なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

文字の大きさ
9 / 78

第9話

しおりを挟む

 治癒使いのラウルが、臨時で組んだCランクパーティー『暗黒の戦士』を成功へと導いた日。

 時を同じくして、かつて彼が所属していたSS級パーティー『神々の申し子』の面々が、古代遺跡ダンジョンへと潜っていた。

 両手剣使いのバルド、片手剣使いのシェリー、それに魔術使いのエミルの三人である。

 彼らが受けたクエストの内容とは、ずば抜けた体力を持つエンシェントミイラを50体討伐せよというもの。

 クエストランクはSということで、SS級パーティーとしては格が一段落ちるものではあったが、現状だとギルドで受けられる最上のクエストはこれが限界だった。

「フッ……。僕たちとしては実にしょぼすぎるクエストだが、これ以上のランクはないのだから仕方あるまい。なあ、シェリーとエミルもそう思うだろう?」

「ええ、バルド。私もそう思います。本当は、SSランクのクエストがあればちょうどよいのですけれど……」

「だねえ。でもでもぉ、今日はがいないし、超快適な気分でやれそう!」

「ん、エミルよ、例の気持ち悪い男とは一体誰なんだい?」

「一体誰なのですか、エミル?」

「もー、言わせないでよぉ。それはねえ、使のお、ラ・ウ・ル!」

「「「ぶはっ……!」」」

 かつて所属していたメンバーの蔑称と名前が出た途端、一斉に噴き出す三人。

 彼らはしばらく腹を抱えて笑い合ったのち、満足した様子で討伐対象がいる区域へと向かい始めた。

「いやー、笑った笑った。ラウルのやつが汚物使いとは、言い得て妙だな」

「本当ですね、バルド。笑い死ぬかと思いましたよ。ただ、あの男の支援を受けたとき私はいつもばっちい感じがして体を洗いたくなったので、汚物使いというのは合っていますね」

「てか、あいつ自体が汚物そのものでしょ。幼馴染だってだけでも滅茶苦茶嫌なのに、一緒のパーティーだったってのが最悪。ホントあたしたち『神々の申し子』の汚点でしかないわ!」

 ラウルの悪口で大いに盛り上がる中、彼らは遂にエンシェントミイラがいるゾーンまで到着した。

『『『『『――ウゴオオォォッ……』』』』』

「フッ……。大分溜まってきたな」

 リーダーのバルドが、涼しい笑みを浮かべながら足の遅いミイラたちをゾロゾロと引き連れて歩く。

「ですねえ。もうそろそろ50匹になりそうでしょうか」

「ん-……ざっと見た感じ、まだ足りないんじゃない? あたしたちなら充分耐えられると思うし、もうちょっと集めようよ」

「うむ、そうだな。エミルの言う通りだ。一匹ずつモンスターを潰すよりも、集めて一気に倒すほうが楽だし、何よりゾクゾクするような快感がある――」

「「「「「――うわっ!?」」」」」

 やがて、一組のパーティーとすれ違った際にドン引きされるほど、『神々の申し子』はエンシェントミイラたちをこれでもかと集めていた。

「ふむ……。もう50匹は越えているだろうし、そろそろ倒す頃合いだな。あまりこういうところを見られてもマナー違反だと騒ぐ連中がいるから困るというのもあるが」

「そうですねえ。ま、私たちが泣く子も黙る『神々の申し子』だって知っていれば、報復が怖くて受付嬢に告げ口なんてできないでしょうけれど」

「まったくよね。なんせあたしたちは国に一つしかないSS級パーティーなんだから、ちょっとくらいズルしたって問題なんかないに決まってるわ」

 それからまもなくのこと。

 リーダーのバルドが立ち止まり、集めたモンスター群に向かって振り返る。

「さあ、来るがいい、化け物ども。この僕が一瞬にして殲滅してみせる……」

「格好いいです、バルド……」

「素敵よっ、バルド!」

『『『『『ウバアァァァッ……!』』』』』

 襲い掛かってくるミイラたちとすれ違いざま、大剣を横なぎに振るってみせるバルド。

「フッ。決まった――」

『『『『『――ウゴォ……』』』』』

「って、あれ……?」

 後ろからモンスターたちの呻き声が聞こえ、恐る恐る振り返るバルド。

 エンシェントミイラたちは余すことなく生存しており、その無数の鋭い眼光が光る。

「そ、そ、そんな。いつもなら一発で倒せるというのに、何故――」

『『『『『――ウジャアアアアッ!』』』』』

「ぐっ……ぐわあぁああっ! に、逃げろおおぉっ!」

「え、バルド、こ、これは一体どういうことです!? ちょっと待ってください!」

「お、置いてかないでえぇぇっ!」

 溜まりに溜まった大量のミイラたちに追いかけられ、バルドたちは逃げ惑うことしかできなかった……。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...