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風邪①
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期末テスト一週間前。
私は輝と賭けをした。
期末テストの成績が悪かった方が何でも言うことを聞くと言うありきたりな賭け。
正直なところ、入学してからまともに勉強したかと聞かれれば首を傾げる。
中間テストでは良くも悪くもない普通の結果だった。
赤点はないがすべて平均点ギリギリで。
お母さんにちょっと心配された。
輝も同じようなものでおじさんに叱られていたのを覚えている。
そもそも何で賭けをすることになったきっかけはおじさんの一言だった。
「輝たちの夏休み最初の一週間くらい休みが取れそうなんだ!どこか旅行に行こう!どこがいい?」
「川!」
「海!」
私と輝の意見が分かれて喧嘩を始めた。
「なんで海なんだよ!川でキャンプとかBBQとかがいい!」
「川より海で泳ぎたいの!海で泳いでー温泉旅館に泊まってーまったり過ごす方がいい!」
お母さんとおじさんはどっちも捨てがたいらしく中立に立ったのだった。
けれど、一向に決まる気配がなくそこで提案したのが期末テストの結果で勝負!なのだ。
私が勝てば温泉旅館に泊まって海。
輝が勝てば、川で釣りやらキャンプやらBBQ。
けれど、輝がそれだけじゃ気が治まらないから負けた方は何でも言うこと聞くと言う条件も足した。
ほぼ、売り言葉に買い言葉の口論の末に出た賭けである。
冷静になった今では後悔していた。
輝は昔から勝負事になると強い。
普段から要領がいいのかあまり勉強しなくてもいい点が取れるのだ。
でも、私は必死に勉強していい点を取るのである。
つまり、この勝負私には分が悪い。
ヤマ勘を外したら最後、温泉旅館には行けず、輝に変なお願いをされるに決まってる……
それだけは阻止したい!
その一心でこの一週間勉強に励んだ。
そして、テストの日当日。
無理が祟ったのか高熱を出して倒れる始末である。
「み、美紀~大丈夫?お母さん、今日、どうしてもお仕事休めなくて……有輝さんももうお仕事行っちゃったし……」
「だ、大丈夫だよ。お母さん、私一人でもなんとかなるって」
「で、でも~」
「麻美さん、俺、テスト終わったらすぐ帰ってくるから!心配しなくて大丈夫!」
「う、う~ん……じ、じゃあ、美紀のことお願いするわね?なるべく早く帰ってくるから!」
そう言ってお母さんは何度も早く帰るからね―!と叫びながら家を出た。
「輝も学校行きなよ。テスト遅れちゃうよ」
「……ちゃんと寝ててよ?テスト終わったら即行で帰ってくるから。帰りにプリンとかゼリー買ってくるね」
「うん、ぶとうとみかんともものぜりーがいい」
「分かった。じゃあ、行ってくるね」
「いってらっしゃい」
輝も出て行く音がして家の中が静まり返る。
あぁ、一人になったと思った途端、心細くなってきた……
どうして、こんな大事な日に風邪なんか引くかな……
折角一生懸命勉強したのに……
熱が高いせいか暗いことばかり考える。
怠さからか自然と瞼が下がってきて私はそのまま意識を手放した。
私は輝と賭けをした。
期末テストの成績が悪かった方が何でも言うことを聞くと言うありきたりな賭け。
正直なところ、入学してからまともに勉強したかと聞かれれば首を傾げる。
中間テストでは良くも悪くもない普通の結果だった。
赤点はないがすべて平均点ギリギリで。
お母さんにちょっと心配された。
輝も同じようなものでおじさんに叱られていたのを覚えている。
そもそも何で賭けをすることになったきっかけはおじさんの一言だった。
「輝たちの夏休み最初の一週間くらい休みが取れそうなんだ!どこか旅行に行こう!どこがいい?」
「川!」
「海!」
私と輝の意見が分かれて喧嘩を始めた。
「なんで海なんだよ!川でキャンプとかBBQとかがいい!」
「川より海で泳ぎたいの!海で泳いでー温泉旅館に泊まってーまったり過ごす方がいい!」
お母さんとおじさんはどっちも捨てがたいらしく中立に立ったのだった。
けれど、一向に決まる気配がなくそこで提案したのが期末テストの結果で勝負!なのだ。
私が勝てば温泉旅館に泊まって海。
輝が勝てば、川で釣りやらキャンプやらBBQ。
けれど、輝がそれだけじゃ気が治まらないから負けた方は何でも言うこと聞くと言う条件も足した。
ほぼ、売り言葉に買い言葉の口論の末に出た賭けである。
冷静になった今では後悔していた。
輝は昔から勝負事になると強い。
普段から要領がいいのかあまり勉強しなくてもいい点が取れるのだ。
でも、私は必死に勉強していい点を取るのである。
つまり、この勝負私には分が悪い。
ヤマ勘を外したら最後、温泉旅館には行けず、輝に変なお願いをされるに決まってる……
それだけは阻止したい!
その一心でこの一週間勉強に励んだ。
そして、テストの日当日。
無理が祟ったのか高熱を出して倒れる始末である。
「み、美紀~大丈夫?お母さん、今日、どうしてもお仕事休めなくて……有輝さんももうお仕事行っちゃったし……」
「だ、大丈夫だよ。お母さん、私一人でもなんとかなるって」
「で、でも~」
「麻美さん、俺、テスト終わったらすぐ帰ってくるから!心配しなくて大丈夫!」
「う、う~ん……じ、じゃあ、美紀のことお願いするわね?なるべく早く帰ってくるから!」
そう言ってお母さんは何度も早く帰るからね―!と叫びながら家を出た。
「輝も学校行きなよ。テスト遅れちゃうよ」
「……ちゃんと寝ててよ?テスト終わったら即行で帰ってくるから。帰りにプリンとかゼリー買ってくるね」
「うん、ぶとうとみかんともものぜりーがいい」
「分かった。じゃあ、行ってくるね」
「いってらっしゃい」
輝も出て行く音がして家の中が静まり返る。
あぁ、一人になったと思った途端、心細くなってきた……
どうして、こんな大事な日に風邪なんか引くかな……
折角一生懸命勉強したのに……
熱が高いせいか暗いことばかり考える。
怠さからか自然と瞼が下がってきて私はそのまま意識を手放した。
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