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攻防
危機
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破壊神を目の前にして、俺の中に怒りが渦を巻き始めた。シャナが無意識の底で破壊神の存在に怯えていたのを知っている。父上たちにいいように使われるのだって、破壊神のせいだ。なまじ、そこら辺の大人より出来てしまう分、無理をして後から熱を出すんだ。母上たちにこってりと絞られてからは余程のことがない限り、接触してこなくなったが、それでもないわけじゃない。今だって、普通ならこんな危険な場所にまだ成人を迎えてもいない子供が出向くことなんてあり得ないんだ。シャナは本当に楽しそうに魔法を使うから、俺たちも何も言わないが、本来なら学園に入るまで、生活魔法くらいしか教えたりしない。
ああ!自分の不甲斐なさに腹が立つ!破壊神さえこの地から追い出せば、シャナの不安も負担も減る。一刻も早く破壊神を討ち取りたい。その一身で、リールの「さて、では始めましょうか?」と言う一言につられて、スノウの背中から飛び降りてしまった。シャナをひとり残して。
「行ってくる」
「ここから援護するよ」
「期待してる」
そこからは、島のダンジョンなんて遊びだったとしか思えないような過酷な戦いが始まった。神というのは伊達じゃなかったらしい。8人がかりで攪乱しているにも関わらず、まるで、猫が鼠を甚振るような、いや、鼠も8匹集まれば尻尾の先くらい咬めるだろうが、俺たちは窮鼠にすらなれていない。完全に遊ばれていた。
「どうするよ・・・・?」
「全く攻撃が届かねぇ・・・・」
「ジリ貧じゃねぇかよ・・・・」
「アンデッドの相手をしなくていいのですから、隙を突けるまでやるしかないでしょう・・・・」
「だよな。シャナが頑張ってんだから、俺たちもやらねぇとなぁ・・・・」
「弱点はないのかなぁ・・・・」
全員が息が上がって、本当は会話するのすら辛い。今のところ魔法も剣も1度たりとも破壊神に届いてはいない。それどころか、奴は腕を払うだけで俺たちは吹き飛ばされる。
「フハハハハハハ。その程度か。口ほどにもないな。この身体もなかなかどうして。使い勝手がいい」
散々俺たちを甚振って、それに飽きたのか、それとも手に入れた身体に満足したのか破壊神は恍惚とした笑みを見せた。そして・・・・。
「だが・・・・」
破壊神の視線の先には・・・・。ダメだ!それだけは許せない!
「シャナ!!!」
ほとんど自由の効かない身体に鞭打って、スノウに乗るシャナに向かって駆けだした。直後、シャナから凄まじい魔力が放たれたが、それと同時に身体がスノウの背に倒れていくのが見えた。インベントリーからシャナ特製の上級回復薬を取り出し飲む。何故、俺はシャナから離れたんだ?!!!
「シャナは任せた!」
背後からザラムの声が聞こえたが、その直後、爆音が響き、それを掻き消していく。全員が破壊神の意識をシャナから外そうと攻撃を仕掛けたらしい。
「シャナ!」
スノウの羽毛に埋もれるように倒れているシャナを抱き上げ、魂をより強固に繋ぐ。
「ガル。大丈夫だよ」
「ひとりにしてごめんな。怖かったな」
「!」
珍しくシャナから俺に抱きついてきた。本当に怖かったんだろう。
「もう「心臓を狙え!!!」」
大丈夫だと声をかけようとしたとき、一瞬、鳴り止んだ爆音の隙を突くように、破壊神の、いや、魔術師団長の声が響いた。
「早く!私が、抑えているうちに!早く、聖剣で、心臓を!「邪魔を、するなあ!!!」保たない・・・・ウグ」
ひとつの身体の中で魔術師団長と破壊神が攻防を始めた。「急げ!!!」魔術師団長の絞り出した声に反応して、全員が破壊神に向かって駆けだしていく。そして、留めを刺したのは、ミュラー、唯一島への立ち入りを許可しなかった聖剣保持者だった。
「やり~。・・・いい、とこ、どり、だよ・・・・」
全員が満身創痍だ。ミュラーも破壊神の心臓に突き立てた聖剣に縋ってようよう立っているという状態だ。ようやく終わったかと、ふと肩の力を抜いたその瞬間。
「グゥ。このまま、終わらせるなど!神の力を思い知るがいい。私の力が尽きかけようともこの地の終わりは既に決まっている!」
破壊神から呪いのような言葉が発せられた。
「ひぃ!なんだよこれ!」
ミュラーの悲鳴にそちらを見て唖然とした。奴の下半身が黒い靄で覆われている。すぐにそれは散霧したが、ミュラーに何か起こったことは明らかだった。そして、今度は、魔術師団長の身体から小さな黒い塊が次々と飛び出し始めた。
「だめぇ!」
シャナの焦った悲鳴と共に破壊神の周りに神聖結界が張られたのが分かった。黒い塊は神聖結界に触れるとシュワッと溶けてなくなる。
「どうした、シャナ?」
「あれ、破壊神の最後の足搔きだよ。あのまま飛ばされたら、あちこちで魔獣の進化と大暴走が始まっちゃう!」
「なっ!」
今そんなことが起こったら対処が難しいのは判りきっている。
「ひゃっ!」
力負けしたシャナの神聖結界が一際大きな黒い塊に破られた。それは、勢いのまま外に飛び出していく。追いかけようにも既に俺たちの視界の範囲にはいない。それを最後に、黒い塊は出てくることはなく、魔術師団長の着ていた服だけが遺されていた。
「終わったのか?」
「取り敢えずは?」
俺がシャナを抱えてスノウから降りると、リールをはじめ、全員が集まってきた。
「シャナ。あの黒い塊は?」
「小さいのは破壊神の魔力の塊。少しだけ外に飛び出しちゃったから、何処かですぐにでも魔獣の暴走が始まる。大きい塊はよく分からない」
「どこに飛んでいったかは?」
シャナは首を緩く横に振った。
「そんなことより、俺は?俺はどうなったんだよ?あの黒い靄、普通じゃなかったよなあ?」
ミュラーの嘆きも理解するが、今この時点で何も起きていない奴のことより、すぐにでも始まる魔獣の暴走の方が重要だ。全員が焦り始めたその時、突然眩い光に飲み込まれて、それが収束したときには、全く別の場所に転移させられていた。
ああ!自分の不甲斐なさに腹が立つ!破壊神さえこの地から追い出せば、シャナの不安も負担も減る。一刻も早く破壊神を討ち取りたい。その一身で、リールの「さて、では始めましょうか?」と言う一言につられて、スノウの背中から飛び降りてしまった。シャナをひとり残して。
「行ってくる」
「ここから援護するよ」
「期待してる」
そこからは、島のダンジョンなんて遊びだったとしか思えないような過酷な戦いが始まった。神というのは伊達じゃなかったらしい。8人がかりで攪乱しているにも関わらず、まるで、猫が鼠を甚振るような、いや、鼠も8匹集まれば尻尾の先くらい咬めるだろうが、俺たちは窮鼠にすらなれていない。完全に遊ばれていた。
「どうするよ・・・・?」
「全く攻撃が届かねぇ・・・・」
「ジリ貧じゃねぇかよ・・・・」
「アンデッドの相手をしなくていいのですから、隙を突けるまでやるしかないでしょう・・・・」
「だよな。シャナが頑張ってんだから、俺たちもやらねぇとなぁ・・・・」
「弱点はないのかなぁ・・・・」
全員が息が上がって、本当は会話するのすら辛い。今のところ魔法も剣も1度たりとも破壊神に届いてはいない。それどころか、奴は腕を払うだけで俺たちは吹き飛ばされる。
「フハハハハハハ。その程度か。口ほどにもないな。この身体もなかなかどうして。使い勝手がいい」
散々俺たちを甚振って、それに飽きたのか、それとも手に入れた身体に満足したのか破壊神は恍惚とした笑みを見せた。そして・・・・。
「だが・・・・」
破壊神の視線の先には・・・・。ダメだ!それだけは許せない!
「シャナ!!!」
ほとんど自由の効かない身体に鞭打って、スノウに乗るシャナに向かって駆けだした。直後、シャナから凄まじい魔力が放たれたが、それと同時に身体がスノウの背に倒れていくのが見えた。インベントリーからシャナ特製の上級回復薬を取り出し飲む。何故、俺はシャナから離れたんだ?!!!
「シャナは任せた!」
背後からザラムの声が聞こえたが、その直後、爆音が響き、それを掻き消していく。全員が破壊神の意識をシャナから外そうと攻撃を仕掛けたらしい。
「シャナ!」
スノウの羽毛に埋もれるように倒れているシャナを抱き上げ、魂をより強固に繋ぐ。
「ガル。大丈夫だよ」
「ひとりにしてごめんな。怖かったな」
「!」
珍しくシャナから俺に抱きついてきた。本当に怖かったんだろう。
「もう「心臓を狙え!!!」」
大丈夫だと声をかけようとしたとき、一瞬、鳴り止んだ爆音の隙を突くように、破壊神の、いや、魔術師団長の声が響いた。
「早く!私が、抑えているうちに!早く、聖剣で、心臓を!「邪魔を、するなあ!!!」保たない・・・・ウグ」
ひとつの身体の中で魔術師団長と破壊神が攻防を始めた。「急げ!!!」魔術師団長の絞り出した声に反応して、全員が破壊神に向かって駆けだしていく。そして、留めを刺したのは、ミュラー、唯一島への立ち入りを許可しなかった聖剣保持者だった。
「やり~。・・・いい、とこ、どり、だよ・・・・」
全員が満身創痍だ。ミュラーも破壊神の心臓に突き立てた聖剣に縋ってようよう立っているという状態だ。ようやく終わったかと、ふと肩の力を抜いたその瞬間。
「グゥ。このまま、終わらせるなど!神の力を思い知るがいい。私の力が尽きかけようともこの地の終わりは既に決まっている!」
破壊神から呪いのような言葉が発せられた。
「ひぃ!なんだよこれ!」
ミュラーの悲鳴にそちらを見て唖然とした。奴の下半身が黒い靄で覆われている。すぐにそれは散霧したが、ミュラーに何か起こったことは明らかだった。そして、今度は、魔術師団長の身体から小さな黒い塊が次々と飛び出し始めた。
「だめぇ!」
シャナの焦った悲鳴と共に破壊神の周りに神聖結界が張られたのが分かった。黒い塊は神聖結界に触れるとシュワッと溶けてなくなる。
「どうした、シャナ?」
「あれ、破壊神の最後の足搔きだよ。あのまま飛ばされたら、あちこちで魔獣の進化と大暴走が始まっちゃう!」
「なっ!」
今そんなことが起こったら対処が難しいのは判りきっている。
「ひゃっ!」
力負けしたシャナの神聖結界が一際大きな黒い塊に破られた。それは、勢いのまま外に飛び出していく。追いかけようにも既に俺たちの視界の範囲にはいない。それを最後に、黒い塊は出てくることはなく、魔術師団長の着ていた服だけが遺されていた。
「終わったのか?」
「取り敢えずは?」
俺がシャナを抱えてスノウから降りると、リールをはじめ、全員が集まってきた。
「シャナ。あの黒い塊は?」
「小さいのは破壊神の魔力の塊。少しだけ外に飛び出しちゃったから、何処かですぐにでも魔獣の暴走が始まる。大きい塊はよく分からない」
「どこに飛んでいったかは?」
シャナは首を緩く横に振った。
「そんなことより、俺は?俺はどうなったんだよ?あの黒い靄、普通じゃなかったよなあ?」
ミュラーの嘆きも理解するが、今この時点で何も起きていない奴のことより、すぐにでも始まる魔獣の暴走の方が重要だ。全員が焦り始めたその時、突然眩い光に飲み込まれて、それが収束したときには、全く別の場所に転移させられていた。
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