Rain -拗らせた恋の行く末は…-

真田晃

文字の大きさ
69 / 107
第三章 虚ろいの秋雨

冷えた手

しおりを挟む
闇の中に浮かぶ、鋭く尖った瞳。
答えられずにいれば、空いた手で僕の顎先を抓み上げ、凄んだ顔を寄せる。

「……あれは、どういう事だ」
「………」
「お前、さっきの野郎に、抱きついてたよな……?」

静かに、だけど腹の底から沸き上がる感情を必死で抑えている様子で、僕に詰め寄る。

「慌てて店を出て行くお前に声掛けても……お前、俺に全然気付かねぇで。
外に出てみりゃあ、さっきの野郎と見つめ合って、いい雰囲気になってるしよ」
「──!」

……え……
今井くん、あの時まだ、店の中に……?
真っ白になる頭の中で、店を飛び出した時の光景を必死に思い出そうとする。

「あの野郎に抱かれて、心まで奪われたか?」
「……」
「俺と付き合ってる間──一緒にいる時も、セックスしてる時も、殆ど上の空だったのは………あの野郎を想ってたって事だよな……」
「……」

顎にあった指先が、滑るようにして下へと移動する。そして、僕の喉を掴むようにして、頸動脈に指が掛かった。


「お前………大空が好きだったんじゃなかかったのかよ!!」


言うか言わないかのうちに、指先が首筋に食い込む。
ドクドクと、激しく脈動する音が耳奥で響き、じりじりと頭が痺れていく。

……違う……
そう言いたいのに、怖くて。
身体が硬直し、息もまともにできず……今井くんを真っ直ぐ見つめたまま、小さく頭を横に振る。

だけど、例え喋れる状況だったとしても……どう伝えた所で、樹さんを好きなのには変わりなくて。
今井くんを苛つかせてしまったのは、確かだから……

「………」

目を合わせたまま……僕の首を掴む今井くんの手に、おずおずと触れる。
武骨で、大きな手──
指先が痺れて、余り感覚はないけど……その手の甲は冷たくて、微かに震えてるような気がした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

六年目の恋、もう一度手をつなぐ

高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。 順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。 「もう、おればっかりが好きなんやろか?」 馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。 そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。 嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き…… 「そっちがその気なら、もういい!」 堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……? 倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡

サラリーマン二人、酔いどれ同伴

BL
久しぶりの飲み会! 楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。 「……え、やった?」 「やりましたね」 「あれ、俺は受け?攻め?」 「受けでしたね」 絶望する佐万里! しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ! こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

先輩のことが好きなのに、

未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。 何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?   切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。 《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。 要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。 陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。 夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。 5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。

今日は少し、遠回りして帰ろう【完】

新羽梅衣
BL
「どうしようもない」 そんな言葉がお似合いの、この感情。 捨ててしまいたいと何度も思って、 結局それができずに、 大事にだいじにしまいこんでいる。 だからどうかせめて、バレないで。 君さえも、気づかないでいてほしい。 ・ ・ 真面目で先生からも頼りにされている枢木一織は、学校一の問題児・三枝頼と同じクラスになる。正反対すぎて関わることなんてないと思っていた一織だったが、何かにつけて頼は一織のことを構ってきて……。 愛が重たい美形×少しひねくれ者のクラス委員長、青春ラブストーリー。

僕のために、忘れていて

ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

君に二度、恋をした。

春夜夢
BL
十年前、初恋の幼なじみ・堂本遥は、何も告げずに春翔の前から突然姿を消した。 あれ以来、恋をすることもなく、淡々と生きてきた春翔。 ――もう二度と会うこともないと思っていたのに。 大手広告代理店で働く春翔の前に、遥は今度は“役員”として現れる。 変わらぬ笑顔。けれど、彼の瞳は、かつてよりずっと強く、熱を帯びていた。 「逃がさないよ、春翔。今度こそ、お前の全部を手に入れるまで」 初恋、すれ違い、再会、そして執着。 “好き”だけでは乗り越えられなかった過去を乗り越えて、ふたりは本当の恋に辿り着けるのか―― すれ違い×再会×俺様攻め 十年越しに交錯する、切なくも甘い溺愛ラブストーリー、開幕。

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
家族にも見捨てられ、学校で孤独を感じていた静。 毎日が辛くて生きる意味を失いかけた彼の前に現れたのは、眩しい太陽のような青年天輝玲。 玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 しかしある日、玲の口から聞いたある言葉で、信頼から憎悪へと変わった。 それから十年。 玲と再会を果たした静は復讐を果たそうとする。

処理中です...