの犯罪者たちとアンデッドを相手にするのは厳しいな。ベルガんとこのような地方に来られたら、軒並みアンデッド化する。村が潰れるな」
「悪循環ですねえ。すぐに流通も滞るでしょう」
もはや一刻の猶予もない。やっぱりさ、聖魔法をぶちかまして破壊神の力を削ぐのがいいと思う。
「何かか過激なことを考えてますね?」
「ええ?違うよ。聖魔法をぶちかますのが手っ取り早いと思っただけだよ?」
「それを過激だと言うんだが?」
「そうかな?破壊神とアンデッド以外には特に影響ないから平和的だと思うよ?」
ふたりはなんだか複雑そうな顔でわたしを見た。そんな話をしながらざらぱぱを待っていると、何故か張り切った様子のざらぱぱが戻ってきて、開口一番こう言った。
「被害が拡大する前に先手を打つ!」
つまり?
「シャナの意見が皇帝陛下に承認された。ザイツェルア陛下も了承済みだ。今、各国で準備が進められている。明日から忙しくなるぞ」
どうやらざらぱぱは成熟したアンデッドや強化された犯罪者と戦えるのが楽しみらしい。騎士団も張り切っているようだ。
「そうなりましたか」
「シャナが過激なのはザラムの影響か」
「それで、犯罪者たちはどうなりましたか?」
「総帥と皇宮神殿に連れて行った。女神様の鉄槌がくだったな」
つまり、女神様のお側に連れて行かれたということか。破壊神に与して許されるわけもないか。
「女神様から何かお言葉はありましたか?」
「闇国の様子を見せられた。アンデッドと犯罪者を集めているな。巨人の国に残ってたやつらは、軒並みやられてる。今回のことは、宣戦布告ってやつだろうな」
他にも闇国の様子を話して聞かせてくれてたが、要するに、アンデッドと破壊神の恩恵を称号に持つ強化された者しかいないということだった。そして、玉座に居たのは、巨人の国の魔法師団長、ハイデルベルク、または、ハイディールだったという。その姿は以前の魔法師団長とは似ても似つかなかったそうだ。つまらなさそうに何処か遠くを眺めているような。
「全力で叩き潰すほかありませんね。シャナ。出来る限り準備しますよ?」
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ともあれ、わたしたちは来るべき日に備えて、準備に勤しむことになった。
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