なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

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第19話

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「な、なんだ貴様は……!?」

「はい? あなたはどこのどなたですかね……?」

「だ、誰なのよ……ぐすっ……」

 異議を唱えてきた一人の青年を前にして、揃って怪訝そうな反応を見せるバルドたちだったが、受付嬢のイザベラだけは違っていた。

「あなたは……確か、時間切れによってクエストを失敗したA級パーティー『迷宮の番人』のリーダーの方でしたか」

「そそ。イザベラさん、俺のこと覚えてくれてて嬉しいよ。俺たちさ、その件で失敗したのはこいつらが溜め込んだ大量の古代ミイラに襲われて、怪我してしばらく動けなかったからなんだ。『聖域の守護者』っていう親切なパーティーに助けてもらったけど」

「は、はあ!? おい貴様っ、どうしようもない雑魚で僕たちが羨ましいからといって出鱈目を吐くな!」

「そうですよ。あなたね、妄想癖でもあるのですか? それとも、何か証拠でもあるのでしょうかね?」

「そうよ……あるなら出しなさいよ、証拠……」

 鼻息を荒くして食ってかかるバルドたちに対し、その男は首を横に振りつつも余裕の表情を見せる。

「残念ながら、その件について明確な証拠はない。けど、あんたらがさっき言ってた変異種がどうのってのいうのは真っ赤な嘘だし、それについてはちゃんとだってある」

「「「なっ……!?」」」

 信じられないといった様子のバルドたちを尻目に、受付嬢のイザベラが男から証拠品を受け取る。

「はて……これはなんなのでございましょう?」

「俺ら『迷宮の番人』がこいつらを尾行してたら、確かに一体のエンシェントマジシャンと戦ってたけど、体力を削り切れずに無様に退散してたよ。そのあと俺らでもすぐに倒せたけど。んで、この証拠品は現場に落ちていたイヤリングさ。やたらと高級品だからか無傷だったんでね。これと同じものを、そこにいる魔術使いがつけてるはず」

「うぇっ……!?」

 素っ頓狂な声を上げて片方の耳を隠すエミル。

「エミルさん、今隠したものを私に提出してください。火傷を負っているとはいえ、それくらいはできますよね?」

「……う、うぅ……」

 エミルがいかにも渋々といった様子でイヤリングをイザベラに渡す。

「なるほど……確かに一致しています。つまり、SS級パーティーの『神々の申し子』はA級パーティーでも倒せる相手を変異種と偽り、さらに古代ミイラを大量に溜め込んでほかのパーティーに迷惑をかけたということでございますね」

「ちょっ、ちょっと待て! さっきから黙って聞いていれば、その見方はいくらなんでも都合がよすぎるというものだろう!」

「はて……。都合がよすぎるとは、むしろあなた方の言い分を表しているように思えますが、一体なんのことでございましょう?」

「いいか、貴様らよく聞けっ! 確かにそのイヤリングは同じ種類のものだが、エミルだけがそれをつけていたという証拠はないし、僕たちが変異種の体力を削ったからこそ雑魚でも倒せたというだけの話だろうがっ!」

「バルドの言う通りです。嫉妬心を抱く気持ちはわかりますが、雲の上にいる私たちを陥れたいがために濡れ衣を着せようとするのはやめてもらえませんかね?」

「ホント……バッカみたい……」

「それなら、何故隠そうとする必要があったのです?」

「「「うっ……」」」

 イザベラの鋭い指摘に対して気まずそうに黙り込むバルドたち。

「さすがイザベラさん、キレッキレだ。てか、本当に変異種ならタフなだけだとは思えない。それに、やたらと雑魚とか嫉妬とか言うけど……正直、なんでこんな嘘つき連中がSS級までいったのか不思議でしかないね」

「こ、こいつ! 雑魚の分際で僕たちがSS級パーティーまで上り詰めた事実さえも否定するつもりか!? おいイザベラ、たかがA級パーティーとSS級パーティー。どっちを信用するべきかはわかるはずだな!?」

「ん-、そうでございますね……。ギルドマスターによれば、議論が起きた場合は注意マークがついてないパーティーのほうを信頼するべきとのことですので、よってあなた方『神々の申し子』はSS級からS級に降格し、さらに続けて虚偽の発言をした罰金として、次回受付の際には銀貨2枚をいただきます」

「「「……」」」

 周囲から拍手と歓声が上がる中、崩れ落ちるように膝をつくバルドたち。

 この町の冒険者ギルドの歴史において、最も不名誉な形でS級パーティーが誕生した瞬間でもあった。
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