美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

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エピローグ

02

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長い足が簡易な椅子からはみ出ているように見えて、笑える。

呑気にそんなことを思っていると、周り皆が『さっさと戻ってもらえ』と口パクで指示する。

だから、「社長室でお待ち頂いた方が……」よろしいのでは、と言おうとしたのだが、「早く作れ!」と言葉を遮られ、おまけに睨まれて敢え無く撃沈。

――あれ以来、西園寺オーナーは何かあるとおむすびをオーダーする。もしかしたら、このためだけに私を呼び戻したのではないだろうかと思うほどだ。

だったら婚約者の件は白紙に戻してくれたら良かったのに、と思ったのだが、大々的にスクープされたのでそうもいかないらしい。現状のままキープみたいだ。全く、迷惑な話だ。

おまけに、過去の実績から吹き出しが店のために役立つと考えた西園寺オーナーは、何かことが起こるたびに私に『解決しろ』と言い出した。

『そんなメチャクチャなぁ』と抗議したら、『再就職させてやった恩に報いろ』と偉そうに命令する。こんなことなら戻らない方が良かったかも……と思う今日この頃だ。

「寧々、早く作って、ちゃっちゃと出て行ってもらって」

悲哀のこもったマミさんの囁きが耳元で聞こえる。彼女の目前に彼が踏ん反り返っているからだと思う。

仕方なく席を立ち厨房に向かうと、そこに樫野チーフと白戸さんがいた。どうやらディナーの打ち合わせをしているようだ。その二人が私の登場にフッと口元を綻ばせた。

「また、おむすび? やっぱり思った通り、寧々ちゃんのおむすびを求めていたんだね」

どうやら樫野チーフは全てお見通しだったようだ。
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