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58:ヒーロー側【軽食は全種頼みます】と連動
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お店へとつくと、個室へと通される。この店は、そういう店ではあるけれど、私は利用した事がない。貴族の子女としてより、一般人向けのお店に行く方が気が楽というか。だから、知ってはいたけれど利用した事がないから、少し物珍しく感じる。
個室へと入れば、いつの間について来ていたのか、男性が一人。馬車内で言っていた、結界を張るという人なのか、魔術を使ったらしい。
「これで防音も覗き見防止も完璧ですが…別の意味で心配になります」
「それはほら、信頼していただくしかないのでは」
ラクシュ様がそういって困ったように笑うけれど…今更ながらに、ここ、ラクシュ様の人員しかいない…わね。一応、レイの他に、デボラがいるけど…身の危険を感じたほうがいいのかも…
でも、にこにことほほ笑んでいるラクシュ様の顔に、毒気を抜かれる。
「まずは、お茶を頼みますが…何か召し上がれます?」
メニューとして、サンドイッチやディップ、クレープ生地で肉や野菜を巻いた物、キッシュもある。
「ディップやサンドイッチなら」
と、言えば、何故か全種頼むという。…なんでメニューを見せながら聞いた。
「せっかくなので、どういったものが出るか気になりますし。こいつらもいますのでね」
と、ラクシュ様は周りにいる、レイやデボラはもちろん、付き人に結界を張った人をぐるりと指で示す。
「それでもまだ入るのであれば、後程ティーセットも頼みましょう。ここの菓子がどんなものか楽しみです」
そう言って笑うけれど…あれ。この人、戦闘してきたのでは…食欲あるものなのかしら…と、茫然としてしまう。というか…いつもと変わらないわね…
「その、先ほどの…犯人を捕まえて来たのですよね?」
「そうですね。お前、注文してきなさい」
「お茶はどうされます?」
「任せます。そうですね、捕まえましたね」
ラクシュ様は、話しながらも付き人に注文を頼む。本当にマイペースよね…と、思っていると、なんてことないかの様に話すけれど…
「食欲、ございますの?」
「ありますよ。ああ、あれくらいで食欲なくなるほど柔ではございませんので」
あれくらい、と言われても…気を失っていたというか寝ていたから、ラクシュ様がなにをどうしたのかさっぱり分からないのだけれど。
「今更ですが、お怪我は」
「ございませんよ。私は逃げる襲撃犯を追うだけでしたので」
追うだけ、といっても…こう、捕まえる時に抵抗とかされたら怪我したりとかもあるとは思うけれど。
「ただ、門の兵には、私が分からなかったらしくて、グランシュネル公爵様にはご迷惑おかけしてしまうかもしれませんね」
「あ。それは、申し訳ございません」
婚約が調ってから、まだ日数が経っていないし、妹の結婚の事もあって、まだ発表をしてないのよ。街に入る時に検問したりするけれど、兵の皆がその顔を見るとは限らないし。
「私もうっかりしてまして。急な事とは言え、王都から出る事がないもので…このマントだけでもつけておけば良かったんですが」
「マント、ですか?」
「ええ。ここに、ほら…王家の紋章と、ルーヴェリア様の紋章が描かれてますので」
そう言って…結界を張った人に、お見せしてとマントを渡している。私はテーブルを挟んで正面に座っているからね…紋章が出る様にたたまれたそれを見せられて…本当に、王家と第二王子様の紋章が綺麗に刺繍されていた。同じ色の糸だから、余り目立ったものではないのは、どうしてなのかしら。目立たせた方が良さそうなのに。
そうそう、王家の紋章は、勝手に使う事は許されていないのよ。だから、許可なくその紋章を持つという事は、極刑にされる可能性もある物。私が確認すると、ラクシュ様に戻され、着けられたマントだけれど。そういえば…首に近いほうに、第二王子様の紋章で、裾に近いほうに、王家の紋章なのよね…王家の紋章が下にあっていいのかしら…
「この紋章の位置は…」
位置によってどうこう、というモノはないけれど、なんとなく…感覚的な物で、聞いてしまう。すると、ラクシュ様はふわりといい笑顔で笑う。
「私、王家よりルーヴェリア様を優先してもいいと、許していただいてますので」
ちょっと、それ、ものすんごい爆弾発言じゃない!?
個室へと入れば、いつの間について来ていたのか、男性が一人。馬車内で言っていた、結界を張るという人なのか、魔術を使ったらしい。
「これで防音も覗き見防止も完璧ですが…別の意味で心配になります」
「それはほら、信頼していただくしかないのでは」
ラクシュ様がそういって困ったように笑うけれど…今更ながらに、ここ、ラクシュ様の人員しかいない…わね。一応、レイの他に、デボラがいるけど…身の危険を感じたほうがいいのかも…
でも、にこにことほほ笑んでいるラクシュ様の顔に、毒気を抜かれる。
「まずは、お茶を頼みますが…何か召し上がれます?」
メニューとして、サンドイッチやディップ、クレープ生地で肉や野菜を巻いた物、キッシュもある。
「ディップやサンドイッチなら」
と、言えば、何故か全種頼むという。…なんでメニューを見せながら聞いた。
「せっかくなので、どういったものが出るか気になりますし。こいつらもいますのでね」
と、ラクシュ様は周りにいる、レイやデボラはもちろん、付き人に結界を張った人をぐるりと指で示す。
「それでもまだ入るのであれば、後程ティーセットも頼みましょう。ここの菓子がどんなものか楽しみです」
そう言って笑うけれど…あれ。この人、戦闘してきたのでは…食欲あるものなのかしら…と、茫然としてしまう。というか…いつもと変わらないわね…
「その、先ほどの…犯人を捕まえて来たのですよね?」
「そうですね。お前、注文してきなさい」
「お茶はどうされます?」
「任せます。そうですね、捕まえましたね」
ラクシュ様は、話しながらも付き人に注文を頼む。本当にマイペースよね…と、思っていると、なんてことないかの様に話すけれど…
「食欲、ございますの?」
「ありますよ。ああ、あれくらいで食欲なくなるほど柔ではございませんので」
あれくらい、と言われても…気を失っていたというか寝ていたから、ラクシュ様がなにをどうしたのかさっぱり分からないのだけれど。
「今更ですが、お怪我は」
「ございませんよ。私は逃げる襲撃犯を追うだけでしたので」
追うだけ、といっても…こう、捕まえる時に抵抗とかされたら怪我したりとかもあるとは思うけれど。
「ただ、門の兵には、私が分からなかったらしくて、グランシュネル公爵様にはご迷惑おかけしてしまうかもしれませんね」
「あ。それは、申し訳ございません」
婚約が調ってから、まだ日数が経っていないし、妹の結婚の事もあって、まだ発表をしてないのよ。街に入る時に検問したりするけれど、兵の皆がその顔を見るとは限らないし。
「私もうっかりしてまして。急な事とは言え、王都から出る事がないもので…このマントだけでもつけておけば良かったんですが」
「マント、ですか?」
「ええ。ここに、ほら…王家の紋章と、ルーヴェリア様の紋章が描かれてますので」
そう言って…結界を張った人に、お見せしてとマントを渡している。私はテーブルを挟んで正面に座っているからね…紋章が出る様にたたまれたそれを見せられて…本当に、王家と第二王子様の紋章が綺麗に刺繍されていた。同じ色の糸だから、余り目立ったものではないのは、どうしてなのかしら。目立たせた方が良さそうなのに。
そうそう、王家の紋章は、勝手に使う事は許されていないのよ。だから、許可なくその紋章を持つという事は、極刑にされる可能性もある物。私が確認すると、ラクシュ様に戻され、着けられたマントだけれど。そういえば…首に近いほうに、第二王子様の紋章で、裾に近いほうに、王家の紋章なのよね…王家の紋章が下にあっていいのかしら…
「この紋章の位置は…」
位置によってどうこう、というモノはないけれど、なんとなく…感覚的な物で、聞いてしまう。すると、ラクシュ様はふわりといい笑顔で笑う。
「私、王家よりルーヴェリア様を優先してもいいと、許していただいてますので」
ちょっと、それ、ものすんごい爆弾発言じゃない!?
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