88 / 170
第4章 美しい女性
14
しおりを挟む
「仕方がない。行くぞ!」
「どこへですか? まだ約束の時間には早いのでは?」
夏乃お嬢様が一緒のファミリーディナーだから開始は十八時だ。そして、ホテルはここから約二十分の所にある。今から出たら相当時間を持て余す。
「服を買いに行く」
「もしかしたら……私のですか?」
ギョッとして西園寺オーナーに訊ねる。
「まさか、ラブコメを王道で行くおつもりではないですよね?」
「王道が何かは知らないが、心配するな。プレゼントではない」
ニヤリと笑って「立て替えてやるだけだ。後でお前の給料から差し引いておく」と言った。
「なっ、なんとご無体な! 貴方、鬼ですか」
「お前は施しが嫌いみたいだからな。だったら自腹を切るしかないだろう?」
お金に困っているわけではないが……これから購入する服を今後どこに着ていけばいいというのだ? タンスの肥やしになるのは目に見えている。
しかし……と思い直す。これも正式な正社員として認められるため。仕方がない必要経費にしようと腹を括り、「了解しました」と言って西園寺オーナーの後に続きクーラウを出る。向かった先は地下駐車場だ。
「――お前は私の上司か?」
後部席に乗ろうとする私に西園寺オーナーがムッとした声で訊く。
「あっ、では……私が運転しましょうか?」
こう見えて私は普通免許保持者だ。
「最後に運転したのは?」
「そうですねぇ……かれこれ二年ほど前でしょうか?」
両親が存命だった頃は父の車をよく運転していた。その車はもうない。
「どこへですか? まだ約束の時間には早いのでは?」
夏乃お嬢様が一緒のファミリーディナーだから開始は十八時だ。そして、ホテルはここから約二十分の所にある。今から出たら相当時間を持て余す。
「服を買いに行く」
「もしかしたら……私のですか?」
ギョッとして西園寺オーナーに訊ねる。
「まさか、ラブコメを王道で行くおつもりではないですよね?」
「王道が何かは知らないが、心配するな。プレゼントではない」
ニヤリと笑って「立て替えてやるだけだ。後でお前の給料から差し引いておく」と言った。
「なっ、なんとご無体な! 貴方、鬼ですか」
「お前は施しが嫌いみたいだからな。だったら自腹を切るしかないだろう?」
お金に困っているわけではないが……これから購入する服を今後どこに着ていけばいいというのだ? タンスの肥やしになるのは目に見えている。
しかし……と思い直す。これも正式な正社員として認められるため。仕方がない必要経費にしようと腹を括り、「了解しました」と言って西園寺オーナーの後に続きクーラウを出る。向かった先は地下駐車場だ。
「――お前は私の上司か?」
後部席に乗ろうとする私に西園寺オーナーがムッとした声で訊く。
「あっ、では……私が運転しましょうか?」
こう見えて私は普通免許保持者だ。
「最後に運転したのは?」
「そうですねぇ……かれこれ二年ほど前でしょうか?」
両親が存命だった頃は父の車をよく運転していた。その車はもうない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる