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第三章 魔法学園

聖女の手記が理解不能です

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「会わせてやりたいって気持ちもあるけどさ、自分で始めたことに責任を取って欲しいっていうか…
あっ、あったあった。」

のんちゃんが開いてくれたページを読んでみる。

【お姉さんがやっと幼い私に出会う前自分がどこにいたかどんな生活をしていたか話してくれた。(ちなみに魔力のことはまだ話してくれない。まだ信じてもらえてない悲しい。)
違う世界からこの地に引き込まれた。
そんなことができるのはあの竜しかいない。時空を操る彼がお姉さんを引き寄せたの?】


【神様二人を(一人と一竜?)一緒に別空間に移動させるようになんて言ってたっけ?
もしかして最近お声が聞こえないのって私がお姉さんも一緒に移動しなかったから?もしかして怒っていらっしゃる?どうしよう。でも私の力じゃ竜を移動させるだけで精一杯だったからお姉さんも一緒になんて……
もしかして移動することに同意したのにやたら魔力の抵抗が強かったのってそういうこと?】

【正解が見えない。神様教えてください。】

【あぁ、お姉さんに話した方がいいのかな、竜は封印じゃなくて休息させるために移動させたって。目覚めるには何百年も待ち続けなければいけないって。】

【今日も言えなかった。】

【明日こそ!】

【明日…こそ!】

「………」

何百年の時を隔てて私は聖女に自分と通じるものを感じていた。
のんちゃんの生暖かい眼差しから同じようなことを考えているのがうかがえる。

「なんか、親近感は湧くけど聖女様のイメージが…」

「まぁね、聖女として引っ張り出される前は普通の村娘だったわけだし。」

その後もおよそ伝説の聖女らしくない個人的な悩みや愚痴が書かれていて勝手に読むのが気まずくなり私はパタンと手記を閉じてのんちゃんに返した。

「わざわざ貴重なものを見せてくれたのに申し訳ないけど…私にはさっぱり内容がわからないよ。」

「彼女の背景を知らないと確かに理解ができないよね」

のんちゃんは苦笑いを浮かべてから自分が集めた情報を話してくれた。

のんちゃんによると聖女はスリジェ辺境伯領と魔法学園があるここ、イシェラ王国に挟まれた今は魔の森の一部になっている場所にあった小さな村の村長の娘だったそうだ。

その村は昔は希少な植物や鉱物に恵まれその採取法も村民たちしか知らず小さいながらも豊かに暮らしていたらしい。
しかし、一人の村民が金品に目が眩み秘密をもらしてしまった。

外部の人間は見境なく密猟を繰り返し村はあっという間に荒れ果てた。
荒れた地には誰も関心を示さない。秘密をもらした村民はとうに姿をくらまし、他の土地からの助けもなく村人たちはただただ貧しい日々を過ごすことになる。

自分たちの手に余る事態に彼らは最も力のあるものに助けを求めることにした。

それが森の奥に住む異形の主だった。

もともと、森の恵みを受け取って生活していた村人たちは定期的に異形の主に供物を捧げていた。その年に出来た最上の作物や手製の品を供え祭りを開き感謝を捧げる。しかし、長雨や疫病などが起きたときには生け贄を差し出す風習があり、この時も生け贄を差し出すこととなった。

村の秘密が漏れたのは長の管理不足のせいだとして生け贄に選ばれたのが村長の娘だった後の聖女だ。
しかし彼女に魔力の才があることを知っていた村人たちは困惑していた。
村に魔力を持つ者は他に一人もいない。しかし自分たちの家族を差し出すこともできない。
そこに突如現れたのが聖女のいう【お姉さん】だ。
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