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6・依頼人②一ノ瀬涼
森内くんにもバレる
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翌日の12月24日。
咲月学園の終業式だ。
午後からは、赤点組と共に補習が行われた。特進科からは俺の他に数名で、数学以外は普通科と合同に行われた。
「森内くん」
窓際に、森内くんが座っていた。
声をかけると、軽く手を挙げ、優しく微笑んだ。
「隣いい?」
「いいよ、ここ座って。なあ、オレ先生の解説わからないから、あまねくんに補助的に教えて欲しい」
「いいよ、二宮先生って言葉足らずだよね」
森内玲央くんは、監禁された後3ヶ月近く休んでしまい、出席日数が危ういため、留年を免れるためにこの補習に参加しているらしい。俺と同じく温情的措置だ。
机をピタリとくっつけ、いっしょに化学の授業を受ける。
二宮先生は板書していき、「うん、うん」と自分だけ納得して次々書いていく。
相変わらず自己中心的な先生だ。生徒は誰もついていけていないのに。
「あまねくん、今のなんでこうなるわけ?」
「ああ、これはね……」
とこそこそ解説をし、テレビの副音声のように授業を進めていった。
補習1日目が終わると、他の生徒はすぐに教室を出たが、森内くんと俺は少し残って勉強をすることにした。
さすがに3ヶ月近く休んだ代償は大きかったようで、補習の内容以外も付き添って教えてあげた。
「あ~なるほどね、あまねくん教え方上手だなあ。数学も教えてくれない? 実はこっちが一番ヤバくて」
「いいよ。明日?」
「あ、じゃあさ、明日寮に行っていい? オレ来月から寮入るんだよね。見学がてら」
「そうなんだ。あ、明日から入れるか聞いてみようか?」
「助かる! あまねくんいるなら、寮楽しそうだな」
「そう?」
懐いてくれて、嬉しくなった。
翌日、許可を得て一泊することになった森内くんといっしょに寮へ戻る。
ほとんどの寮生が昨日から帰省し、寮内はいつもよりずいぶんと静かだった。
荷物を置いて、寮母さんの代わりに寮内を案内する。
「個人で風呂入れないのか~」
広い浴場に入ると、森内くんは残念がった。
「あー、そうなんだよね。女子の方は個人用あるみたいなんだけど。でも人と被らない時間帯もあるよ」
「……あまねくんのそれは大丈夫なの?」
と、首を指さしてきた。
ネックウォーマーをつけていたが、バレていたようだ。
「ぁあー、これ、ね……」
言葉につまっていると、森内くんはすぐそばまでやって来て、ネックウォーマーをまくった。
「あっ」
「ん?」
制服のボタンをはずしはじめる。
「あ、あ、森内くんっ?」
俺はあせったが、お構いなしに森内くんは俺のボタンを3つ4つと外して開いた。よろめいて、かごを乗せた棚に背中がぶつかる。
中に着たTシャツをひっぱり、左肩の歯形があらわになると、森内くんは、
「やっぱり」
と言った。
「ずいぶん熱烈な彼女だなーて昨日は思ってたけど、これ男だよね?」
と聞いてきた。
「え、あ……、うん……」
俺はつい、肯定してしまった。
「あまねくんってゲイ? バイ?」
「え、と……」
ぐいぐい聞いてくる森内くんにたじろんでしまう。
「オレはゲイだよ」
と森内くんが告白してきた。
「ゲイの人は目線でわかる。でもあまねくんわかんなかった。ネコだからだね」
「ネコ?」
「ヤられる側ってこと」
「ああー、」
ネコって言うんだ。ケントさんには犬みたいって言われたけど。
「久しぶりにあまねくん見たら、すげーエロくなっててビックリした」
森内くんはそう言いながらTシャツの上から小さな突起部分を撫でた。
「んっ、なななにするの」
「オレ、完全なネコだと思ってたけどあまねくんならタチできそう」
「なっ?!」
タチってなに!!
文脈からしてヤる側ってことだよな?
「いや、違うかな? あまねくんのしゃぶりたいのって、タチかな? ネコかな?」
「わわわかんない……え、しゃぶる?」
森内くんが突如エロモードに入ったようで、俺はあせった。
「いや、やっぱ普通にセックスかな。あまねくん後ろ使ったことあるよね?」
「え、え、あー」
「あるんだね?」
「うう……森内くん、そこぐいぐい踏み込まないで」
「いいじゃん、ゲイ同士。オレにも挿れさせて」
シャツの中に入れた森内くんの手は、熱を帯びていた。
咲月学園の終業式だ。
午後からは、赤点組と共に補習が行われた。特進科からは俺の他に数名で、数学以外は普通科と合同に行われた。
「森内くん」
窓際に、森内くんが座っていた。
声をかけると、軽く手を挙げ、優しく微笑んだ。
「隣いい?」
「いいよ、ここ座って。なあ、オレ先生の解説わからないから、あまねくんに補助的に教えて欲しい」
「いいよ、二宮先生って言葉足らずだよね」
森内玲央くんは、監禁された後3ヶ月近く休んでしまい、出席日数が危ういため、留年を免れるためにこの補習に参加しているらしい。俺と同じく温情的措置だ。
机をピタリとくっつけ、いっしょに化学の授業を受ける。
二宮先生は板書していき、「うん、うん」と自分だけ納得して次々書いていく。
相変わらず自己中心的な先生だ。生徒は誰もついていけていないのに。
「あまねくん、今のなんでこうなるわけ?」
「ああ、これはね……」
とこそこそ解説をし、テレビの副音声のように授業を進めていった。
補習1日目が終わると、他の生徒はすぐに教室を出たが、森内くんと俺は少し残って勉強をすることにした。
さすがに3ヶ月近く休んだ代償は大きかったようで、補習の内容以外も付き添って教えてあげた。
「あ~なるほどね、あまねくん教え方上手だなあ。数学も教えてくれない? 実はこっちが一番ヤバくて」
「いいよ。明日?」
「あ、じゃあさ、明日寮に行っていい? オレ来月から寮入るんだよね。見学がてら」
「そうなんだ。あ、明日から入れるか聞いてみようか?」
「助かる! あまねくんいるなら、寮楽しそうだな」
「そう?」
懐いてくれて、嬉しくなった。
翌日、許可を得て一泊することになった森内くんといっしょに寮へ戻る。
ほとんどの寮生が昨日から帰省し、寮内はいつもよりずいぶんと静かだった。
荷物を置いて、寮母さんの代わりに寮内を案内する。
「個人で風呂入れないのか~」
広い浴場に入ると、森内くんは残念がった。
「あー、そうなんだよね。女子の方は個人用あるみたいなんだけど。でも人と被らない時間帯もあるよ」
「……あまねくんのそれは大丈夫なの?」
と、首を指さしてきた。
ネックウォーマーをつけていたが、バレていたようだ。
「ぁあー、これ、ね……」
言葉につまっていると、森内くんはすぐそばまでやって来て、ネックウォーマーをまくった。
「あっ」
「ん?」
制服のボタンをはずしはじめる。
「あ、あ、森内くんっ?」
俺はあせったが、お構いなしに森内くんは俺のボタンを3つ4つと外して開いた。よろめいて、かごを乗せた棚に背中がぶつかる。
中に着たTシャツをひっぱり、左肩の歯形があらわになると、森内くんは、
「やっぱり」
と言った。
「ずいぶん熱烈な彼女だなーて昨日は思ってたけど、これ男だよね?」
と聞いてきた。
「え、あ……、うん……」
俺はつい、肯定してしまった。
「あまねくんってゲイ? バイ?」
「え、と……」
ぐいぐい聞いてくる森内くんにたじろんでしまう。
「オレはゲイだよ」
と森内くんが告白してきた。
「ゲイの人は目線でわかる。でもあまねくんわかんなかった。ネコだからだね」
「ネコ?」
「ヤられる側ってこと」
「ああー、」
ネコって言うんだ。ケントさんには犬みたいって言われたけど。
「久しぶりにあまねくん見たら、すげーエロくなっててビックリした」
森内くんはそう言いながらTシャツの上から小さな突起部分を撫でた。
「んっ、なななにするの」
「オレ、完全なネコだと思ってたけどあまねくんならタチできそう」
「なっ?!」
タチってなに!!
文脈からしてヤる側ってことだよな?
「いや、違うかな? あまねくんのしゃぶりたいのって、タチかな? ネコかな?」
「わわわかんない……え、しゃぶる?」
森内くんが突如エロモードに入ったようで、俺はあせった。
「いや、やっぱ普通にセックスかな。あまねくん後ろ使ったことあるよね?」
「え、え、あー」
「あるんだね?」
「うう……森内くん、そこぐいぐい踏み込まないで」
「いいじゃん、ゲイ同士。オレにも挿れさせて」
シャツの中に入れた森内くんの手は、熱を帯びていた。
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