なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

文字の大きさ
56 / 78

第56話

しおりを挟む

「……こ、この格好、どうかな……?」

 これから城へ出発するってことで、俺はいつもの地味なローブからまさに正装といった感じの礼服に着替え、ルエスたちに披露したところだった。

「「「……」」」

 みんな珍獣でも見るような目つきでまじまじと見てきて、その視線がなんとも痛い。やはり、凡庸な治癒使いの俺にこんな立派な服は相応しくないよな――

「――いや~、ラウル君、実に格好いいね! 男の僕でも見惚れてしまったほどだよ……!」

「本当ですね……。ラウルさん、とっても素敵です……」

「ラウル、すっごく似合ってるじゃない! 正直、別人かもって思ったくらいだわ!」

「そ、そっか。それならいいんだけど……」

 ルエスたちの配慮ある台詞に対し、俺は頭が下がる思いだった。

 本当はあんまり似合ってないんだろうし普段着のほうがいいんだが、折角みんなでお城へ行くわけだからこういう格好もたまにはいいと思ったんだ。

「…………」

 ん……今、俺の懐の中でゴーレムの卵が動いたような。こりゃ、いよいよ近いうちに孵化しそうだな。ただ、この分だと生まれるのがタイミング的に祝賀会の真っ最中になりそうで不安もあるが――

「「「――じーっ……」」」

「はっ……。ど、どうしたんだ? ルエス、ユリム、カレン、そんなに間近で見つめてきて……」

「ラウル君、また難しい顔しちゃって、何か考え事かい? そんな顔してたら折角の晴れ姿が霞んじゃうよ!」

「そうですよ~……。さあ、ラウルさん、行きますよ……?」 

「さー、ラウル、いざ出発するわよ!」

「ちょっ……!?」

 俺は両腕をユリムとカレンにがっしりと組まれ、さらに背中をルエスに押される格好で足早に宿舎を発つことになってしまった……。



「「「――おおおぉっ……!」」」

 それから自分たちは遂に王城までやってきた。ルエスたちはそのあまりにも壮大かつ華やかな光景に視線を奪われ、しばし我を忘れてしまっている様子。

 今までとはまさに別世界だからその気持ちはよくわかる。個人的には、ここへ来るのは前回災害級モンスターを倒して招待されたとき以来で、これが二回目ということもあって落ち着いてはいる。

 ただ、嬉しさの度合いに関しては前回とは全然違う。正直、城の中はどこを見ても眩しいほど豪華な装飾が施されてるので苦手だが、今日に限ってはまったく気にならないくらい気分がよかった。

 本当の意味で俺を認めてくれた仲間たち――ルエス、ユリム、カレンとともにSS級に昇格し、ここまで来ることができたわけだからな……。

「「「「ラウルッ!」」」」

「あ……」

 名前を呼ばれたと思って振り返ったら、『暗黒の戦士』パーティーのダリアたちがこっちへ駆け寄ってくるところだった。そういや、彼らも大いに貢献してS級まで昇格したことで呼ばれてたんだったな。

 それにしても、みんな一瞬誰なのかわからないほど着飾っていたが、その独特の雰囲気ですぐに彼らだとわかった。

「ダリア、セイン、リシャール、オズ、S級昇格おめでとう」

「「「おめでとー!」」」

「お、おいおーい! SS級パーティー『聖域の守護者』から褒められるとか! しかも、憧れのラウルから直々に……。こんなん、S級になったことより断然嬉しいぜっ!」

「ダリア姉さん、マジ、そうっすよねえ。ラウルさんを見るだけで泣けてきやす! 問題児扱いで散々馬鹿にされてきたあっしらが、遂にここまで来たのかって思うと……」

「……そうだね、セイン。ラウルのおかげだけど、まさか自分らがここまで来るなんて今でも信じられない……」

「……め、目から謎の液体が出そうじゃわい……っていうかダリアよ、お前はラウル先生と結婚するべきじゃっ!」

「あ、オズ、それ最高っすねえ。ダリア姉さんを攻略できる人外の条件にピッタリ合致――」

「――こいつら! 照れることを言うなっ!」

「「イダァッ……!?」」

「……というか、そんなの決めるな、勝手に……」

「「ひいぃっ……!?」」

 頭を抱えるセインとオズが、顔を真っ赤にしたダリアとリシャールを前に戦々恐々な様子。相変わらず彼女たちもお世辞が上手だなあ……って、ルエスたちがあんまり喋らないと思ったら、まだ緊張が解れないらしく青い顔でキョロキョロしていた。

 そういうのが軽減する支援魔法をかけてもいいが、一度バフに慣れてしまうと耐性がつきにくくなる恐れもあるからな。

「――やあ、そこにいるのはラウルじゃないか」

「あ、どうも」

 なんとも気さくな感じで声をかけてきたのは、これまた俺のよく知っている人物だった。

「ラ、ラウル君はさすが、知り合いが多いね。この人は誰なんだい……?」

「ど、どこかの貴族さんですか……?」

「ラ、ラウルの知り合いだし、高名な冒険者とか?」

「ああ。彼はこの国の王様だよ」

「「「えええぇーっ!?」」」

 誰もがこちらに振り向くほどの、ルエスたちの大声が響き渡った。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...