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第16話
『『『『『――ウヴァアァァアアァッ!』』』』』
「「「「っ!?」」」」
あれからほどなくして俺たちの前に現れたのは、エンシェントミイラの集団――というより、最早包帯の山だった。
集まりすぎて古代ミイラ同士が縺れ合い、そこに雪だるま式にほかのミイラが巻き込まれて重なり、その結果これ以上ないほどの『モンスターハウス』が完成したんだろう。
「あ、あれを耐えるのは、いくらなんでも無理だ!」
「……む、無理無理……なのです……」
「い、一旦逃げたほうがいいわ!」
「…………」
ルエスたちが一様に青ざめ、及び腰になっている。確かに極めて危険な状況だが、こういう苦境でなんとかしてこそ初めて認めてもらえるはず。
そういうわけで、俺はルエスの代わりにパーティーの先頭に立った。
「ラウル君、何をっ……!?」
「危険なのです、ラウルさん……」
「ちょっ、ラウル、死んじゃうわよ……!?」
「大丈夫だ」
「「「なっ……!?」」」
俺の目の前に光り輝く巨大な門が現れ、エンシェントミイラたちが次々とそこを潜っては消えていく。
「え……なんなんだい、ラウル君、これは……」
「な、なんなのです、ラウルさん……?」
「ど、どういうこと……? ラウル……」
「簡単に説明すると、例の『浄化魔法』を応用したものだ。癒しの光を帯びた門、すなわち天国の門を作り出してあの世をイメージさせることで、連鎖的に効率よく浄化させることが可能になる」
「「「……」」」
みんなまたしても黙り込んでしまった。やはり、まだこの程度じゃダメなのか? まあ、彼らは『神々の申し子』のライバルパーティーだったわけだしな。
ただ、今回でようやく自分の本来の力は出せたと思うし、入団テストが合格になることを願うだけだ……。
古代遺跡ダンジョンでの入団テストが無事終了したってことで、俺たちは見晴らしのいい『聖域の守護者』の宿舎へと帰還したところだった。
「…………」
いよいよこれからリーダーのルエスによって合否を伝えられるわけだが、俺は異様な緊張感に包まれて喉がカラカラになり、項垂れて目を開けることさえできなかった。
頼む……どうにか合格であってくれ……。
ちなみに、あれから俺はダンジョン内で動けずにいた『迷宮の番人』とかいうA級のパーティーを助けたので、それも加味されると信じている。
なんせ、一か所に人が密集しているだけでは瀕死か休憩中かは判断し辛いはずだから、遠く離れた人の表情まで見える俺の『探知魔法』が便利だと思ってくれたらチャンスはあるんじゃないかとみているんだ。
「――こ、この通りだ、ラウル君……!」
な、なんだ? 唐突にルエスが俺の前にひざまずいてきた。
まさか、申し訳ないけど今回は丁重にお断りさせてもらうって言われちゃうんだろうか? ルエスはリーダーなのに偉ぶることもなく人柄がとてもいい感じだし、その線は充分ありうるな……。
「ぜ……是非とも、僕のパーティー『聖域の守護者』の一員になってほしい……!」
「……えっ……?」
俺は一瞬自分の耳を疑った。今、ルエスは確かに一員になってほしいって言ったよな……?
向こうから、それもこんな格好でお願いされるとは……。ただ、喜ぶのはまだ早い。さすがに大袈裟すぎるので、ジョークの可能性も普通にあると思ったんだ。
「こ、こんな俺でいいなら。冗談じゃなけれ――」
「「「――おおぉっ!」」」
「…………」
冗談じゃなければ、と付け加えようとしたところで、ルエスたちの歓声に掻き消されてしまった。もしかして、本気なのか……?
「正直、あんまりアピールできてないって思ってたけど……何が決め手になったのかな?」
「い、いやいや……。ラウル君、よく聞いてほしい。君は自己評価があまりにも低すぎるんだ」
「ですよ。ラウルさん、規格外の凄さなのに……自信がなさすぎなのです……」
「うんうん。あたしもそれ凄く思う。ありえないくらい滅法強いのに、よっぽど前のパーティーに奴隷みたいに都合よく扱われてたんじゃ?」
「…………」
今度は彼らじゃなく、こっちが呆然とする番だった。もしかして俺、認められちゃってる? しかも、結構深いところで。なんか、今にも目のほうから謎の液体が流れてきそうだ……。
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