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第1章 発端
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通りの中程に目的の店を見つけた。
赤煉瓦造りの、どことなくノスタルジーを感じさせる気品のある店構えだった。
瞬時に、この店なら絶対美味しいに違いないと思った。
食事に関して私の勘は外れたことがない。だが――。
「まずは味見と参りましょうか」
面接予定の時間よりも早く出てきたのはこのためだ。
ムフフと緩む口元を引き締め重厚な木製のドアを開ける。
チリーン。
涼やかなドアベルの音が耳に届く――と同時に「いらっしゃいませ」の声が私を出迎えた。
店内に一歩足を踏み入れ、思わず私は目を細める。明るかったのだ。眩しいくらいに。
外観から、オレンジ色のライトが灯った薄暗いアダルトな雰囲気を予想していたのだが……大外れだった。何というか、どこか懐かしい温かで優しい雰囲気の店だった。
高い天井を見上げると青い空が見える。なるほどと思う。ガラス張りだ。だから明るいのかと思った。立ち尽くす私にウエイター君が声をかけた。
――可愛い顔をした執事?
燕尾服のような上下黒の制服に赤い蝶ネクタイと胸ポケットの赤いチーフが……とてもお洒落だ。
「ご予約のお客様ですね?」
この店はディナーは勿論のこと、ランチも予約を入れないと入店できない。
「あっ、はい。聖天です。聖天寧々です」
思わずフルネームで名乗ってしまったが、ウエイター君は柔らかく微笑んだだけで、「お待ちしておりました。聖天様、お席にご案内致します」と自分の仕事をしっかり遂行する。十分従業員教育がなされている証だろう。
彼に案内され奥に進む。そして、さらに驚いた。すれ違うウエイター君やウエイトレスさんの容姿にだ。
すっかり情報を見落としていたようだ。ここはイケメンレストラン? はたまた、美女の館? 顔面偏差値が半端なく高かったのだ。
赤煉瓦造りの、どことなくノスタルジーを感じさせる気品のある店構えだった。
瞬時に、この店なら絶対美味しいに違いないと思った。
食事に関して私の勘は外れたことがない。だが――。
「まずは味見と参りましょうか」
面接予定の時間よりも早く出てきたのはこのためだ。
ムフフと緩む口元を引き締め重厚な木製のドアを開ける。
チリーン。
涼やかなドアベルの音が耳に届く――と同時に「いらっしゃいませ」の声が私を出迎えた。
店内に一歩足を踏み入れ、思わず私は目を細める。明るかったのだ。眩しいくらいに。
外観から、オレンジ色のライトが灯った薄暗いアダルトな雰囲気を予想していたのだが……大外れだった。何というか、どこか懐かしい温かで優しい雰囲気の店だった。
高い天井を見上げると青い空が見える。なるほどと思う。ガラス張りだ。だから明るいのかと思った。立ち尽くす私にウエイター君が声をかけた。
――可愛い顔をした執事?
燕尾服のような上下黒の制服に赤い蝶ネクタイと胸ポケットの赤いチーフが……とてもお洒落だ。
「ご予約のお客様ですね?」
この店はディナーは勿論のこと、ランチも予約を入れないと入店できない。
「あっ、はい。聖天です。聖天寧々です」
思わずフルネームで名乗ってしまったが、ウエイター君は柔らかく微笑んだだけで、「お待ちしておりました。聖天様、お席にご案内致します」と自分の仕事をしっかり遂行する。十分従業員教育がなされている証だろう。
彼に案内され奥に進む。そして、さらに驚いた。すれ違うウエイター君やウエイトレスさんの容姿にだ。
すっかり情報を見落としていたようだ。ここはイケメンレストラン? はたまた、美女の館? 顔面偏差値が半端なく高かったのだ。
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