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第3章
第162.5話 幕間 ヘンリー視点1
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最近、僕のリリィは突然我儘になる。最初は西の森へ行った時、森に住み着いたメイルと一緒でないと帰らないと言い出した。
「メイルと一緒じゃないと帰りたくない。ううん、帰らないから」
今まで我儘なんか言ったことのない彼女だから、僕も一緒にいたアルバス先生も戸惑った。まさか彼女を置いて帰るわけにもいかないから"一緒に帰ろう"と僕は言ったが、リリィが突然あっかんべーと舌を出して走り出した時は本当に驚いたな。僕はそのあっかんべーをした顔も可愛いと呆けてしまい、逃げた彼女を追うのが遅れてしまった。それが理由ではないが、彼女の足の早いこと。僕がどんなに必死に追いかけようとも、全然追い付けないのには焦った。先生が咄嗟に土魔法で止めてくれなければ、見失っていたかもしれない。あんな状態の彼女を見失うなんて、ゾッとする。
その後、すぐにいつものリリィに戻ったけど、おかしくなった原因が分からないのは不安だった。彼女自身自覚がないのも、たちが悪い。
次にリリィがおかしくなったのは、城ヘ向かう途中だった。最初の時と同じ、なんの前触れもなくいきなり"わがままリリィ"が顔を出した。
「森・・森へ行こう・・お城じゃなくて森へ行こうよ」
また森だ。前は森から帰らないと言い、今度は森へ行くと言う。こうなる原因を先生は魔法じゃないと言ってたが、実はディファナが魔法をかけてるんじゃないのか!?魔法以外におかしくなる方法があったら、教えてほしい。
でも今度はわがままなリリィも可愛いなんて呑気に考えてる場合じゃなかった。心配してくれるアリーナ嬢たちに信じられない言葉を言い放ったんだ。
「なんであなた達と一緒に行かなくてはならないのよ」
「あなた達は私のおまけなのよ。おわかり?」
僕は思わず声を荒らげてしまった。リリィと出会ってから一度もそんなことなかったのに、考えるよりも前に口にしてしまったんだ。
「リリィッ!」
当然、みんな驚いていた。
(嗚呼、やってしまった・・・)
そしてリリィは、またすぐに元に戻った。
「あら?みんなどうしたの?お城へ行かないの?」
いつもの可愛らしい表情でキョトンとしている。
(やっぱり可愛い・・・僕のリリィはいつ見ても愛らしい・・)
そんな能天気な僕の思考もエリーゼ嬢が次に言った言葉で一瞬で吹っ飛んだ。
「そう言えば今日の授業でも変だったわ。授業中にいきなり立ち上がってローブン先生に向かって『もっと楽しい授業しなさいよ』って啖呵を切ったんです」
おいおい・・先生に向かって、そんなこと言ったのか!?まあ、ローブン先生ならリリィの言ったことはみんなが思ってる事だろうが、いくら本当の事とはいえ本人にしかも先生に言ったらダメだろ。しかも今度もリリィはその事を忘れてるし。やっぱり変だ。アリーナ嬢も言ってたが、リリィは人を傷つけるようなことは言わないんだ。
スタイラスが心配をしてくれたが、原因が分からない以上とりあえず様子見だな。
翌日の放課後、アリーナ嬢たちが元気のないリリィを街へ連れ出して気分転換してくれた。僕も当然行くつもりだったが、生憎都合が悪かったので"翌日に"と提案したが、呆気なく却下された。帰りの馬車の扉が閉められるまで、リリィが"やっぱり一緒に明日行こう"と言ってくれる事を期待したが、僕の願いは呆気なく砕け散った。可愛いリリィが元気になるなら仕方ないか。
用を済ませ屋敷でのんびりしていると、アリーナ嬢とエリーゼ嬢が来た。リリィと一緒にいるはずの彼女たちが会いに来たことに、僕は胸騒ぎがした。
(リリィに何かあったのか!?いや、でもネックレスの反応はない・・)
僕は無意識にピアスに触れた。心を落ち着けるように一度深呼吸をしたあと、僕は二人が待つ客間へと足を運んだ。僕が部屋へ入るやいなや二人は立ち上がり、アリーナ嬢が口を開いた。
「ヘンリー様!リリスに頼まれて呼びに来ました。彼女はヘンリー様はすべて事情を知ってると言ったんです!」
「ええと・・・とりあえずリリィが僕を必要としてることは分かった。最初から順を追って説明してくれないか?」
明らかに焦ってる二人は僕に対する説明を端折ったので、全く話が見えない。僕は逸る気持ちおさえ、アリーナ嬢の話を聞いた。
「メイルと一緒じゃないと帰りたくない。ううん、帰らないから」
今まで我儘なんか言ったことのない彼女だから、僕も一緒にいたアルバス先生も戸惑った。まさか彼女を置いて帰るわけにもいかないから"一緒に帰ろう"と僕は言ったが、リリィが突然あっかんべーと舌を出して走り出した時は本当に驚いたな。僕はそのあっかんべーをした顔も可愛いと呆けてしまい、逃げた彼女を追うのが遅れてしまった。それが理由ではないが、彼女の足の早いこと。僕がどんなに必死に追いかけようとも、全然追い付けないのには焦った。先生が咄嗟に土魔法で止めてくれなければ、見失っていたかもしれない。あんな状態の彼女を見失うなんて、ゾッとする。
その後、すぐにいつものリリィに戻ったけど、おかしくなった原因が分からないのは不安だった。彼女自身自覚がないのも、たちが悪い。
次にリリィがおかしくなったのは、城ヘ向かう途中だった。最初の時と同じ、なんの前触れもなくいきなり"わがままリリィ"が顔を出した。
「森・・森へ行こう・・お城じゃなくて森へ行こうよ」
また森だ。前は森から帰らないと言い、今度は森へ行くと言う。こうなる原因を先生は魔法じゃないと言ってたが、実はディファナが魔法をかけてるんじゃないのか!?魔法以外におかしくなる方法があったら、教えてほしい。
でも今度はわがままなリリィも可愛いなんて呑気に考えてる場合じゃなかった。心配してくれるアリーナ嬢たちに信じられない言葉を言い放ったんだ。
「なんであなた達と一緒に行かなくてはならないのよ」
「あなた達は私のおまけなのよ。おわかり?」
僕は思わず声を荒らげてしまった。リリィと出会ってから一度もそんなことなかったのに、考えるよりも前に口にしてしまったんだ。
「リリィッ!」
当然、みんな驚いていた。
(嗚呼、やってしまった・・・)
そしてリリィは、またすぐに元に戻った。
「あら?みんなどうしたの?お城へ行かないの?」
いつもの可愛らしい表情でキョトンとしている。
(やっぱり可愛い・・・僕のリリィはいつ見ても愛らしい・・)
そんな能天気な僕の思考もエリーゼ嬢が次に言った言葉で一瞬で吹っ飛んだ。
「そう言えば今日の授業でも変だったわ。授業中にいきなり立ち上がってローブン先生に向かって『もっと楽しい授業しなさいよ』って啖呵を切ったんです」
おいおい・・先生に向かって、そんなこと言ったのか!?まあ、ローブン先生ならリリィの言ったことはみんなが思ってる事だろうが、いくら本当の事とはいえ本人にしかも先生に言ったらダメだろ。しかも今度もリリィはその事を忘れてるし。やっぱり変だ。アリーナ嬢も言ってたが、リリィは人を傷つけるようなことは言わないんだ。
スタイラスが心配をしてくれたが、原因が分からない以上とりあえず様子見だな。
翌日の放課後、アリーナ嬢たちが元気のないリリィを街へ連れ出して気分転換してくれた。僕も当然行くつもりだったが、生憎都合が悪かったので"翌日に"と提案したが、呆気なく却下された。帰りの馬車の扉が閉められるまで、リリィが"やっぱり一緒に明日行こう"と言ってくれる事を期待したが、僕の願いは呆気なく砕け散った。可愛いリリィが元気になるなら仕方ないか。
用を済ませ屋敷でのんびりしていると、アリーナ嬢とエリーゼ嬢が来た。リリィと一緒にいるはずの彼女たちが会いに来たことに、僕は胸騒ぎがした。
(リリィに何かあったのか!?いや、でもネックレスの反応はない・・)
僕は無意識にピアスに触れた。心を落ち着けるように一度深呼吸をしたあと、僕は二人が待つ客間へと足を運んだ。僕が部屋へ入るやいなや二人は立ち上がり、アリーナ嬢が口を開いた。
「ヘンリー様!リリスに頼まれて呼びに来ました。彼女はヘンリー様はすべて事情を知ってると言ったんです!」
「ええと・・・とりあえずリリィが僕を必要としてることは分かった。最初から順を追って説明してくれないか?」
明らかに焦ってる二人は僕に対する説明を端折ったので、全く話が見えない。僕は逸る気持ちおさえ、アリーナ嬢の話を聞いた。
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