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6・依頼人②一ノ瀬涼

キスマーク

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「ケントさん、すみません~、俺補習受けなきゃいけないみたいです」

翌日の土曜日、担任から電話があった。
出てみると、12月に行った期末試験を受けてないのと2週間以上休んだということで、赤点組と補習を受けろということだった。(どうやら特待生の規定に触れるらしく、温情的措置とのこと)

「そうか、期間は?」

「終業式の日から、4日間だそうです。えーと、27日金曜までか」

「残念。じゃあ金曜迎えに行ってやるよ」

「ありがとうございます」

俺は、素直にケントさんの提案を受けれるようになった。それがどんなに心を楽にしたことか。


「……甘えれるって、幸せですね」


俺はケントさんの横に座って、彼に寄りかかった。手の平を温めるマグカップも、あの家では味わえなかった感覚だった。小さなことが、身に沁みた。

ケントさんは肩をさすり、頭にキスをしてくれた。



俺は口角がゆるんだ。




ああ、幸せだ。



「やっぱ、我慢できないから触っていい?」





━━━━これさえなければ!!





「もー、ケントさんっ!  昨日、自粛してくれるって言いましたよねっ」

ケントさんは俺に覆い被さろうとしてきたので、俺は慌ててマグカップをテーブルに置く。

「だってお前かわいいこと言うんだもん」


こめかみ、頬、耳、、、ついばむようにキスをし、首筋を強く吸った。

「っちょ、ちょっと待って」

「あ、ついちゃったわ」

「もー!!」

「お前サッカーやってるくせに色白いよなぁ。赤いの目立って、もっとエロい首になった」

「!!」


「もっとつけていい?」

「ダメですよ!  お風呂共同なんだから!」

「はあー、お前にいくらキスしても足りない」

そう言って、ケントさんはトレーナーをまくりあげてきた。

「っやだって!!  前も」


ピクッと、ケントさんが反応した。


しまった。

「……前も?」


「ま、前ケントさんが首絞めた時も大変だったんデスカラー」

とっさに言ってみたものの、無駄だった。


「嘘バレバレ。『前につけられたとき』のこと話して」

「や、やだ」

「言え」


ケントさんは馬乗りになり、俺の手首を力強くソファに押し付けた。

「言わないなら、気を失うまで犯す」

「ケ、ケントさん、脅さないでくださいっ」

「ダメ。言え」

「わ、わかりましたっ……でも、ひかないでくださいね」

「ん?  ん」
なんでキスマークごときの艶事でひくことがある?と不思議そうな顔をした。やがて、俺が過去に少し濁したことを思い出したようだ。

「ああ、年上の彼女がいたのかと思ったが、寮の先輩だな」

そう。

「そうです」

喜多嶋先輩だ。

「俺が最初に同室になった、先輩です」

「先輩と、やったってこと?」

「うう……ケントさん、お願い。手を離して」

クッションに顔をうずめないと、恥ずかしくて話せない。こんなにばっちり視線を合わせて話せるような内容じゃないんだ。

ケントさんはよっこらしょ、と俺の横に寝転んだ。くっつかないと狭いので、ケントさんは俺の背中にしがみついた。

「ほら、これで顔見えないから話せるだろ」










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