『朝の祈り ―Have A Wonderful Time―』
独り暮らしの中村は、毎朝「Have A Wonderful Time」と刻まれた真空マグカップでカフェオーレを飲む日課を持っている。このマグカップは、3年前に会社の上司である佐伯麻衣子から、誕生日プレゼントのお返しとしてもらった大切な品だ。
既婚者で二児の母である佐伯への秘めた想いを抱える中村。彼が彼女の誕生日に贈ったルビーのペンダントへのお返しとして、彼女は中村が毎朝コーヒーを飲む習慣を覚えていて、この真空マグカップを選んでくれた。
昨年、佐伯は本社への異動が決まり、送別会の日に中村のデスクを訪れ、マグカップの使用を確認する。その後も中村は社内報で彼女の活躍を追い続けている。
マグカップは中村にとって、叶わない恋心の象徴であり、同時に前を向いて生きていく勇気を与えてくれる存在となっている。毎朝の儀式のように、このマグカップでカフェオーレを飲みながら、佐伯の幸せを願い、自分の想いを静かに受け入れている。
届かない愛を知りながらも、その想いを大切に持ち続けることで、人生の豊かさを見出していく―それが、この物語の本質である。
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