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第3章
第162話 リリス14歳 窮途末路4
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「えっ!魔法を?」
「そうなんだ。彼女に危険が迫ると、 居場所を知らせてくれるんだ。彼女の魔力や心が乱れると知らせてくれると言ったほうが正解かな。ほら、このピアスと対になってるんだよ」
そう言って自身の片耳につけられたピアスを見せるヘンリー。それはラベンダー色の石が一つ付いているシンプルなものだった。
「彼女はその・・トラブルの中心にいることが多いようだからね。何かあった時の保険のつもりだったんだけど、さっそく使うことになるとは思わなかったよ」
「「あー・・」」
ヘンリーのセリフに思い当たるスタイラスとアシュリーの声が揃う。その様子にヘンリーはクスッと笑った。
「非常に興味深い品ですね。どこで手に入れたんですか?」
メガネを上げ、興味津々な様子のアシュリーにヘンリーは答える。
「石は普通のものだよ。ただ、かけてある魔法が特別なんだ。少し特別なルートで紹介してもらった人物にかけてもらったんだ・・・
あっ、この事はリリィにはナイショだよ。知ったら、彼女は"信用ないの?"って拗ねるからね」
ヘンリーのお願いに二人は笑って頷いた。そして先程ポケットに入れたブレスレットの存在を思い出したスタイラスが取り出し、ヘンリーに渡す。渡された彼は首を傾げ「これは?」と尋ねると、スタイラスが説明し始めた。
「リリス嬢のおかしくなった原因は、このブレスレットじゃないかと思うんだ。実際、その時に何とも嫌な色に光っていたからね」
「へえ、これが・・・分かった。これは帰ったら調べてみるよ」
そう言ってヘンリーはブレスレットをポケットへ仕舞い込んだ。
「それはそうと、アルバス先生は一緒じゃないのか?」
スタイラスの問にヘンリーは首を振った。
「アリーナ嬢とエリーゼ嬢が知らせに来たときにピアスが反応したからね。とにかく僕だけでも先にリリィのもとに来たかったんだ。それに先生には手紙を書いて彼女たちに届けてもらってる。さっき連絡があって、先生はアルミーダさんを連れてやってくる筈だよ。サラマンデルのことは聞いてるかい?」
それに頷くスタイラスとアシュリー。ヘンリーは更に説明を続けた。
「アルミーダさんは、サラマンデルを自由にする方法を知ってる。その準備が整ったという彼女に今回のことを知らせに行ったんだ。ディファナが絡んでる以上、味方は少しでも多いほうがいいだろう?なんと言っても、彼女は伝説の魔女だからね」
「ディファナが絡んでることは事実なんですか?」
「ああ。先生は間違いないと言ってる」
「ヘンリー、さっき言った"連絡"ってどうやってやったんだ?」
スタイラスが聞いたその時、一羽のフクロウがヘンリーの肩にとまった。突然現れたフクロウにスタイラスとアシュリーは目が点になっている。ヘンリーは目の前の二人の反応を気にせず、フクロウに話し掛けた。
「ホーホー、どうだった?」
『ホー・・広場行く・・ホー・・・そこで待て・・・ホー』
「分かった。ありがとう。気を付けて帰ってね」
ヘンリーの言葉を合図にフクロウは飛び立ち、闇に消えた。その飛行は羽音の全くしない静かなものだった。
驚く二人に向かって「こうしてだよ」と言うと、ヘンリーはニッコリ笑った。
「今のは"ホーホー"。アルミーダさんが飼ってるフクロウだ。あの子を介して連絡したんだよ」
「ホーホーって・・・安直なネーミングセンス・・」
「あっ、そんなこと言って、アルミーダさんに怒られるぞ」
アシュリーの軽い言葉にスタイラスが肘で彼の脇腹を小突いて言った。そんな二人のやり取りを笑って見ているヘンリー。彼はまだ眠るリリスに持ってきた肩掛けをかけ抱き上げると、二人に言った。
「さあ、広場に戻ろうか。先生たちと合流だ」
その言葉を合図に三人は広場へ向けて、森の奥へと歩き始めた。
「そうなんだ。彼女に危険が迫ると、 居場所を知らせてくれるんだ。彼女の魔力や心が乱れると知らせてくれると言ったほうが正解かな。ほら、このピアスと対になってるんだよ」
そう言って自身の片耳につけられたピアスを見せるヘンリー。それはラベンダー色の石が一つ付いているシンプルなものだった。
「彼女はその・・トラブルの中心にいることが多いようだからね。何かあった時の保険のつもりだったんだけど、さっそく使うことになるとは思わなかったよ」
「「あー・・」」
ヘンリーのセリフに思い当たるスタイラスとアシュリーの声が揃う。その様子にヘンリーはクスッと笑った。
「非常に興味深い品ですね。どこで手に入れたんですか?」
メガネを上げ、興味津々な様子のアシュリーにヘンリーは答える。
「石は普通のものだよ。ただ、かけてある魔法が特別なんだ。少し特別なルートで紹介してもらった人物にかけてもらったんだ・・・
あっ、この事はリリィにはナイショだよ。知ったら、彼女は"信用ないの?"って拗ねるからね」
ヘンリーのお願いに二人は笑って頷いた。そして先程ポケットに入れたブレスレットの存在を思い出したスタイラスが取り出し、ヘンリーに渡す。渡された彼は首を傾げ「これは?」と尋ねると、スタイラスが説明し始めた。
「リリス嬢のおかしくなった原因は、このブレスレットじゃないかと思うんだ。実際、その時に何とも嫌な色に光っていたからね」
「へえ、これが・・・分かった。これは帰ったら調べてみるよ」
そう言ってヘンリーはブレスレットをポケットへ仕舞い込んだ。
「それはそうと、アルバス先生は一緒じゃないのか?」
スタイラスの問にヘンリーは首を振った。
「アリーナ嬢とエリーゼ嬢が知らせに来たときにピアスが反応したからね。とにかく僕だけでも先にリリィのもとに来たかったんだ。それに先生には手紙を書いて彼女たちに届けてもらってる。さっき連絡があって、先生はアルミーダさんを連れてやってくる筈だよ。サラマンデルのことは聞いてるかい?」
それに頷くスタイラスとアシュリー。ヘンリーは更に説明を続けた。
「アルミーダさんは、サラマンデルを自由にする方法を知ってる。その準備が整ったという彼女に今回のことを知らせに行ったんだ。ディファナが絡んでる以上、味方は少しでも多いほうがいいだろう?なんと言っても、彼女は伝説の魔女だからね」
「ディファナが絡んでることは事実なんですか?」
「ああ。先生は間違いないと言ってる」
「ヘンリー、さっき言った"連絡"ってどうやってやったんだ?」
スタイラスが聞いたその時、一羽のフクロウがヘンリーの肩にとまった。突然現れたフクロウにスタイラスとアシュリーは目が点になっている。ヘンリーは目の前の二人の反応を気にせず、フクロウに話し掛けた。
「ホーホー、どうだった?」
『ホー・・広場行く・・ホー・・・そこで待て・・・ホー』
「分かった。ありがとう。気を付けて帰ってね」
ヘンリーの言葉を合図にフクロウは飛び立ち、闇に消えた。その飛行は羽音の全くしない静かなものだった。
驚く二人に向かって「こうしてだよ」と言うと、ヘンリーはニッコリ笑った。
「今のは"ホーホー"。アルミーダさんが飼ってるフクロウだ。あの子を介して連絡したんだよ」
「ホーホーって・・・安直なネーミングセンス・・」
「あっ、そんなこと言って、アルミーダさんに怒られるぞ」
アシュリーの軽い言葉にスタイラスが肘で彼の脇腹を小突いて言った。そんな二人のやり取りを笑って見ているヘンリー。彼はまだ眠るリリスに持ってきた肩掛けをかけ抱き上げると、二人に言った。
「さあ、広場に戻ろうか。先生たちと合流だ」
その言葉を合図に三人は広場へ向けて、森の奥へと歩き始めた。
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