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転章
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黄金の稲穂が垂れる、美しい村の風景があった。
武州多摩郡城後村。古河友次郎は稲刈りの様子を眺めながら、自邸への道を一人歩いていた。
村は戸数八軒、総勢で五十名ほどの小さな村だ。忙しそうに立ち働いているのは、女の姿が多い。男衆は友次郎が差配する、別の仕事に従事している。
久し振りの帰宅だった。それまでは野州に行って、一つ二つ用事を片付けてきたばかりだった。
しかし、休めるのは僅かな間で、二日後には江戸に行かねばならない。そう思っただけで、友次郎の心は重くなった。
仕事が嫌いというわけではない。忙しいのもいい。ただ、江戸という場所が嫌いなのだ。あんな人間の欲と愛憎が入り混じった穢れた都には、〔あのお方〕の命令でもなければ足を踏み入れたくはない。
田舎が好きだった。幼い時から、父と各地を旅した。苦難の連続だったが、美しい風景は、今でも忘れる事が出来ない。
方々から名前を呼ばれ、呼び止められる。その度に、友次郎は笑顔を振りまいた。古河友次郎という名は偽りだが、最近では本名のように反応出来るようになった。最初は慣れずに、無視してしまう事がしばしばあったのだ。
それにしても、まるで庄屋のように親しまれている。それも無理はない。友次郎は、この村に富をもたらす存在であるからだ。一応は用心棒という事になっているが、勿論それは表の顔に過ぎない。そして、それは村の百姓たちも承知している。
村の外れにある百姓家が見えて来た。屋敷というほど大きくは無いが、見すぼらしい襤褸家でもない。本当はもっと良い屋敷に住める財力はあるが、それでは役人に素性を怪しまれてしまう。それに、奢侈は好みではない。
屋敷の庭先で、女中の野枝に出迎えられた。元々は武家の出で、手下の妻だった。それが寡婦になったので、二年前に身の回りの世話をしてもらう為に雇い入れたのだ。物静かで、つつましい女。それいて美貌でもある。友次郎は、彼女の色白で、豊満な身体に夢中だった。
「大杉様がお越しに」
野枝が告げえると、友次郎は小さく頷いた。
土間で足を濯いで客間に行くと、大杉延廉が座して待っていた。
「相変わらず、山伏姿が似合うな」
そう言うと、大杉は白い歯を見せた。大杉は友次郎にとって唯一友と呼べる存在であり、信頼出来る仕事仲間だ。今は友次郎の代わりに手下を率いる事もある。
普段は武士の恰好をしているが、最近ではもっぱら山伏だ。
「武士よりも、山伏の方が本業になりそうだよ」
今年三十七になる友次郎は、日々の鍛錬で二十代に見える若さと美貌を保っているが、大杉は年相応、いやそれ以上の風格がある。確か四十手前だが、頭の半分は白かった。
「酒を用意しよう」
「友さん、悪いね。是非、貰おうか」
友次郎は手を叩くと、野枝を呼んだ。すぐに酒肴が用意される。肴は豆腐と鯵を開いて焼いたものだった。
「どうだい、調子は? 野州で暴れたって小耳に挟んだよ」
「ああ。小間物問屋をな」
「誰と組んだんだい?」
猪口を口に運びながら、大杉が訊く。
「笹子の一味だ。聞いた事ぐらいあるだろ」
「おお、笹子かい。まだ一度もお目に掛かっちゃいないが、凄腕だって聞いているよ」
「次も一緒にやるよ。江戸で」
笹子の一味とは、笹子の鎌太郎の事だ。殺しも厭わない、〔畜生働き〕で有名な盗賊で、友次郎とは三年前から組んで仕事をしている。
「ほう、江戸かい。大胆だねぇ」
「下谷の方で、善いところがあってな。勿論これも〔あのお方〕の指示なんだが、分け前は太い」
細かい手順は友次郎が決めるが、何処を襲うかというのは〔あのお方〕から指示が来るのだ。
「〔あのお方〕ねぇ」
と、大杉が冷笑を浮かべる。大杉も〔あのお方〕に心服してはいるが、それと同時にどこか斜に構えて見ている節がある。だからこそ、友次郎は片腕と頼んでもいる。
「で、今回もアレはしたのかい?」
「勿論だ。その為に出張っているようなものだからな」
「それで、今回は?」
「やったよ。盗みは連中に任せて、私はそっちをね。誰もやりたがらんし、やらせたくもない」
「ほう、そいつは」
大杉が豆腐を口に放り込み、酒で流し込んだ。そして聞き入るように、喜色を浮かべた眼を向ける。
友次郎は、一部始終を話してやると大杉は時折笑いながら聞き入っていた。
「友さん、最高じゃないか。そいつは見たかった」
「相変わらずだな、お前は。まぁ、私が言える立場ではないがな」
「この稼業をやっていると、頭のどこかおかしくなるものさ」
そう言って、大杉が酒を一気に飲み干した。
「今度の押し込みでも、やろうかと思ってね。あそこにも、アレがいる」
「江戸の奴らは、さぞ驚くだろうよ」
堪らないという風に、大杉は首を振り猪口を口に運んだ。
「さて、本題と行こうか」
「ああ」
友次郎は、手酌で猪口に酒を満たした。
酒は好きだが、大杉ほどは飲めない。よく大杉に合わせて酔い過ぎる事があるので注意が必要だった。
「真中谷が殺られたよ」
「何?」
真中谷は、友次郎の手下の一人だった。腕が立つので、必要な時に呼び出していたのだ。普段は浪人仲間と徒党を組んでいた。もっとましな生活が出来るほどの銭は渡していたが、本人はそうした生活を改めようとはしなかった。
「会津か?」
真中谷は元々会津藩士で、遺恨を抱えて出奔した仇持ちだった。いつ殺されても不思議ではない身の上ではある。
しかし大杉は、ゆっくり首を横にした。
「逸撰隊だよ。どうやら目を付けられていたらしいねぇ。あいつ、追い剥ぎのような真似もしていたし」
「逸撰隊か……」
友次郎は、猪口を呷ると深い溜息を吐いた。
松平武元と田沼意次が設立した、武装捜査部隊。極端な能力主義で、力量さえあれば身分どころか性別も問わないらしい。
武元が死んでからは、意次の私兵という特色が強くなり、費用は全て意次への賄賂で賄っているという話だった。
「手下は捕縛されたというが、その辺は大丈夫かい?」
友次郎はゆっくりと頭を振った。
「使っていたのは、真中谷だけだ。手下どもは何も知らぬよ」
「ならいいのだけどね」
「しかし、逸撰隊は邪魔だな。時々視界に入ってくる」
「しかも、殺ったのは、あの毘藍婆って噂だ」
「毘藍婆?」
訊き返すと、大杉が身を前のめりにした。
「明楽紅子だよ。友さんが殺った明楽伝十郎の嫁さんだ」
友次郎は、猪口を置いて右手をこめかみにやった。
古い記憶を辿る。人間は数多く殺したので、一々覚えていない。しかし、明楽伝十郎は別だ。あの男は、御庭番だった。厳しい尋問で、自白させるのにひと月を要したのでよく覚えている。
「いたな、そんな奴」
「その毘藍婆は復讐に燃えているらしい。せいぜい気を付ける事さな」
「お互いに」
その日は、大杉と夜を明かして飲んだ。
翌日、目を覚めると大杉の姿は消えていた。今日は一日寝て過ごそうと思ったが、昨日聞いた逸撰隊の話を思い出し、友次郎は庭で木剣を振る事にした。若さと強さを保つ為には、日々の鍛錬が欠かせない。
昨夜の酒気を払うように振っていると、背後に気配を感じた。
(野枝ではないな)
殺気でもなければ、敵意でもない。しかし、確かな圧力を覚える。
振り向きざまに木剣を横薙ぎをすると、影は跳躍して、友次郎の前で平伏した。
百姓の恰好をした、使者だった。
「黙って背後に立つとは趣味が悪いな」
「〔あのお方〕からの伝言でございます」
使者は会話をする気が無いのか、すぐに本題に入った。
それは、次の仕事だった。今回は中々手が込んだものだ。それにしても人使いが荒いものだ。下谷での仕事が終わらないうちに、次の仕事を言いつけるとは。
「お返事は?」
使者が訊いた。
「承った。と、伝えてくれ」
武州多摩郡城後村。古河友次郎は稲刈りの様子を眺めながら、自邸への道を一人歩いていた。
村は戸数八軒、総勢で五十名ほどの小さな村だ。忙しそうに立ち働いているのは、女の姿が多い。男衆は友次郎が差配する、別の仕事に従事している。
久し振りの帰宅だった。それまでは野州に行って、一つ二つ用事を片付けてきたばかりだった。
しかし、休めるのは僅かな間で、二日後には江戸に行かねばならない。そう思っただけで、友次郎の心は重くなった。
仕事が嫌いというわけではない。忙しいのもいい。ただ、江戸という場所が嫌いなのだ。あんな人間の欲と愛憎が入り混じった穢れた都には、〔あのお方〕の命令でもなければ足を踏み入れたくはない。
田舎が好きだった。幼い時から、父と各地を旅した。苦難の連続だったが、美しい風景は、今でも忘れる事が出来ない。
方々から名前を呼ばれ、呼び止められる。その度に、友次郎は笑顔を振りまいた。古河友次郎という名は偽りだが、最近では本名のように反応出来るようになった。最初は慣れずに、無視してしまう事がしばしばあったのだ。
それにしても、まるで庄屋のように親しまれている。それも無理はない。友次郎は、この村に富をもたらす存在であるからだ。一応は用心棒という事になっているが、勿論それは表の顔に過ぎない。そして、それは村の百姓たちも承知している。
村の外れにある百姓家が見えて来た。屋敷というほど大きくは無いが、見すぼらしい襤褸家でもない。本当はもっと良い屋敷に住める財力はあるが、それでは役人に素性を怪しまれてしまう。それに、奢侈は好みではない。
屋敷の庭先で、女中の野枝に出迎えられた。元々は武家の出で、手下の妻だった。それが寡婦になったので、二年前に身の回りの世話をしてもらう為に雇い入れたのだ。物静かで、つつましい女。それいて美貌でもある。友次郎は、彼女の色白で、豊満な身体に夢中だった。
「大杉様がお越しに」
野枝が告げえると、友次郎は小さく頷いた。
土間で足を濯いで客間に行くと、大杉延廉が座して待っていた。
「相変わらず、山伏姿が似合うな」
そう言うと、大杉は白い歯を見せた。大杉は友次郎にとって唯一友と呼べる存在であり、信頼出来る仕事仲間だ。今は友次郎の代わりに手下を率いる事もある。
普段は武士の恰好をしているが、最近ではもっぱら山伏だ。
「武士よりも、山伏の方が本業になりそうだよ」
今年三十七になる友次郎は、日々の鍛錬で二十代に見える若さと美貌を保っているが、大杉は年相応、いやそれ以上の風格がある。確か四十手前だが、頭の半分は白かった。
「酒を用意しよう」
「友さん、悪いね。是非、貰おうか」
友次郎は手を叩くと、野枝を呼んだ。すぐに酒肴が用意される。肴は豆腐と鯵を開いて焼いたものだった。
「どうだい、調子は? 野州で暴れたって小耳に挟んだよ」
「ああ。小間物問屋をな」
「誰と組んだんだい?」
猪口を口に運びながら、大杉が訊く。
「笹子の一味だ。聞いた事ぐらいあるだろ」
「おお、笹子かい。まだ一度もお目に掛かっちゃいないが、凄腕だって聞いているよ」
「次も一緒にやるよ。江戸で」
笹子の一味とは、笹子の鎌太郎の事だ。殺しも厭わない、〔畜生働き〕で有名な盗賊で、友次郎とは三年前から組んで仕事をしている。
「ほう、江戸かい。大胆だねぇ」
「下谷の方で、善いところがあってな。勿論これも〔あのお方〕の指示なんだが、分け前は太い」
細かい手順は友次郎が決めるが、何処を襲うかというのは〔あのお方〕から指示が来るのだ。
「〔あのお方〕ねぇ」
と、大杉が冷笑を浮かべる。大杉も〔あのお方〕に心服してはいるが、それと同時にどこか斜に構えて見ている節がある。だからこそ、友次郎は片腕と頼んでもいる。
「で、今回もアレはしたのかい?」
「勿論だ。その為に出張っているようなものだからな」
「それで、今回は?」
「やったよ。盗みは連中に任せて、私はそっちをね。誰もやりたがらんし、やらせたくもない」
「ほう、そいつは」
大杉が豆腐を口に放り込み、酒で流し込んだ。そして聞き入るように、喜色を浮かべた眼を向ける。
友次郎は、一部始終を話してやると大杉は時折笑いながら聞き入っていた。
「友さん、最高じゃないか。そいつは見たかった」
「相変わらずだな、お前は。まぁ、私が言える立場ではないがな」
「この稼業をやっていると、頭のどこかおかしくなるものさ」
そう言って、大杉が酒を一気に飲み干した。
「今度の押し込みでも、やろうかと思ってね。あそこにも、アレがいる」
「江戸の奴らは、さぞ驚くだろうよ」
堪らないという風に、大杉は首を振り猪口を口に運んだ。
「さて、本題と行こうか」
「ああ」
友次郎は、手酌で猪口に酒を満たした。
酒は好きだが、大杉ほどは飲めない。よく大杉に合わせて酔い過ぎる事があるので注意が必要だった。
「真中谷が殺られたよ」
「何?」
真中谷は、友次郎の手下の一人だった。腕が立つので、必要な時に呼び出していたのだ。普段は浪人仲間と徒党を組んでいた。もっとましな生活が出来るほどの銭は渡していたが、本人はそうした生活を改めようとはしなかった。
「会津か?」
真中谷は元々会津藩士で、遺恨を抱えて出奔した仇持ちだった。いつ殺されても不思議ではない身の上ではある。
しかし大杉は、ゆっくり首を横にした。
「逸撰隊だよ。どうやら目を付けられていたらしいねぇ。あいつ、追い剥ぎのような真似もしていたし」
「逸撰隊か……」
友次郎は、猪口を呷ると深い溜息を吐いた。
松平武元と田沼意次が設立した、武装捜査部隊。極端な能力主義で、力量さえあれば身分どころか性別も問わないらしい。
武元が死んでからは、意次の私兵という特色が強くなり、費用は全て意次への賄賂で賄っているという話だった。
「手下は捕縛されたというが、その辺は大丈夫かい?」
友次郎はゆっくりと頭を振った。
「使っていたのは、真中谷だけだ。手下どもは何も知らぬよ」
「ならいいのだけどね」
「しかし、逸撰隊は邪魔だな。時々視界に入ってくる」
「しかも、殺ったのは、あの毘藍婆って噂だ」
「毘藍婆?」
訊き返すと、大杉が身を前のめりにした。
「明楽紅子だよ。友さんが殺った明楽伝十郎の嫁さんだ」
友次郎は、猪口を置いて右手をこめかみにやった。
古い記憶を辿る。人間は数多く殺したので、一々覚えていない。しかし、明楽伝十郎は別だ。あの男は、御庭番だった。厳しい尋問で、自白させるのにひと月を要したのでよく覚えている。
「いたな、そんな奴」
「その毘藍婆は復讐に燃えているらしい。せいぜい気を付ける事さな」
「お互いに」
その日は、大杉と夜を明かして飲んだ。
翌日、目を覚めると大杉の姿は消えていた。今日は一日寝て過ごそうと思ったが、昨日聞いた逸撰隊の話を思い出し、友次郎は庭で木剣を振る事にした。若さと強さを保つ為には、日々の鍛錬が欠かせない。
昨夜の酒気を払うように振っていると、背後に気配を感じた。
(野枝ではないな)
殺気でもなければ、敵意でもない。しかし、確かな圧力を覚える。
振り向きざまに木剣を横薙ぎをすると、影は跳躍して、友次郎の前で平伏した。
百姓の恰好をした、使者だった。
「黙って背後に立つとは趣味が悪いな」
「〔あのお方〕からの伝言でございます」
使者は会話をする気が無いのか、すぐに本題に入った。
それは、次の仕事だった。今回は中々手が込んだものだ。それにしても人使いが荒いものだ。下谷での仕事が終わらないうちに、次の仕事を言いつけるとは。
「お返事は?」
使者が訊いた。
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