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第1章 発端
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「……全くなんて失礼な小娘だ!」
無銭飲食未遂男こと詐欺師が、私を苛立った声で罵倒する。
だが、私はこういうことに慣れていた。過去、こんな場面に幾度も相対していたからだ。だから、どんなに酷い言葉で罵られても全くダメージを受けない。
「まぁまぁ、落ち着いて下さい」
そして、こういう場面での反論は、得策ではないということも知っていた。
黙ったままの私の代わりに、フロアマネージャーだという女性が男性を必死に宥めている。
今、私がいるのはスタッフルームというところだ。
『あの人、無銭飲食しようとしています!』と言った直後、飛んできたスタッフに連れて来られたのだ。
しかし、なんてお洒落なスタッフルームなのだろう。過去、何度か目にしたきたそれらとはかけ離れていた。
壁紙は淡い花柄模様。一つある大きな窓には洒落たレースのカーテンがかかり――まるで、居心地のいいダイニングルームといったところだ。
スタッフルームと知らしめているのは、中央に置かれた白いテーブルだけだ。それは十数人座れるほど大きなテーブルだった。
それを挟み、向かい合った詐欺師が私を睨んでいた。さらに雛席にはあの西園寺綾時オーナーまで――彼はテーブルに肘を付き、両手を軽く組み、口元を隠すようにしながらずっと無言で成り行きを見守っていた。
「それで、貴女はなぜこの方が無銭飲食をしようとしていると思ったのですか?」
代わりに、西園寺オーナーの後ろに控えるマネージャーさんが話を進めていく。しかし、こんな状況にもかかわらず、彼女の私への応対は至極丁寧だった。私をまだ客だと思っていてくれているようだ。
「それは……この人が詐欺師だからです」
男性がギョッと顔を歪めた。だが、それはほんの一瞬だった。きっと私以外誰も気付かなかっただろう。
「私のどこが詐欺師だと言うんだ! 証拠でもあるのか?」
男性は動揺を隠すように声を張り上げた。
「……全くなんて失礼な小娘だ!」
無銭飲食未遂男こと詐欺師が、私を苛立った声で罵倒する。
だが、私はこういうことに慣れていた。過去、こんな場面に幾度も相対していたからだ。だから、どんなに酷い言葉で罵られても全くダメージを受けない。
「まぁまぁ、落ち着いて下さい」
そして、こういう場面での反論は、得策ではないということも知っていた。
黙ったままの私の代わりに、フロアマネージャーだという女性が男性を必死に宥めている。
今、私がいるのはスタッフルームというところだ。
『あの人、無銭飲食しようとしています!』と言った直後、飛んできたスタッフに連れて来られたのだ。
しかし、なんてお洒落なスタッフルームなのだろう。過去、何度か目にしたきたそれらとはかけ離れていた。
壁紙は淡い花柄模様。一つある大きな窓には洒落たレースのカーテンがかかり――まるで、居心地のいいダイニングルームといったところだ。
スタッフルームと知らしめているのは、中央に置かれた白いテーブルだけだ。それは十数人座れるほど大きなテーブルだった。
それを挟み、向かい合った詐欺師が私を睨んでいた。さらに雛席にはあの西園寺綾時オーナーまで――彼はテーブルに肘を付き、両手を軽く組み、口元を隠すようにしながらずっと無言で成り行きを見守っていた。
「それで、貴女はなぜこの方が無銭飲食をしようとしていると思ったのですか?」
代わりに、西園寺オーナーの後ろに控えるマネージャーさんが話を進めていく。しかし、こんな状況にもかかわらず、彼女の私への応対は至極丁寧だった。私をまだ客だと思っていてくれているようだ。
「それは……この人が詐欺師だからです」
男性がギョッと顔を歪めた。だが、それはほんの一瞬だった。きっと私以外誰も気付かなかっただろう。
「私のどこが詐欺師だと言うんだ! 証拠でもあるのか?」
男性は動揺を隠すように声を張り上げた。
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