美食倶楽部クーラウ ～秘密は甘い罠～

第１章 発端

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「ただし」と私を睨み付けるように見る。

「本来はスカウトした者以外、正社員になるまで三ヶ月の研修期間を設けている。約束だからお前はスカウト待遇で研修なしだ。だが、役立たずと判断したら、即クビだ」

クビのところで手の甲を上にして、左から右に、首を真一文字に切った。そして、「分かったな！」と念を押すとニヤリと笑った。

そう言えば……正社員で働かせてくれ、とは言ったが、期間は言っていなかった。一日でも正社員として雇ってもらったら、約束は守られたことになる。

――詰めが甘かった。

ちょっと反省して、でも、と思う。正社員として雇ってもらえれば、こっちのものだ。頑張ればいいだけだ。

「了解しました。精進致します！」

力強く返事をすると、「めげない奴だな」と初めて彼が微笑みを浮かべた。

ドキリとする魅惑の笑み。思わず見惚れていると、「ところで」と言いながら西園寺オーナーが立ち上がった。そして、ソファーセットの方に移動すると、「お前も座れ」と対面するソファーを指した。

素直に応じ腰を下ろすと、西園寺オーナーの鋭い視線が私をジッと見つめる。
何を言われるのか、と緊張からゴクリと唾を飲み込むと――。

「あの男がなぜ詐欺師だと知っていた」

前置きなしに彼が問うた。