なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

文字の大きさ
29 / 78

第29話

しおりを挟む

「「「「――あっ……!」」」」

 それまで虚ろだったバルドたちの表情が、パッと明るくなる。『神々の申し子』パーティーが目指していた山奥の村が遂に見えてきたからだ。

 彼らが無我夢中の様子で走り村の入り口へと到着する頃には、治癒使いのウッド以外、疲労困憊になって地面にへたり込んでいるという有様だった。

「……ぜ、ぜぇ、ぜぇ……。や、やったぞ……。僕たちは、ラウル並みの無能に足を引っ張られても、ここまで辿り着くことができたのだ……」

「……ほ、本当に感慨深い、ですね……。ラウルといいウッドといい、私たちはサポート役に恵まれませんけれど、それだけ地力はあるということでしょう……ふぅ、ふぅ……」

「……はぁ、はぁ……うん、そうだね……。ばっちいラウル二世がいたけど……それでも、こうして着いた……」

「あのー、さっきからおいらに対して文句並べてるの、普通に聞こえてるんだけども……?」

 最早隠す気力もないバルドたちの悪態に対し、心底呆れた表情のウッド。

「ウッド……。よく聞くがいい。クエスト攻略まで堪えようかと思ったが、もう我慢の限界だ。貴様をパーティーから追放する!」

「へっ……?」

「フンッ。ショックだろうが、自業自得だと思え。こうして貴様を追い出すのは、ラウルよりも無能だと判明したからだ。僕たちがこれほど疲れることなんて今までなかったのに、歩くだけでこれだからな……」

「そうですよ。むしろ、私たちの足を引っ張っていたとしか思えませんね。ウッド、あなたはもう用済みですし、その辺の石ころにすぎません。いきなり踏みつけられて悔しいですか?」

「……わかったなら、さっさと消えて、ウッド。邪魔……」

「ん-。別にそれでもいいけど、せめて変異種に勝ってからイキったほうがいいんじゃ? ま、おいらがいたところであんたらじゃ脆弱すぎるし、全力でサポートしても勝てるとは到底思えないけどね~」

「おい、なんだと、おいウッド、もう一度言ってみろ――イダダッ……!?」

 ウッドの胸ぐらを掴もうとして、逆に腕を捻られる格好になるバルド。

「「バルド……!?」」

「イデデッ! こ、こいつ、すげー怪力だ……!」

「はぁ。怪力って……。ちょっと技術があればこれくらいできるって。あんた、パワーばっかりで技術はまったくないのか? こんなやつがS級パーティーのリーダーをやってるなんて、おいらには何かの間違いとしか思えないね。それじゃ、お疲れさん。バイバイッ」

「……チッ! い、今のは不意を突かれただけだ! ウッドのやつめ、無能だから僕たちに捨てられただけなのに、勘違いしすぎというものだろう!」

「「……」」

「お、おい、シェリー、エミル、その疑いの眼差しはなんだ!? さっきのはただのまぐれだろうが!」

「い、いえ、別に。まぐれ、ですよね……」

「……う、うん。まぐれ、だよね……」

「とにかく、僕たちは目的地の村へ着いたのだ、早速ジャイアントレイブンの変異種を探すぞ!」

「「……」」

「おい、シェリー、エミル、どうした!?」

 中々ついてこない二人に対し、業を煮やしたのか怒鳴り声を上げるバルド。

「バルド、そんなことより、何か様子がおかしくないですか?」

「は? 様子だと?」

「周りを見てくださいな」

「…………」

 バルドはいかにも怪訝そうな表情をしつつも、シェリーに言われた通り周囲の様子を窺う。

 すると、変異種が出現したという村であるにもかかわらず、その辺で遊んでいる小さな子供たちの歓声が響き渡り、活気に満ち溢れていた。

「……な、なんだこれは? おいお前ら! 変異種のモンスターがいるのに、外を出歩くな! いくらなんでも危険すぎるだろうが――!」

「――あ、それならもう大丈夫ですよ、冒険者様」

「「「え……?」」」

 近付いてきた一人の女性に声をかけられ、きょとんとした顔になるバルドたち。

「結構前の出来事ですが、『聖域の守護者』というパーティーが来て、ジャイアントレイブンの変異種を倒してくださいましたから!」

「「「……」」」

「あ、あれ? どうかされましたか……?」

 村人の呼びかけに対し、『神々の申し子』パーティーは呆然自失とした様子で、一切の返事をすることはなかった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

処理中です...