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第2章
第22話 リリス13歳 魔力覚醒2
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リリスに声をかけてきたのは、エリーゼ・サラマンカ伯爵令嬢だった。彼女は以前、参加したお茶会で出会ったリリスの数少ない友達の一人だ。
「リリス様は属性なんでしたの?私は水なんですよ」
「私は炎ですわ。水でしたら、この教室ですね」
「ええ。実は私、この間の判定より緊張してますわ。ほら、稀にいるのでしょう?その・・」
リリスはエリーゼが言葉を濁した意味をくみ取った。
「そうみたいね。せっかく属性が分かったのに、明日から勉学科に通わなくてはならないのはちょっとショックかもしれませんわ」
「リリス様はただショックなんて、軽く考えていらっしゃるの?私だったら、もっと・・想像しただけで、もう」
エリーゼはブルッと体を震わせる。
そんな彼女を見て
(そういえば魔力のほとんどないアリーナのお母様がここの卒業生だと聞いた時、決して魔法科で落ちこぼれてしまったわけではない。最初に勉学科に入学したんだとアリーナが私に言ったことがあったわ。あの時のアリーナ、必死だったわ)
と昔の親友を思い出す。
(最初から勉学科に入学するのと、覚醒できずに勉学科に異動するのと違うなんてやっぱりおかしいわ。勉強することは変わらないのに)
そう考えると、リリスはエリーゼに言った。
「そんなに怖がらなくても。ただ魔法が使えるか使えないかの違いですわ。確かに不名誉なレッテルがあるみたいだけど、あんなの気にしなければよろしいのでは?」
「私は気にしないなんて、無理ですわ。まわりから蔑まれるんですよ」
「蔑むなんて大袈裟だわ。お父様に聞きましたけど、そんなのほんの一握りの貴族だけですってよ」
「リリス様、数の問題ではなく、レッテルを貼られてしまうことが問題なんですよ」
リリスは気付かれぬよう小さく息を吐いた。
(今更ながら思うけど、貴族って面倒ね)
そんな会話もアルバスの声で終わりとなった。
「それじゃあ、氷はこっち。水はこっち。炎はここに集まるように」
生徒がそれぞれ指定された場所へ移動する。次にリリスたち炎の生徒が集められた前にアルバスは立つと、右手を前に出し、手のひらを何もない空間にかざす。そしてブツブツ何かを念じ始めた。
すると何もなかったその場所に透明なドームがスーッっと現れた。透明なドームの壁には赤いマーブル模様が渦まいている。
そうしてアルバスは同じように水と氷の生徒の前にもドームをつくった。水の生徒の前には青、氷の生徒の前には黄色の渦をまいたドームがある。
みんなが感想を口にしながら、目の前のドームを見ている。
「すごい」
「この中に入るのかしら。ちょっと怖いわ」
リリスも小さな声で「きれい」と口にした。すると斜め前にいた少年が振り向いて「きれい?」と聞いてきた。どうやらリリスの言葉が聞こえたようだ。いきなり振り向いたので、リリスが驚いていると「いきなりでびっくりさせてしまったかな」と頭の後ろをかきながら、リリスの横に移動してきた。「こういうものをご令嬢は怖がるものかと思ってたけど」横に立った少年が言う。
(いきなり名乗りもしないで、話しかけてきてビックリした。いったい誰かしら?)
リリスが黙って少年を見ていると、何かに気付いたように彼は言った。
「ああ、ご令嬢に名乗りもしないで失礼だったね。
僕はスタイラス。スタイラス・マリアセレンです」
スタイラスと名乗った少年は軽く会釈をしながらそう言うと、リリスににっこり笑いかけた。
「リリス様は属性なんでしたの?私は水なんですよ」
「私は炎ですわ。水でしたら、この教室ですね」
「ええ。実は私、この間の判定より緊張してますわ。ほら、稀にいるのでしょう?その・・」
リリスはエリーゼが言葉を濁した意味をくみ取った。
「そうみたいね。せっかく属性が分かったのに、明日から勉学科に通わなくてはならないのはちょっとショックかもしれませんわ」
「リリス様はただショックなんて、軽く考えていらっしゃるの?私だったら、もっと・・想像しただけで、もう」
エリーゼはブルッと体を震わせる。
そんな彼女を見て
(そういえば魔力のほとんどないアリーナのお母様がここの卒業生だと聞いた時、決して魔法科で落ちこぼれてしまったわけではない。最初に勉学科に入学したんだとアリーナが私に言ったことがあったわ。あの時のアリーナ、必死だったわ)
と昔の親友を思い出す。
(最初から勉学科に入学するのと、覚醒できずに勉学科に異動するのと違うなんてやっぱりおかしいわ。勉強することは変わらないのに)
そう考えると、リリスはエリーゼに言った。
「そんなに怖がらなくても。ただ魔法が使えるか使えないかの違いですわ。確かに不名誉なレッテルがあるみたいだけど、あんなの気にしなければよろしいのでは?」
「私は気にしないなんて、無理ですわ。まわりから蔑まれるんですよ」
「蔑むなんて大袈裟だわ。お父様に聞きましたけど、そんなのほんの一握りの貴族だけですってよ」
「リリス様、数の問題ではなく、レッテルを貼られてしまうことが問題なんですよ」
リリスは気付かれぬよう小さく息を吐いた。
(今更ながら思うけど、貴族って面倒ね)
そんな会話もアルバスの声で終わりとなった。
「それじゃあ、氷はこっち。水はこっち。炎はここに集まるように」
生徒がそれぞれ指定された場所へ移動する。次にリリスたち炎の生徒が集められた前にアルバスは立つと、右手を前に出し、手のひらを何もない空間にかざす。そしてブツブツ何かを念じ始めた。
すると何もなかったその場所に透明なドームがスーッっと現れた。透明なドームの壁には赤いマーブル模様が渦まいている。
そうしてアルバスは同じように水と氷の生徒の前にもドームをつくった。水の生徒の前には青、氷の生徒の前には黄色の渦をまいたドームがある。
みんなが感想を口にしながら、目の前のドームを見ている。
「すごい」
「この中に入るのかしら。ちょっと怖いわ」
リリスも小さな声で「きれい」と口にした。すると斜め前にいた少年が振り向いて「きれい?」と聞いてきた。どうやらリリスの言葉が聞こえたようだ。いきなり振り向いたので、リリスが驚いていると「いきなりでびっくりさせてしまったかな」と頭の後ろをかきながら、リリスの横に移動してきた。「こういうものをご令嬢は怖がるものかと思ってたけど」横に立った少年が言う。
(いきなり名乗りもしないで、話しかけてきてビックリした。いったい誰かしら?)
リリスが黙って少年を見ていると、何かに気付いたように彼は言った。
「ああ、ご令嬢に名乗りもしないで失礼だったね。
僕はスタイラス。スタイラス・マリアセレンです」
スタイラスと名乗った少年は軽く会釈をしながらそう言うと、リリスににっこり笑いかけた。
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