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第3章 事件、事件、事件
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突然佐藤君が核心に触れてきた。
「確かに、私も聞きたい。吹き出しとは何だ」
威圧的に物申す西園寺オーナーの隣で、珍しく樫野チーフも「僕も教えて欲しいな」と言った。
昨日の敵は今日の友ではないが、六つの目が仲良く私を見つめる。その目が揃って『早く言え』と催促しているように思えた。
私は溜息を一つ吐くと、「信じる信じないは別として――」と前置きをしてから事情を説明した。
「――それってやっぱり超能力じゃないのかな?」
話を聞き終わるとまず佐藤君が口を開いた。嬉々としているのは気のせいではないと思うが、彼は全面的に私の話を信じている風だった。
「――お前、それを信じろと言うのか?」
だが、腕を組んで険しい顔をしている西園寺オーナーは疑心暗鬼だった。
「もしかしたら……あの時の詐欺師の時も……?」
「はい。あの無銭飲食の常習犯の頭の上にも視えたんです」
「なるほどねぇ」
樫野チーフは謎は解けたとばかりにポンと手を打ち「スッキリした」と言って微笑んだ。信じてくれたのだろうか? よく分からない人だ。
「それで? 僕の思い出の食べ物って何?」
佐藤君が興味津々の目で私を見る。西園寺オーナーと樫野チーフも耳をそばだて私を凝視する。あまりの居心地悪さから、早く抜け出そうと私は早口で言った。
「香味油ですよね? ラーメン屋さんだったお父さんの」
佐藤君の顔が見る間に強張っていくのが分かった。
「確かに、私も聞きたい。吹き出しとは何だ」
威圧的に物申す西園寺オーナーの隣で、珍しく樫野チーフも「僕も教えて欲しいな」と言った。
昨日の敵は今日の友ではないが、六つの目が仲良く私を見つめる。その目が揃って『早く言え』と催促しているように思えた。
私は溜息を一つ吐くと、「信じる信じないは別として――」と前置きをしてから事情を説明した。
「――それってやっぱり超能力じゃないのかな?」
話を聞き終わるとまず佐藤君が口を開いた。嬉々としているのは気のせいではないと思うが、彼は全面的に私の話を信じている風だった。
「――お前、それを信じろと言うのか?」
だが、腕を組んで険しい顔をしている西園寺オーナーは疑心暗鬼だった。
「もしかしたら……あの時の詐欺師の時も……?」
「はい。あの無銭飲食の常習犯の頭の上にも視えたんです」
「なるほどねぇ」
樫野チーフは謎は解けたとばかりにポンと手を打ち「スッキリした」と言って微笑んだ。信じてくれたのだろうか? よく分からない人だ。
「それで? 僕の思い出の食べ物って何?」
佐藤君が興味津々の目で私を見る。西園寺オーナーと樫野チーフも耳をそばだて私を凝視する。あまりの居心地悪さから、早く抜け出そうと私は早口で言った。
「香味油ですよね? ラーメン屋さんだったお父さんの」
佐藤君の顔が見る間に強張っていくのが分かった。
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