なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

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第58話

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「貴様ら、どけ! よく見るがいい! この通り、僕たちは丸腰だ。逃げも隠れもしないっ!」

「そうです! 私たちは命を懸け、王様に大事なことを訴えに来たのです!」

「……そこ、どいて。邪魔ー……」

「…………」

 彼らは紛れもなく、俺がかつて所属していた『神々の申し子』パーティーのバルド、シェリー、エミルの三人だった。

 あいつら、ここに呼ばれてもいないのに、王様に一体何を訴えに来たっていうんだ……?

 この奇天烈な行動には、俺のすぐ近くからも驚きの声が上がっていた。

「あ、あれは、ラウル君を追放した『神々の申し子』のバルドたちじゃないか。A級まで落ちぶれたって聞いてたのに、なんでここに……?」

「で、ですよね……。ここへは招待されてないはずですけど……」

「い、一体どういう風の吹き回しなわけ……?」

「…………」

 因縁のあるルエスたちが揃って首を傾げるのも無理はない。あのパーティーに在籍していた俺でさえも、彼らがなんでこんな騒ぎを起こしてるのかまったく理解できないわけだからな……。

「ん、彼らは確か、ラウルが元々いたパーティーではないか」

 王様が意外そうに言葉を続けた。

「彼らについては、ラウルを追放して以降良い噂をまったく聞かなくなったが、一体彼らに何があったというのだ……?」

 さすが王様。昔から冒険者に憧れ、たまにお忍びでギルドを見学しにきているだけあってパーティー事情に明るい。

「さあ。王様、それは自分にもさっぱりわかりませんね。なんせバルドたちにはこっぴどく追放されちゃったんで」

「あ……すまぬ、ラウル。お主にしてみたら、追放したやつらのことなど知りたくもないのは当然であったな。実に不愉快な思いをさせてしまって申し訳ない……」

「いえいえ、全然問題ないです」

 彼らについては細かい事情をまったく知らないだけで、恨みの感情どころか既にトラウマでさえこれっぽっちもないしな。

「王様ぁっ! どうか僕たちの話をお聞きくださいっ!」

「聞いてくださいな!」

「……聞いて――」

「「「「「――黙れっ!」」」」」

 ある程度まで近付いてきたところで、バルドたちが兵士に囲まれてとうとう身動きができなくなった。こっちには王様がいるわけで、この辺になると近衛兵もいるからこれ以上は進めないはずだ。

「ラウルよ、どうする? お主を追放した不埒な者たちゆえ、即座に追い出してもよいのだぞ?」

「いえ、話くらいは聞いてもいいんじゃないですか」

「おぉ、さすがはラウル、器が大きい。実は余も、やつらが何を言い出すのか聞きたいと思っておったのだ!」

「…………」

 やっぱり、冒険者の話に関しては好奇心旺盛な王様の手前、すぐに帰らせるのは悪手だと感じた。それをやってしまうと王様の心証を損なうだけでなく、狡賢いバルドたちがそこを突いてくる恐れだってある。

「兵士たちよ、その者たちの拘束を一時解き、こちらへ連れて参れ!」

「「「「「ははあっ!」」」」」

 バルドらが一部の兵士たちに連れられて俺たちの前に出てきたかと思うと、強制的にひざまずかされる。さて、一体どんなことを話すつもりなのやら……。


「確か……お主たちはそれぞれ、両手剣使いのバルド、片手剣使いのシェリー、魔術使いのエミルだったか。『神々の申し子』パーティーについて、余は今回招待したつもりはないが、一体どういう了見だというのだ……?」

「は、ははあっ。お、王様……ご無礼をお許しください。まず僕が言いたいのは、自分たちは愚かにも見る目がなく、優秀なラウルを追放してしまい、凋落を招いたということでして……」

「…………」

 な、なんだと。あのバルドが本心ではないにしてもこんなことを言うとは、俄かには信じられない……。

「ほうほう。そりゃそうだろう。ラウルほど有能な治癒使いなどおらん。それは余がよく存じておる」

 そうだった。王様もお世辞が凄く上手なんだ。

「ぐぐっ……。も、申し訳ありません……。ですが、僕たちはあれから猛省し、ラウルを是非『神々の申し子』パーティーに戻したいという所存でして……」

「「「「「ザワッ……」」」」」

 バルドの台詞が劇薬のようになり、その場が加速度的にどよめく。

 おいおい……今更俺を呼び戻すって、この男は本気で言ってるのか? さすがに悪い冗談としか思えないが……。
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