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第3章 事件、事件、事件
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「――誰にも話したことないのに……」
佐藤君の呟きに、樫野チーフは「香味油ってサーモン料理に使ったあれね」と頷き、「お父さんも災難だったね」と同情の意を表しながら佐藤君の肩に手を置いた。
だが、佐藤君はその手を払い除けると馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
「親父はアホ-だったんだよ。職人気質で頭が固すぎた。だから潰されたんだ!」
「それはどういうこと?」
樫野チーフが訊ねると、佐藤君は鼻で笑って吐き捨てるように言った。
「言葉どおりですよ。大した金でもないのに相手の要求を突っぱねて、老舗の意地? そんなもののために店を潰したんですよ」
「それは、お前のような覆面調査員やゲテモノ好きみたいな奴に金を払わなかったから、と言いたいのか?」
淡々とした様子で西園寺オーナーが訊ねる。
「それって……本部の方から『気を付けるように』と通達のあった似非評価のこと? 『良い評価が欲しかったら金を出せ!』っていう」
「そうだ。『出さないと低評価や悪い噂を立てる』というあれだ」
樫野チーフが「なんてこと!」と眉を顰めた。
「その覆面調査員を束ねているのが、佐藤君の勤めている探偵社なんです」
「――そうか、それも視えていたんだな」
そう言う佐藤君の顔が、なぜだろう? 嬉しそうに見えた。
佐藤君の呟きに、樫野チーフは「香味油ってサーモン料理に使ったあれね」と頷き、「お父さんも災難だったね」と同情の意を表しながら佐藤君の肩に手を置いた。
だが、佐藤君はその手を払い除けると馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
「親父はアホ-だったんだよ。職人気質で頭が固すぎた。だから潰されたんだ!」
「それはどういうこと?」
樫野チーフが訊ねると、佐藤君は鼻で笑って吐き捨てるように言った。
「言葉どおりですよ。大した金でもないのに相手の要求を突っぱねて、老舗の意地? そんなもののために店を潰したんですよ」
「それは、お前のような覆面調査員やゲテモノ好きみたいな奴に金を払わなかったから、と言いたいのか?」
淡々とした様子で西園寺オーナーが訊ねる。
「それって……本部の方から『気を付けるように』と通達のあった似非評価のこと? 『良い評価が欲しかったら金を出せ!』っていう」
「そうだ。『出さないと低評価や悪い噂を立てる』というあれだ」
樫野チーフが「なんてこと!」と眉を顰めた。
「その覆面調査員を束ねているのが、佐藤君の勤めている探偵社なんです」
「――そうか、それも視えていたんだな」
そう言う佐藤君の顔が、なぜだろう? 嬉しそうに見えた。
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