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第3章
第182話 リリス14歳 エピローグ
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目の前の不思議な光景を黙って見守るヘンリーたち。ミズキが消え、しばらく動かないリリスを静かに待っていた。
そして「ミズキ・・行っちゃった」と振り返り笑ったリリスをそっと抱きしめたヘンリーは「あの子がリリィの前世だったんだね」と口にした。それに頷く彼女の背中をヘンリーは、子供をあやすようにポンポンと擦った。ほんの少し彼に甘えたリリスはそっと彼の腕から逃れると、その表情はいつもの彼女に戻っていた。「お待たせしました!帰りましょう!」と元気に声をかけるリリスに皆はとびっきりの笑顔を送った。
すっかり明るくなった森の中を歩きながら、皆はエリーゼにネージュとメイルを紹介し、今までの経緯を説明していた。時折、エリーゼがあげる驚きの声にアルバスとアルミーダは笑いを漏らす。
森の外までやって来た一行は、アルミーダの移動魔法で彼女の店までまとめて戻ることになっていた。アルミーダの魔力が皆をそれぞれの屋敷まで送り届けるほど残っていなかったのだ。
店に戻る前にリリスがサラマンデルにこれからどうするのか尋ねると、彼は元いた洞窟に戻ると話した。せっかく会えた精霊王との別れに寂しさも覚えたが、リリスは笑顔で別れの挨拶を言った。そしてサラマンデルの足元にそっと寄り添うメイルにリリスは「メイル・・サラマンデル様と行くのね?」と語りかけると、メイルはヒュールルルと短く鳴いた。それを肯定と受け取ったリリスの瞳はあっという間に潤む。想像していなかったメイルとの別れにヘンリーたちの目にも光るものが・・そして皆が可愛くそして勇敢な小さな聖獣に別れの挨拶を終えると、サラマンデルは「きっとまた会える」という言葉と笑顔を残し、炎の風となってメイルと共に空へ去って行った。
サラマンデルたちの消えた空を見上げ、干渉にひたる空気をアリーナの悲鳴に近い声が破る。
「あーーっ!!どうしよう!私たち無断外泊よ!今頃、屋敷中、大騒ぎしてるわ!」
リリスたちもアリーナの言葉に顔を青くして「どうしよう」と狼狽えていた。しかし、涼しい顔のアルバスの笑い声が皆が動揺する雰囲気の中、響き渡る。
「先生、何がそんなに可笑しいんですか!学生である私たちには大問題なんですよ」
アリーナの抗議にアルバスは「大丈夫だよ。ホーホーに任せてある」と言った。彼の言葉の意味を理解できないリリスたちは顔を見合わせ、アルバスは動揺するリリスたちに説明した。
「僕はアルミーダの店を出る前に君たちの家宛に手紙を書いた。それをホーホーに頼んで届けてもらってるから騒ぎにはなってない筈だよ」
アルバスの説明にアリーナとエリーゼが記憶を呼び起こす。そして二人同時に「あっ!」と声を上げた。アルバスが店でホーホーに最後の伝言を頼んだ後、何通か手紙をしたためていたのを思い出したのだ。皆がホッとしたのもつかの間、アルバスの次のセリフに「えーっ!」と声を上げた。
「ああ、ちなみに君たちは課題が終わらないため、アルミーダの店で集って課題を終わらせたことになってるから、話を合わせてくれよ。僕が監督責任者として、しっかり終わらせますとも付け加えておいたからね」
「「えーっ!」」
「課題が終わらないって、もう少しマシな言い訳ありませんでしたか?」
スタイラスの言葉にアルバスは肩をすくめる。
「おいおい、課題を終わらせなかったことへのお小言くらい我慢しなさい。徹夜の無断外泊の大目玉よりマシだろう」
「「はーい」」
こうして一同はアルミーダの移動魔法で店へ飛んだ。戻ったリリスたちは、それぞれの屋敷へ戻って行った。リリスのボロボロの制服もアルミーダの魔法にかかれば、あっという間に新品のようにきれいになった。こうして誰一人欠けることなく、揃って店を出た後ろ姿をアルバスとアルミーダが見送った。
皆がワイワイと楽しそうに歩く中、ホーホーに会っていないリリスの「ホーホーって、何?」という質問が見送る二人の耳に届く。その様子にアルバスが笑いを漏らし、アルミーダが呆れながら言った。
「全くあの子たちが店に来てから、面倒な事ばかりだね。騒がしくて疲れるったら、ありゃあしない」
「でも退屈しないだろう?」
そう言われたアルミーダの表情は、とても楽しげで穏やかなだった。
ここは魔法の存在する国「プロメア王国」
14年前に前世の記憶を持つ一人の女の子が誕生した。その子は両親から「リリス」の名を授かり、蝶よ花よと育てられた。やがて相思相愛の婚約者や気のおけない友人に囲まれ、有意義な学生生活を送る。
彼女がいずれ前世の記憶を武器に、様々な改革をこの国にもたらすのだが、それはまた別のお話・・・
★★★★★★★★★
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
リリスと魔女ディファナとの物語本編は、ここで終了です。後日談を2話更新した後は、不定期更新となります。
リリスが3年生になってからの物語は、別作品「婚約者が溺愛してきます。でも、わたくし悪役令嬢にされそうなんです」としてお届けします。
新作では新たな登場人物も加わり、リリスたちの新たな学園生活に加え、社交デビューなどの物語が繰り広げられます。
3章が糖度不足&学園外中心のお話しだったので、新たな作品では学園中心に糖度少し高めでお届けする予定です。
ここであらすじを少し・・・
3年になったリリスたち。
隣国の王子王女も加わり、リリスの学園生活は一段と賑やかになる。前世の知識を活かし奮闘する中、リリスたちの前に彼女と同じ転生者らしき新入生が現れる。どうやらその新入生はリリスを悪役令嬢にしたいようで・・・
新作からでもお読みいただけるように執筆する予定なので、新たなリリスたちの物語も引き続き楽しんでいただけたら嬉しい限りです。
そして「ミズキ・・行っちゃった」と振り返り笑ったリリスをそっと抱きしめたヘンリーは「あの子がリリィの前世だったんだね」と口にした。それに頷く彼女の背中をヘンリーは、子供をあやすようにポンポンと擦った。ほんの少し彼に甘えたリリスはそっと彼の腕から逃れると、その表情はいつもの彼女に戻っていた。「お待たせしました!帰りましょう!」と元気に声をかけるリリスに皆はとびっきりの笑顔を送った。
すっかり明るくなった森の中を歩きながら、皆はエリーゼにネージュとメイルを紹介し、今までの経緯を説明していた。時折、エリーゼがあげる驚きの声にアルバスとアルミーダは笑いを漏らす。
森の外までやって来た一行は、アルミーダの移動魔法で彼女の店までまとめて戻ることになっていた。アルミーダの魔力が皆をそれぞれの屋敷まで送り届けるほど残っていなかったのだ。
店に戻る前にリリスがサラマンデルにこれからどうするのか尋ねると、彼は元いた洞窟に戻ると話した。せっかく会えた精霊王との別れに寂しさも覚えたが、リリスは笑顔で別れの挨拶を言った。そしてサラマンデルの足元にそっと寄り添うメイルにリリスは「メイル・・サラマンデル様と行くのね?」と語りかけると、メイルはヒュールルルと短く鳴いた。それを肯定と受け取ったリリスの瞳はあっという間に潤む。想像していなかったメイルとの別れにヘンリーたちの目にも光るものが・・そして皆が可愛くそして勇敢な小さな聖獣に別れの挨拶を終えると、サラマンデルは「きっとまた会える」という言葉と笑顔を残し、炎の風となってメイルと共に空へ去って行った。
サラマンデルたちの消えた空を見上げ、干渉にひたる空気をアリーナの悲鳴に近い声が破る。
「あーーっ!!どうしよう!私たち無断外泊よ!今頃、屋敷中、大騒ぎしてるわ!」
リリスたちもアリーナの言葉に顔を青くして「どうしよう」と狼狽えていた。しかし、涼しい顔のアルバスの笑い声が皆が動揺する雰囲気の中、響き渡る。
「先生、何がそんなに可笑しいんですか!学生である私たちには大問題なんですよ」
アリーナの抗議にアルバスは「大丈夫だよ。ホーホーに任せてある」と言った。彼の言葉の意味を理解できないリリスたちは顔を見合わせ、アルバスは動揺するリリスたちに説明した。
「僕はアルミーダの店を出る前に君たちの家宛に手紙を書いた。それをホーホーに頼んで届けてもらってるから騒ぎにはなってない筈だよ」
アルバスの説明にアリーナとエリーゼが記憶を呼び起こす。そして二人同時に「あっ!」と声を上げた。アルバスが店でホーホーに最後の伝言を頼んだ後、何通か手紙をしたためていたのを思い出したのだ。皆がホッとしたのもつかの間、アルバスの次のセリフに「えーっ!」と声を上げた。
「ああ、ちなみに君たちは課題が終わらないため、アルミーダの店で集って課題を終わらせたことになってるから、話を合わせてくれよ。僕が監督責任者として、しっかり終わらせますとも付け加えておいたからね」
「「えーっ!」」
「課題が終わらないって、もう少しマシな言い訳ありませんでしたか?」
スタイラスの言葉にアルバスは肩をすくめる。
「おいおい、課題を終わらせなかったことへのお小言くらい我慢しなさい。徹夜の無断外泊の大目玉よりマシだろう」
「「はーい」」
こうして一同はアルミーダの移動魔法で店へ飛んだ。戻ったリリスたちは、それぞれの屋敷へ戻って行った。リリスのボロボロの制服もアルミーダの魔法にかかれば、あっという間に新品のようにきれいになった。こうして誰一人欠けることなく、揃って店を出た後ろ姿をアルバスとアルミーダが見送った。
皆がワイワイと楽しそうに歩く中、ホーホーに会っていないリリスの「ホーホーって、何?」という質問が見送る二人の耳に届く。その様子にアルバスが笑いを漏らし、アルミーダが呆れながら言った。
「全くあの子たちが店に来てから、面倒な事ばかりだね。騒がしくて疲れるったら、ありゃあしない」
「でも退屈しないだろう?」
そう言われたアルミーダの表情は、とても楽しげで穏やかなだった。
ここは魔法の存在する国「プロメア王国」
14年前に前世の記憶を持つ一人の女の子が誕生した。その子は両親から「リリス」の名を授かり、蝶よ花よと育てられた。やがて相思相愛の婚約者や気のおけない友人に囲まれ、有意義な学生生活を送る。
彼女がいずれ前世の記憶を武器に、様々な改革をこの国にもたらすのだが、それはまた別のお話・・・
★★★★★★★★★
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
リリスと魔女ディファナとの物語本編は、ここで終了です。後日談を2話更新した後は、不定期更新となります。
リリスが3年生になってからの物語は、別作品「婚約者が溺愛してきます。でも、わたくし悪役令嬢にされそうなんです」としてお届けします。
新作では新たな登場人物も加わり、リリスたちの新たな学園生活に加え、社交デビューなどの物語が繰り広げられます。
3章が糖度不足&学園外中心のお話しだったので、新たな作品では学園中心に糖度少し高めでお届けする予定です。
ここであらすじを少し・・・
3年になったリリスたち。
隣国の王子王女も加わり、リリスの学園生活は一段と賑やかになる。前世の知識を活かし奮闘する中、リリスたちの前に彼女と同じ転生者らしき新入生が現れる。どうやらその新入生はリリスを悪役令嬢にしたいようで・・・
新作からでもお読みいただけるように執筆する予定なので、新たなリリスたちの物語も引き続き楽しんでいただけたら嬉しい限りです。
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