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幕間話
化石掘り爺さんと伝説の化石ホリスト(後編)
「バグザウルスの化石――まさか、バグザウルスはこの地には生息していなかったはずじゃ。な、こっちはアリエナイトの化石」
少年が地層を掘り進めると、これまで発見されなかった化石が次々に見つかった。
もうこれだけで考古学会が震撼すること間違いない発見じゃった。
「あれ、人骨みたいな骨が出てきましたよ」
「人骨じゃと!? いや、この年代には人類は神によって創造されていない時代のはず……な、これはっ!?」
少年が掘り当てた化石は、確かに見た目は人のように見える。
だが、背中の部分に鳥類の羽のようなものが――翼人――いや、そうじゃない。頭に角のような物が生えている。
恐らく、これは悪魔の化石に違いあるまい。
悪魔の紀元ついてはいままでわかってこなかった。
じゃが、化石が見つかるということは、悪魔は人類よりも先にこの地にいたという証明に繋がる。
「大発見、大発見じゃっ! 少年――っ! でかした!」
「え、あ、はい! よかったですね、ホルダーさん」
「うむ、よかった。まだ掘れ、少年! もっと化石を見つけるのじゃ! その間にワシはこれらの化石の土を取り除いておくからの」
そう言って、ワシは歯磨きで化石の周りの土を取り除いていく。
「あれ? これは――」
「また何か見つけたのか?」
「はい、これが――」
少年が見つけたのは、一体のゴーレムだった。
何故地層の中にゴーレムがあるんじゃ?
ゴーレムが生まれたのは、歴史によると二十万年前、化石ホリストの間では近世になるはずじゃが。
もしやっ!?
そうか、使役する人間もない時代、ゴーレムは悪魔によって作られて使役されておったのかっ!
なんということじゃ、大発見じゃ!
しかも、よく見るとこのゴーレム、銀――否、ミスリルでできている。
1トンにも達しようかというミスリルのゴーレム、その値段は果たしていくらになるのか。
「あれ、このゴーレム――」
少年が何か言おうとした、その時じゃった。
急に地面が揺れ出した。
地震か?
違う、ゴーレムが動き出したのじゃ。
なんと、1000万年前のゴーレムが動くなど魔物学界にとってもありえぬできごとじゃ。
しかし、そうも言っておられぬ。
ミスリルのゴーレムなんぞ、Sランクの冒険者ではないと退治できぬ。
ワシは、ワシたちはなんという化け物をこの世に解き放ってしまったのじゃ。
せめて、この発見だけでも世に伝えて死にたかった。
「少年、逃げろっ!」
そう叫んだが、ゴーレムが最初に見たのはあの少年。
ゴーレムが追いかけるのはあの少年じゃろう。
それなら、あの少年が追われている間に、ワシはこの化石を持って逃げる時間が生まれる。
そんな悪魔の囁きが化石から聞こえた気がした。
「これ、壊れていますね」
少年は飄々とした声で言う。壊れているじゃと? 実際に動いておるではないか。
早く逃げろ、そう言いたかったのに、
「とりあえず、止めておきますね」
少年は、寝る時間だから蝋燭の火を消すような気軽さでそう言うと、ゴーレムの懐に潜り込み――、次の瞬間ゴーレムが動かなくなった。
「……倒した……のか?」
「はい、止まりました」
「そ、そうか。うむ、しかしここの調査はひとまず終わりにせねばなるまい」
ワシはそう言うと、これまで掘り当てた化石を纏める。
「少年、そのミスリルのゴーレムは少年が持って帰ってくれ。追加報酬の代わりじゃ」
貴重な品ではあるが、しかし動き出したミスリルゴーレムを少年が一撃で仕留めたなどと言っても誰も信用せん。
そんなことを言ったら、この化石の出自すら疑われるからな。
……そうじゃ、
ワシの中に魔が生まれた。
「そのミスリルゴーレムを持って帰ってもよいが、ここでの出来事を誰にも言わないで貰えるかの?」
「え? あ、はい、それはいいですけど……」
「本当じゃな! 約束、約束じゃぞ!」
ワシはそう言うと、声をあげて谷から町に向かって走った。
これで、ワシはこの成果を独り占めにできる!
もう誰もワシのことをバカにせん! ワシは世界一の化石ホリストじゃ!
※ユーリシア視点※
『元王立学院考古学主席教授、カセキ・ホルダー氏。偽物の化石を提出。学会追放か?』
そんな見出しのホムーロス王国新聞を読んで、私はため息をついた。
確か、カセキ・ホルダーって前にクルトが物資を届けた相手だったよね?
ファントムの連中が常に護衛についていて、クルトが大量の化石を掘り当てたって報告は受けているけれど、それが偽物ってどういうことなんだろ。
「ん? クルト、ミスリルゴーレムをじっと見てどうしたんだい?」
「あ、ユーリシアさん。いえ、このミスリルゴーレム、やっぱりうちの村で使っていたミスリルゴーレムに似てるんですよね」
「村でゴーレムを作って、え? ゴーレムって作れるのか?」
「はい、ゴーレムが公園で遊具の代わりをするってよくある話じゃないんですか?」
「う……ううん、こっちではあまり聞かないなぁ」
クルトの村半端ないなぁ……ゴーレムが遊具なのか。
「やっぱり似てるんだよね。うちの村から突然いなくなったミスリルゴーレムに。骨の模型を作るのがオジサンがいたんですけど、模型ばっかり作っていることに奥さんが怒って、『この模型を誰にも見つからないところに埋めておいで』って言われたミスリルゴーレムに」
「……そ、そうなんだ」
私はそう頷くと、手に持っていた新聞をくしゃくしゃと丸めて捨てた。
少年が地層を掘り進めると、これまで発見されなかった化石が次々に見つかった。
もうこれだけで考古学会が震撼すること間違いない発見じゃった。
「あれ、人骨みたいな骨が出てきましたよ」
「人骨じゃと!? いや、この年代には人類は神によって創造されていない時代のはず……な、これはっ!?」
少年が掘り当てた化石は、確かに見た目は人のように見える。
だが、背中の部分に鳥類の羽のようなものが――翼人――いや、そうじゃない。頭に角のような物が生えている。
恐らく、これは悪魔の化石に違いあるまい。
悪魔の紀元ついてはいままでわかってこなかった。
じゃが、化石が見つかるということは、悪魔は人類よりも先にこの地にいたという証明に繋がる。
「大発見、大発見じゃっ! 少年――っ! でかした!」
「え、あ、はい! よかったですね、ホルダーさん」
「うむ、よかった。まだ掘れ、少年! もっと化石を見つけるのじゃ! その間にワシはこれらの化石の土を取り除いておくからの」
そう言って、ワシは歯磨きで化石の周りの土を取り除いていく。
「あれ? これは――」
「また何か見つけたのか?」
「はい、これが――」
少年が見つけたのは、一体のゴーレムだった。
何故地層の中にゴーレムがあるんじゃ?
ゴーレムが生まれたのは、歴史によると二十万年前、化石ホリストの間では近世になるはずじゃが。
もしやっ!?
そうか、使役する人間もない時代、ゴーレムは悪魔によって作られて使役されておったのかっ!
なんということじゃ、大発見じゃ!
しかも、よく見るとこのゴーレム、銀――否、ミスリルでできている。
1トンにも達しようかというミスリルのゴーレム、その値段は果たしていくらになるのか。
「あれ、このゴーレム――」
少年が何か言おうとした、その時じゃった。
急に地面が揺れ出した。
地震か?
違う、ゴーレムが動き出したのじゃ。
なんと、1000万年前のゴーレムが動くなど魔物学界にとってもありえぬできごとじゃ。
しかし、そうも言っておられぬ。
ミスリルのゴーレムなんぞ、Sランクの冒険者ではないと退治できぬ。
ワシは、ワシたちはなんという化け物をこの世に解き放ってしまったのじゃ。
せめて、この発見だけでも世に伝えて死にたかった。
「少年、逃げろっ!」
そう叫んだが、ゴーレムが最初に見たのはあの少年。
ゴーレムが追いかけるのはあの少年じゃろう。
それなら、あの少年が追われている間に、ワシはこの化石を持って逃げる時間が生まれる。
そんな悪魔の囁きが化石から聞こえた気がした。
「これ、壊れていますね」
少年は飄々とした声で言う。壊れているじゃと? 実際に動いておるではないか。
早く逃げろ、そう言いたかったのに、
「とりあえず、止めておきますね」
少年は、寝る時間だから蝋燭の火を消すような気軽さでそう言うと、ゴーレムの懐に潜り込み――、次の瞬間ゴーレムが動かなくなった。
「……倒した……のか?」
「はい、止まりました」
「そ、そうか。うむ、しかしここの調査はひとまず終わりにせねばなるまい」
ワシはそう言うと、これまで掘り当てた化石を纏める。
「少年、そのミスリルのゴーレムは少年が持って帰ってくれ。追加報酬の代わりじゃ」
貴重な品ではあるが、しかし動き出したミスリルゴーレムを少年が一撃で仕留めたなどと言っても誰も信用せん。
そんなことを言ったら、この化石の出自すら疑われるからな。
……そうじゃ、
ワシの中に魔が生まれた。
「そのミスリルゴーレムを持って帰ってもよいが、ここでの出来事を誰にも言わないで貰えるかの?」
「え? あ、はい、それはいいですけど……」
「本当じゃな! 約束、約束じゃぞ!」
ワシはそう言うと、声をあげて谷から町に向かって走った。
これで、ワシはこの成果を独り占めにできる!
もう誰もワシのことをバカにせん! ワシは世界一の化石ホリストじゃ!
※ユーリシア視点※
『元王立学院考古学主席教授、カセキ・ホルダー氏。偽物の化石を提出。学会追放か?』
そんな見出しのホムーロス王国新聞を読んで、私はため息をついた。
確か、カセキ・ホルダーって前にクルトが物資を届けた相手だったよね?
ファントムの連中が常に護衛についていて、クルトが大量の化石を掘り当てたって報告は受けているけれど、それが偽物ってどういうことなんだろ。
「ん? クルト、ミスリルゴーレムをじっと見てどうしたんだい?」
「あ、ユーリシアさん。いえ、このミスリルゴーレム、やっぱりうちの村で使っていたミスリルゴーレムに似てるんですよね」
「村でゴーレムを作って、え? ゴーレムって作れるのか?」
「はい、ゴーレムが公園で遊具の代わりをするってよくある話じゃないんですか?」
「う……ううん、こっちではあまり聞かないなぁ」
クルトの村半端ないなぁ……ゴーレムが遊具なのか。
「やっぱり似てるんだよね。うちの村から突然いなくなったミスリルゴーレムに。骨の模型を作るのがオジサンがいたんですけど、模型ばっかり作っていることに奥さんが怒って、『この模型を誰にも見つからないところに埋めておいで』って言われたミスリルゴーレムに」
「……そ、そうなんだ」
私はそう頷くと、手に持っていた新聞をくしゃくしゃと丸めて捨てた。
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