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【癒しの雫】の活躍(防衛)(2)
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相当の魔獣であるとの事から何時も以上に力が必要になると判断しており、秘蔵の武具を持たせる事にしていたミハイル。
得手不得手がある以上、向かう人に適した武具を選定する必要がある。
「そうですね……一応状況を確認しておきたいので、私と……って、大丈夫ですよ。私の護衛にはラトールちゃんに来ていただく予定ですから!」
ギルドマスターのシアが現場に行くと言い出した瞬間に、メンバーの視線が厳しくなったのを察知したので、慌てて対応策を披露する。
「……じゃあ全く問題ないですね。ラトール、マスターをしっかり守ってくれよ!」
ラトールの強さを知っているクオウは、その一言で安心してシアの提言を受け入れた。
他の人族の面々は実際にラトールの強さを見たわけではないのだが、クオウやフレナブルがここまで信用しているので、否が応でも信じるしかなかった。
「それで、今回は広範囲にわたって旬滅する必要があるので、アルフレドさんは向かないと思います。万が一の打ち漏らしが此方に来た場合の対応をお願いします。出撃するのは魔術で攻撃できるカスミさんとフレナブルさん……でいかがでしょうか?」
自分の判断が正しいのかどうか少しだけ不安そうにクオウを見るシア。
「マスター、とても良く考えていると思います。広範囲旬滅であれば魔術の方が早いですからね」
「じゃあ決まりね。フレナブルさん、頑張りましょ!!」
「フフ、よろしくお願いしますね、カスミさん」
「よっしゃ。そんじゃあ、二人にはこいつを渡しておく。マスターの護衛のラトールには……何もいらねーよな?クオウの旦那」
「問題ないですね」
こうしてミハイルは、自信作の二つを今回出撃するフレナブルとカスミに渡す。
「うわ~、二つとも奇麗!!」
思わずシアが言ってしまう通り、この武具を創った鍛冶三人組自身でさえ見惚れるほどの出来栄えだ。
一つは金と銀が互いに高め合うように螺旋状に絡み合っている杖。
もう一つは、漆黒の中に黄金の龍が装飾されている棒だ。
「こいつはフレナブルさん。こいつはカスミだ」
杖をカスミ、棒をフレナブルに渡す。
「これは二人の特性に合わせて作った物だ。そもそも二人の魔力以外には反応しねーから、無いとは思うが、誰かに奪われても脅威にはならねー。安心してくれ。そんでな、こいつらのスゲー所はよ……」
「ミハイルさん、急いでいるので詳しくは後日で良いですか?」
ミハイルとロレアル、バーミルと言った鍛冶三人組の目に炎が灯ったのを感じたシアが、慌ててこの場を切る。
このままでは、魔獣対応そっちのけでこの魔道具の話を続けかねないと判断したのだ。
「っと、そうだったな。すまねー、マスター。まっ、一度試作品を使った事があるから、ある程度は分かるだろ?フレナブルさんが持ってきてくれた有りえねー素材を使っているからな。性能は保証するぜ!」
少々バツが悪そうに頬を描きながらこの場を〆るミハイル。
「じゃあ早速行ってきますね。ラスカさん、この依頼、【癒しの雫】が完遂しますのでご安心ください!」
そのままフレナブル、カスミ、シア、そしてラトールは門に向かう。
本来であれば死地に赴くような場面であり、このようにあっさりと行動する事は出来ないのだが、【癒しの雫】の残りのメンバーはこの後も普段通りに活動を始める。
「クオウの旦那、俺達は町の人達が不安だろうから、例の依頼を受けて来るぜ!」
「じゃあ、俺もそうしよう!」
ミハイル達三人組と、それに乗る様にシルバもギルドを後にする。
例の依頼とは、ギルドの評価にならない直接町の人から受ける依頼で、ある意味雑用だ。
逆に言うと直接町人と接しながら仕事ができるので、安心して貰えると考えていた。
「じゃあ俺達は、ギルドの雑務だな」
「わかりました、クオウ様」
残ったのは、事務職のクオウとペトロ、アルフレド、眷属のリアントだ。
ギルドを空にするわけにはいかず、受付業務が一人必要。
そして、その間に受けた依頼をこなせる人員が必要になるので、アルフレドとペトロもここに残ったのだ。
程なくして耳の速い冒険者達から民に情報が流れ、未だかつてない魔獣の襲来と聞いて怯え始める人が出たのだが、ミハイル達が【癒しの雫】の精鋭が対応しているので絶対に大丈夫だと直接言い聞かせ、その自信満々な表情と態度から徐々に不安が消えていく。
こうして城下町でのパニックもなく、一部不安は燻ったままではあるのだが、時間は過ぎていく。
得手不得手がある以上、向かう人に適した武具を選定する必要がある。
「そうですね……一応状況を確認しておきたいので、私と……って、大丈夫ですよ。私の護衛にはラトールちゃんに来ていただく予定ですから!」
ギルドマスターのシアが現場に行くと言い出した瞬間に、メンバーの視線が厳しくなったのを察知したので、慌てて対応策を披露する。
「……じゃあ全く問題ないですね。ラトール、マスターをしっかり守ってくれよ!」
ラトールの強さを知っているクオウは、その一言で安心してシアの提言を受け入れた。
他の人族の面々は実際にラトールの強さを見たわけではないのだが、クオウやフレナブルがここまで信用しているので、否が応でも信じるしかなかった。
「それで、今回は広範囲にわたって旬滅する必要があるので、アルフレドさんは向かないと思います。万が一の打ち漏らしが此方に来た場合の対応をお願いします。出撃するのは魔術で攻撃できるカスミさんとフレナブルさん……でいかがでしょうか?」
自分の判断が正しいのかどうか少しだけ不安そうにクオウを見るシア。
「マスター、とても良く考えていると思います。広範囲旬滅であれば魔術の方が早いですからね」
「じゃあ決まりね。フレナブルさん、頑張りましょ!!」
「フフ、よろしくお願いしますね、カスミさん」
「よっしゃ。そんじゃあ、二人にはこいつを渡しておく。マスターの護衛のラトールには……何もいらねーよな?クオウの旦那」
「問題ないですね」
こうしてミハイルは、自信作の二つを今回出撃するフレナブルとカスミに渡す。
「うわ~、二つとも奇麗!!」
思わずシアが言ってしまう通り、この武具を創った鍛冶三人組自身でさえ見惚れるほどの出来栄えだ。
一つは金と銀が互いに高め合うように螺旋状に絡み合っている杖。
もう一つは、漆黒の中に黄金の龍が装飾されている棒だ。
「こいつはフレナブルさん。こいつはカスミだ」
杖をカスミ、棒をフレナブルに渡す。
「これは二人の特性に合わせて作った物だ。そもそも二人の魔力以外には反応しねーから、無いとは思うが、誰かに奪われても脅威にはならねー。安心してくれ。そんでな、こいつらのスゲー所はよ……」
「ミハイルさん、急いでいるので詳しくは後日で良いですか?」
ミハイルとロレアル、バーミルと言った鍛冶三人組の目に炎が灯ったのを感じたシアが、慌ててこの場を切る。
このままでは、魔獣対応そっちのけでこの魔道具の話を続けかねないと判断したのだ。
「っと、そうだったな。すまねー、マスター。まっ、一度試作品を使った事があるから、ある程度は分かるだろ?フレナブルさんが持ってきてくれた有りえねー素材を使っているからな。性能は保証するぜ!」
少々バツが悪そうに頬を描きながらこの場を〆るミハイル。
「じゃあ早速行ってきますね。ラスカさん、この依頼、【癒しの雫】が完遂しますのでご安心ください!」
そのままフレナブル、カスミ、シア、そしてラトールは門に向かう。
本来であれば死地に赴くような場面であり、このようにあっさりと行動する事は出来ないのだが、【癒しの雫】の残りのメンバーはこの後も普段通りに活動を始める。
「クオウの旦那、俺達は町の人達が不安だろうから、例の依頼を受けて来るぜ!」
「じゃあ、俺もそうしよう!」
ミハイル達三人組と、それに乗る様にシルバもギルドを後にする。
例の依頼とは、ギルドの評価にならない直接町の人から受ける依頼で、ある意味雑用だ。
逆に言うと直接町人と接しながら仕事ができるので、安心して貰えると考えていた。
「じゃあ俺達は、ギルドの雑務だな」
「わかりました、クオウ様」
残ったのは、事務職のクオウとペトロ、アルフレド、眷属のリアントだ。
ギルドを空にするわけにはいかず、受付業務が一人必要。
そして、その間に受けた依頼をこなせる人員が必要になるので、アルフレドとペトロもここに残ったのだ。
程なくして耳の速い冒険者達から民に情報が流れ、未だかつてない魔獣の襲来と聞いて怯え始める人が出たのだが、ミハイル達が【癒しの雫】の精鋭が対応しているので絶対に大丈夫だと直接言い聞かせ、その自信満々な表情と態度から徐々に不安が消えていく。
こうして城下町でのパニックもなく、一部不安は燻ったままではあるのだが、時間は過ぎていく。
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