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第6章 再就職
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「あの綾時が曖昧な態度を取っているのよ。絶対にそう! 寧々ちゃんを辞めさせる気なんて、これっぽっちもないってこと」
小指の先を親指で擦り『これっぽっち』をジェスチャーで示す。
それを見ながら、心の中で『ない、ない!』と左右に手を振る。
「お聞きになったのなら、私が自ら辞めたのではなくクビになったこと、ご存じですよね?」
「ええ、聞いたわ。だからなの! 綾時が神乃マネージャーに報告しないって、有り得ないの」
従業員の事務的な手続きは神乃マネージャーの仕事だそうだ。
「だから寧々ちゃん、貴女はまだ正式にクーラウを辞めさせられたわけじゃないってこと」
――どうして?
あの時の西園寺オーナーは燎原の火のごとく、私を焼き尽くさんばかりに怒っていた。だからあの場でクビを言い渡された。私から言わせるとあれは理不尽な選択だった。
――それが間違いだったとでも思ったのだろうか? いや、それは有り得ない。あの西園寺オーナーだ。黒い物でも白と言いそうな人だ。
――だったら、なぜ?
もやもやと疑問が浮かんでは消える。しかし、答えらしきものは全く浮かばなかった。
「寧々ちゃんも知ってのとおり、綾時ってああいう奴だから、自分から『戻ってこい』なんて言葉、口が裂けても言えないんだよね」
スイッチが切り替わったように樫野チーフの口調が変わった。
だからかもしれない。私の背筋もピンと伸びる。
小指の先を親指で擦り『これっぽっち』をジェスチャーで示す。
それを見ながら、心の中で『ない、ない!』と左右に手を振る。
「お聞きになったのなら、私が自ら辞めたのではなくクビになったこと、ご存じですよね?」
「ええ、聞いたわ。だからなの! 綾時が神乃マネージャーに報告しないって、有り得ないの」
従業員の事務的な手続きは神乃マネージャーの仕事だそうだ。
「だから寧々ちゃん、貴女はまだ正式にクーラウを辞めさせられたわけじゃないってこと」
――どうして?
あの時の西園寺オーナーは燎原の火のごとく、私を焼き尽くさんばかりに怒っていた。だからあの場でクビを言い渡された。私から言わせるとあれは理不尽な選択だった。
――それが間違いだったとでも思ったのだろうか? いや、それは有り得ない。あの西園寺オーナーだ。黒い物でも白と言いそうな人だ。
――だったら、なぜ?
もやもやと疑問が浮かんでは消える。しかし、答えらしきものは全く浮かばなかった。
「寧々ちゃんも知ってのとおり、綾時ってああいう奴だから、自分から『戻ってこい』なんて言葉、口が裂けても言えないんだよね」
スイッチが切り替わったように樫野チーフの口調が変わった。
だからかもしれない。私の背筋もピンと伸びる。
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