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第6話

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結局国王陛下からの呼び出しのほうが早かった。
私はバディーン殿下から婚約破棄されたことを説明するために王城へと向かった。
お父様が呼び出されなかったのは話し合いに参加したところで邪魔になるだけだと国王陛下が判断したのかもしれない。

国王陛下へ一通り説明を終えた。

「ふむ……。バディーンから聞いていた話とはかなり違いがあるな。だがバディーンの浮気を知れば理解はできる。バディーンのしたこととはいえ申し訳なかった」
「いえ、このような婚約を結ぶことになった父にも責任があります。最初から間違っていたのですよ」
「確かにその通りだな。とはいえティナリア嬢に非がないことは明らかだ。それでバディーンにどういった処分を求める?」

私に処分を丸投げしないでほしい。
下手なことを言えば私の責任を問われるだろう。

そして閃いた。

「バディーン殿下はカラルラ様のことが本気で好きなようですし、ソーンアンダー殿下だって浮気された以上カラルラ様との婚約関係を続けることは無理があります。そこでソーンアンダー殿下とカラルラ様の婚約を解消し、バディーン殿下とカラルラ様を婚約させてはいかがでしょうか?」
「そうだな、お互いに好きな者同士が婚約したほうがいいだろう。バディーンと婚約するならコノリッツ侯爵も文句はあるまい」

私の提案が問題視されずに良かった。
それに浮気者同士が婚約するのはお似合いだと思う。
関係がいつまで上手くいくかはわからないけど。

「だがそれでは罰にはならない。そうだな、二人で暮らせるように王家直轄領のどこかを任せるのもいいだろう。当然王位継承権は剥奪する。それで罰になるか?」
「十分だと思います」

王家直轄領は大きく二通りに分けられる。
栄えていて税収等で財政を支えるような優良な領地。
役に立たないが他の貴族家への報酬として与えることもあるため、お荷物みたいで扱いに困るハズレの領地。
バディーン殿下たちにはきっと問題だらけの領地を任せることになるだろう。
それは隔離でもあるし領地内に監禁するようなものと言い換えられるかもしれない。

「それと…嫌なら断ってくれて構わないが、ティナリア嬢はソーンアンダーと婚約する気はあるか?」
「ソーンアンダー殿下ですか…。婚約に異論はありません」
「そうか、それは良かった。ソーンアンダーに釣り合いの取れる令嬢のいる貴族家は少ないからな。では後日正式に婚約を結ぶとしよう」
「ソーンアンダー殿下との婚約、嬉しく思います。父も喜ぶでしょう」

最初から私と婚約していればこんなことにはならなかったのに。
でも諦めていたソーンアンダー殿下との婚約だから、結果論だけど良かったのかもしれない。
いろいろな人の判断ミスが重なって私にとっては不本意なことが多かったけど…。

ふと思ってしまった。
問題を起こす人は何度でも繰り返すと。

ここで油断してはいけない。
各方面に布石を打っておかないと。
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